GODZILLA 怪獣惑星

2017年公開。シリーズ初のアニメーション版ゴジラ映画で全3部作。17年11月に『怪獣惑星』、18年5月に『決戦機動増殖都市』、18年11月に『星を喰う者』と1年かけて公開された。Netflixでは公開から2ヶ月で順次配信され、DVD/Blu-rayも公開に合わせて前作を発売する形で発売された。

20世紀末、地球上に数々の怪獣が出現するようになり人類は危機に陥る。大幅な被害を出しながらも出現する怪獣たちに人類は何とか対抗していた。しかし最後に出現したゴジラは別格であった。滅亡の危機に瀕する地球人類の前に相次いで故郷の星を失って移住の機を伺っていた人型の異星人エクシフ、ビルサルドがやってくる。ゴジラを倒すので地球に迎え入れてほしいという条件で地球人類との同盟を結び、地球より優れた科学力を持つエクシフやビルサルドと地球人の連合軍は大幅にパワーアップしてゴジラに挑むが、ビルサルドが中心になって開発した最後の頼みの綱メカゴジラも起動できずに破壊され、結果的に半世紀に及ぶ攻防の末、人類は地球を捨てて他星に移住を決意。アラトラム号5000人、オラティオ号10000人の合計15000人のみが選ばれて宇宙へと旅立った。

乗るはずだった両親ともはぐれてしまった少年時代のハルオ・サカキをアラトラム号は移住予定の惑星くじら座タウ星eを目立って旅立って22年が経過したところから物語が始まる。

20世紀末からのゴジラとの戦いの歴史や異星人と協力関係にある世界観の提示は今作冒頭ではダイジェストで描かれているが、この間の内容は前日譚の小説『GODZILLA 怪獣黙示録』、『GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』の2冊で詳細に描かれている。この小説では過去の東宝特撮映画に出てきた多数の怪獣や兵器名が登場するほか、人類がいかにして怪獣たち、とりわけゴジラの脅威により滅亡へ向かっていったかが描写されている。視点はハルオの父で調査官だったアキラ・サカキが関係者各位へ取材して得た関係者の証言集という形で構成されている。アニメ本編より面白い、むしろこっちを外伝でアニメ化してくれという声も多

 

地球を旅立って22年、過酷な飢えと寒さの宇宙旅行により5000人いた乗員は4000人ほどまで減っていた上に、すぐそこまでやってきた惑星くじら座タウ星eは人が住める環境ではない事が既に判明していた。このまま他に新たな居住可能な惑星を発見できる可能性も極めて低く、宇宙船内の過酷な環境で人員もジリ貧で物資も限界に近付いている事から、地球への帰還プランが持ち上がっていた。24歳の青年へと成長したハルオ・サカキが当時残されたゴジラの資料を解析して独自にゴジラ攻略作戦を立案していた事もあり、ゴジラから地球を取り戻すために人類は再び地球へ戻る事にする。来るのには22年かけていたが11.9光年先の地球に一気に戻るために、長距離の亜空間航行を行ったため、地球では数千年が経過する事が推測されたが、実際についてみると1万年近く経過している事が発覚。地球の環境は激変していてゴジラの生存も確認され、600名の兵士が作戦に参加して地球へと降り立つが改めて現地調査で導き出された経過時間は19200年(誤差50年前後で約2万年)だった。

2万年後の地球にて数々の犠牲を出しながらゴジラ殺害に燃えるハルオ・サカキは部隊を指揮して決死の覚悟で最前線での戦いに挑み、作戦を成功させついにゴジラを木っ端みじんに吹き飛ばした

しかし倒したゴジラは2万年も経過している割に2万年前と変化が無さすぎる。そんな環境生物学者マーティンの指摘を裏付けるように2万年前人類を滅亡へ追い込んだゴジラと同一個体と思われる300メートルまで成長した巨大なゴジラが出現。部隊はほぼ壊滅状態となってしまった。

 

ゴジラがあまり出てこなくて、理屈っぽく哲学的な登場人物たちや設定による世界観、ゴジラの性質に関してもシールドを貼っていかなる攻撃も受け付けないが、シールドに揺らぎがあるのでそこを突いてシールドを展開させないようにして再生するまでのわずかな隙にEMPプローブをぶち込んで体内から吹っ飛ばす、という新しい設定で横文字が飛び交うなど、アニメらしい作品。集中すればハマれるが、理屈や説明が多いので娯楽には適さず、まあでもアニメならこういうゴジラもありなのかなとも思う。アニメ畑の人がアニメ畑の人のためのゴジラの世界観を新たに構築した、というのと日本で久々に作られたゴジラ映画『シン・ゴジラ』もかなりの新解釈だったので、これぐらい世界観独自で構築しても問題ないだろうってことで出来上がったっぽい。

それにしても亜空間航行で22年が2万年になってしまうとは…。数千年飛ぶかもという予測が1万年になってどよめきが起こっていたが、それが2万年に修正されてもなんかもう1万年も2万年も何か変わるのか分からないくらい、なかなか飛んだ世界設定だ。これだけ時間が経過してしまうと22年前地球に残された人々がその後どの段階まで粘って滅びたのかも分からないし、その痕跡すら…。

あまりアニメを見ないので○○みたいだみたいな印象を抱くことも無く、斬新な設定として楽しめた。

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★★★☆☆

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