名探偵コナン 沈黙の15分
2011年公開。シリーズ15作目。劇場版としては15周年記念作だが、出演キャラクターはレギュラー出演者のみとなっている。毎年GW公開ということもあって冬が舞台になった事が無かったが初めて雪山が舞台となっている。今回のゲスト声優は戦場カメラマンとして有名になった渡部陽一。今回は舞台が新潟なので最初に殺人が起きた時に捜査に来る刑事役となっているが、出番は1シーンのみ。名前も容姿も本人そのままとなっており、ゆっくりした喋り方をラストで少年探偵団に突っ込まれるなど、これまでのゲスト声優と違って、渡部陽一だと分かった上で笑ってもらうのが前提というネタキャラ的な扱いになっている。
都知事の元に脅迫状が送られてきた。新たにオープンした地下鉄の開通式の日、並行して走る山手トンネルが爆破される事件が発生するがコナンの活躍で被害は最小限にとどめることに成功。都知事がかつて建設に尽力したダムに鍵があると超思考で考えたコナンは小五郎や蘭、園子、阿笠博士、少年探偵団と共にダム建設のため湖に沈められ、下流に移設された新潟県北ノ沢村を訪れる。
そこには8年ぶりに集まったという30代の小学生時代の同級生の男女5人がいた。そのうちの1人山尾は8年前にひき逃げ事故を起こして出所したばかり。ひかれた被害者はみずきの妹で、同じ日には冬美の弟が事故に遭って8年間植物状態になっていた。犯人が進める計画とは何なのか、植物状態になっていた少年が目覚めたことで事態はさらに進展していく…。
という感じなのだがのっけから曰くありまくりの同級生5名。ひき逃げ犯に加えて、被害者の親族も仲間内にいる上に、さらに今回殺される人にいたってはそのことを会ったばかりのコナンたちにペラペラと喋る…。漂う空気は外よりも遥かに寒く、凍りまくり、険悪全開、の修羅場と化す。よく集まる気になったな!!と早速ツッコミたくなってくる。終盤前まではいつもと違う雪景色というだけでも劇場版ならではのスペシャル感が出ていてストーリー展開もけっこう面白かったが、終盤に真相が判明して以降は大失速。
まずもって動機がしょぼい。しょぼいというか…出来たばかりの地下鉄と山手トンネルを同時に爆破して大惨事を目論んだ挙句に、村を1つ壊滅させようとするなど、大量殺人を躊躇しない犯行を連発するにはあまりに目的がチャチすぎる。目的のブツは最後に登場するが…その程度の量なら、ここまで大規模な事するよりもう1回それを得るためにやらかした行為を再犯した方が早いよね?っていう。快楽殺人犯だったんだろうか?
画面的には映画ならではの相当ド派手な仕掛けが連発されるのでかなり手に汗握る展開にはなるんだけど、これにしてもやりすぎてしまっている感じ。どう考えても助からないし、そうはならないだろという超事象の連発。
そもそも最初の爆破事件に関してもあれだけ派手に爆発して、直撃をまぬがれたからといって、上を走っていた線路から下を走っていた道路に電車が落下してそのままトンネルから飛び出し、高速道路を激しく滑りながらカーブで停止するなんて大惨事確実なド派手な描写しておいて全員無傷でした…というところからして無茶苦茶である。この時コナンは高速道路をスケボーで蛇行しまくりながら逆走して爆弾を探しに行くんだけど、出てきたのは電車が吹っ飛んできた後に同じトンネルからである。ここまで来ると笑いすら起こらない程ありえない。
終盤のド派手なアクションでも同様で被害規模とのバランスが明らかにおかしく、演出過剰な点が目立った。アニメなのである程度はファンタジーであっても今回は正直限度を遥かにオーバーしてしまっていたように感じた。15周年作にして過去最高のトンデモ映画になってしまったような…。いや俺も年なのか…?
★★★☆☆