バブルへGO!! タイムマシンはドラム式
2007年、日本経済は800兆円の借金を抱えて破滅へと向かっていた。財務省の計算では2年以内に日本経済は崩壊するという。財務省の下川路(阿部寛)らは極秘の計画を進めていた。友人で電化製品の開発をしている真理子(薬師丸ひろ子)が偶然開発した17年前に戻れるタイムマシンを使って1990年に戻り、バブル崩壊の原因となった法律を廃止させるという任務である。だが、打ち合わせていた当時の桜の開花を知らせる写真に写りこむという合図を最後にプッツリ連絡が途絶えていた。真理子に娘がいたことを知らなかった下川路だったが、行方不明になった真理子を作戦終了と同時に死亡扱いにした際に葬儀の席で真弓(広末涼子)の存在を知る。下川路から母は死んでなくて90年にいったきり戻ってきてないことと、母を捜し、さらにバブル崩壊を食い止める任務を託された真弓はバブル絶頂の90年へと向かう。母の手がかりを求めて、真理子が訪ねたはずの大蔵大臣の元へ向かう真弓だがはぐらかされてしまう。当時の下川路を発見した真弓は彼を頼ろうとするが…。現在ではすっかり暗く無口で疲れた男だった下川路だが、90年の下川路は超絶に軽いナンパ野郎だった。
前半は予告編などでもよくやっていたバブルの時代の生活や風景などを描写しまくって現在とのギャップと当時のあまりにバブリーな生活に若い世代は「ホントにあったのかよ…」と呆然とし、実際に体験した者は「あんな時代もあった…」と遠い目になること必至。後半からは母捜しなど謎の要素とバブル崩壊を食い止められるかといった方向に向かう。
90年といえば俺は5歳だったので記憶はあるが、こんな時代だったかは知らない。当時幼稚園の俺がバブルを満喫していた若者に触れる機会はなかったし、年齢的に1番近くても幼稚園の先生。そういえば先生はあんな感じの髪型だったかなぁ…という程度。というか実際にあんなに金を湯水のごとく使っていた金持ちはやっぱり一部だったんじゃないかとも思ったりもするんだけど。今は金持ちがさらに極々々一部になってしまっただけで。でもやっぱ希望とかは今よりはあったのかなぁ…。
何はともあれバブルの描写はどこまでがリアルなのかにわかに信じがたいところがある。少なくとも服装や髪型に関しては確かにアレだったわけでわずか17年でこうも変わるのかと。時代の変化はゆっくりしているもんだと思ったが、激変しすぎだ。今から17年後もこれだけ変わるとは思えない。
個人的にはバブル描写よりも後半ようやく90年の下川路が真弓の事を信じて真剣に動き出す辺りからの方が面白かった。というか懐かしむだけでストーリーがしょぼかったらどうしようかとも思っていたが話もちゃんと面白かったしノリもいいのでバブル世代じゃなくて十分に楽しめた。
広末は正直結婚以降(むしろ大学入学以降辺りから)は全盛期のような輝きはなくなったなと思っていたのだが、この映画では何故か全盛期並の輝きと勢いがある。まずもって子持ちとは思えないほどに若いしスタイルもいい。全盛期を経て大学入学騒動以降はブームに疲弊してついにはプッツン女優扱いされてデキ婚…としばし好感度も低迷していたが今作の好演を機にして一気に持ち直したと思う。出番は少ないけど薬師丸ひろ子のとぼけた味わいもなかなか。偶然でタイムマシン作っちゃう天才ぶりが笑える。
★★★★★