二十歳のモーニング娘。

No タイトル 作詞 作曲 編曲 備考
1 モーニングコーヒー(20th Anniversary Ver.)
/モーニング娘。20th(1期&'18)
つんく つんく 鈴木俊介 20th 2nd配信シングル 初CD化 1stシングルのリメイク
2 WE ARE LEADERS!〜リーダーってのもつらいもの〜
/モーニング娘。リーダーズ(中澤裕子・飯田圭織・矢口真里・
吉澤ひとみ・藤本美貴・高橋愛・新垣里沙・道重さゆみ・譜久村聖)
前山田健一 前山田健一 高橋諭一  
3 花が咲く 太陽浴びて/モーニング娘。'18 つんく つんく 平田祥一郎 現役 2nd配信シングル 初CD化
4 ENDLESS HOME/安倍なつみ feat. 譜久村聖・小田さくら 大森靖子 大森靖子 菊谷知樹  
5 お天気の日のお祭り/モーニング娘。'18 つんく つんく 板垣祐介  
6 タネはツバサ(Wings of the Seed)
/中澤裕子・石黒彩・飯田圭織・安倍なつみ・福田明日香
サエキけんぞう 桜井鉄太郎 河野伸  
7 五線譜のたすき/モーニング娘。'17 児玉雨子 星部ショウ 加藤裕介/
星部ショウ
現役 1st配信シングル 初CD化
8 愛の種(20th Anniversary Ver.)/モーニング娘。20th(1期&'17) サエキけんぞう 桜井鉄太郎 鈴木俊介 20th 1st配信シングル 初CD化 インディーズシングルのリメイク
22年アナログ盤B面

リリースデータ

2018年2月7日 初登場1位 売上5.2万枚 Zetima

メンバー表記なし
歌唱メンバー表記のみ。
卒業メンバーはそれぞれ個人名表記だが現役メンバーは個人のコーラス参加以外は'17、'18名義でまとめられているため個人名が表記されていない

現役('18)、20th 譜久村聖(リーダーズ)、生田衣梨奈、飯窪春菜、石田亜佑美、佐藤優樹、小田さくら、
尾形春水、野中美希、牧野真莉愛、羽賀朱音、加賀楓、横山玲奈、森戸知沙希
1期、20th 中澤裕子(リーダーズ)、石黒彩、飯田圭織(リーダーズ)、安倍なつみ、福田明日香
'17、20th 工藤遥(2017年12月卒業)
リーダーズ 矢口真里、吉澤ひとみ、藤本美貴、高橋愛、新垣里沙、道重さゆみ

モーニング娘。20th、ミニアルバム。97年のインディーズ、98年のメジャーデビューから20周年を記念しての作品。97年11月3日インディーズシングル「愛の種」発売からちょうど20周年の11月3日に1期メンバー5名と現役メンバーで「愛の種」をモーニング娘。20th名義でリメイクして配信限定でリリースしたのが20thでの最初の作品。今作発売直前には「モーニングコーヒー」のリメイクも配信限定でリリースされた。さらに現役メンバー'17、'18の配信限定シングルとして17年11月に「五線譜のたすき」、18年1月には「花が咲く 太陽浴びて」がリリースされており、これら配信限定の4作を初CD化で収録。加えて歴代リーダーによる「WE ARE LEADERS!〜リーダーってのもつらいもの〜」、安倍なつみのソロに現役メンバー2人がコーラス参加した「ENDLESS HOME」、現役メンバー'18による「お天気の日のお祭り」、1期メンバーによる「タネはツバサ(Wings of the Seed)」といった新曲4曲を収録。現役のオリジナルアルバムよりも好調な売上を記録し、1位を獲得。1位は03年の『No.5』以来となり、現役メンバー+工藤遥にとって初のアルバム1位となった。

現役メンバーで工藤遥が2017年12月に卒業したため参加状況が複雑になっている。'17名義の楽曲には参加しているが、'18名義には参加していない。そして20th名義では愛の種(20th Anniversary Ver.)」には参加しているが、「モーニングコーヒー(20th Anniversary Ver.)」には参加していない

ジャケット写真に登場しているのは工藤遥卒業後のモーニング娘。'18現役メンバー+1期メンバーのみとなる。石黒彩、福田明日香は07年のベスト盤にコメント提供した事はあるが、事務所を辞めているメンバーの撮り下ろしの写真掲載及び楽曲参加は初となった。またリーダーズにのみ参加している吉澤ひとみ、藤本美貴、高橋愛、新垣里沙、道重さゆみはジャケット、ブックレットの写真には登場していない。

初回盤DVDには1期メンバー5人の個別インタビュー2017年11月21日に日本武道館で行われたライブ『モーニング娘。誕生20周年記念コンサートツアー2017秋 〜We are MORNING MUSUME。』から4曲とMC2本「愛の種(20th Anniversary Ver.)」、「五線譜のたすき」のMVを収録。工藤遥はライブ映像及びMV2曲には卒業前なので参加している。ライブに1期メンバーは登場しないがゲストとして高橋愛、道重さゆみ、田中れいな、辻希美が出演している。田中れいな、辻希美は今作においてこのライブ映像にのみ参加している事になる。

2022年に「LOVEマシーン」「恋のダンスサイト」と共に「愛の種」がアナログ盤シングルとして発売された際にB面曲として「愛の種(20th Anniversary Ver.)」が追加収録された。

20th名義のアルバムだが、工藤遥の卒業を挟んだのと、20th名義のアルバムなのに20th名義の曲は2曲だけで20thに参加していなかった歴代リーダーが参加した曲があったり、'18名義の「花が咲く 太陽浴びて」と「お天気の日のお祭り」が歌唱メンバー同じなの以外は基本的に1曲ごとに歌唱メンバーが異なるというメンバーの参加状況が複雑な1作。ただ企画としてはかなり充実した作品だと思う。新曲が外部作家中心だったのが結果的に非常に良かったと思う。というのも、つんくはまだ1人で全部作っていた10周年記念隊やドリーム モーニング娘。の時もこれといった過去とリンクさせたような新曲を作らず、せいぜい過去の替え歌やカバーをさせる程度だった。メンバーネタソングも全盛期を過ぎた頃という謎タイミングで「女子かしまし物語」を作ったが以降延々とこれの替え歌を使い回し続けるなど、メンバーネタやメンバーの特徴を楽曲に落とし込むような手法もあまりやっていない印象がある。今回もつんくが書いた曲はいつもの感じの曲で特に20周年の記念作品としての特別感は感じられない。つんくは過去を織り交ぜたり、アニバーサリー的な楽曲を作るとかそういった要素を取り入れた曲作りには興味が無いか、不得意なのだろうか…。

そんなわけでつんくが参加していない曲の方がハッキリと20th感があるというか歴史とリンクさせた作りになっていてそれこそが今作の醍醐味。「WE ARE LEADERS!〜リーダーってのもつらいもの〜」はメンバーネタソングだが前山田健一によるメンバーネタの歌詞や構成のキレが抜群。ちゃんとそれぞれのメンバーに沿った内容になっている上、矢口や藤本などやらかして辞めたメンバーの事も在籍日数や吉澤が急にリーダーになった事などネタにして昇華。随所で歴代の楽曲のフレーズをぶち込んだりと、メンバーと歴史への愛を感じる秀逸な仕上がり。架空のネタや無関係のネタ、あまりピンと来ない謎エピソードが多々登場していた「女子かしまし物語」よりも、かつて聞いていた多くのリスナーがこのメンバーはこうだったと感じられるような内容で統一されている密接度の深さでこれは良かった。

「ENDLESS HOME」は大森靖子の提供による安倍なつみの実質ソロという事で、タイトルや内容からしても母になって思う「ふるさと」といった趣きのバラードで、さすがにこちらに関しては「ふるさと」を越えるほどの名曲ではないが、「ふるさと」を愛していなければ書けないような、そして「ふるさと」を知っているからこそ深みが増す良作。

「タネはツバサ(Wings of the Seed)」は「愛の種」の作詞作曲者をそのまま再起用しての続編。それを当時のメンバーで歌うというもうそれだけで記念碑的なナンバー。「五線譜のたすき」は現役メンバーが久しく歌っていないようなメロディアスな楽曲で、工藤遥の最終参加曲という事もあって、ここのところ無かったスケールの大きさを感じさせるバラードナンバー。

このようにつんく以外が提供した楽曲の方が20周年感が出ていてあの頃聞いていたリスナーとしては非常に懐かしさと感慨深さを感じられて良かった。肝心の「愛の種」「モーニングコーヒー」は打ち込み主体になってしまい、当時より簡素な感じがしてしまうところはあるし、「モーニングコーヒー」はテンポ上げすぎて忙しない感じがしてしまい、普通にオリジナルの方がアレンジは良かったと思うけど、1期+現役での歌唱にはやはりスペシャル感があるし、それだけで十分。

総じて今も聞いているリスナーよりは、ブームだった頃に聞いていたリスナーが懐かしむのに最適な1作だと思う。中途半端なミニアルバム形態だったのがもったいない。前山田健一や大森靖子のように歴史とリンクさせる曲をリアルタイムのリスナー経験から書くことができるブーム時に純粋ないちリスナーで現在ミュージシャンという人たちはたぶんまだまだいると思うので(Base Ball Bearの小出祐介とかドンピシャだったんじゃないか)、そういう人たちが集結すればさらに20周年の愛に溢れた作品が作れるんじゃないかと思った。

二十歳のモーニング娘。(初回生産限定盤)(DVD付)初回盤DVD付  二十歳のモーニング娘。(通常盤)通常盤 

印象度★★★★☆

2018.4.15更新

戻る