名探偵コナン 11人目のストライカー
2012年公開。劇場版16作目。Jリーグ20周年記念プロジェクトとのコラボによって実在のJリーグ選手、チームが登場する。コナンの世界では原作初期の7巻に登場した赤木、上村(試合シーンのみで台詞なし)、そして34巻で登場した比護というオリジナルキャラクターが出演。実在選手は三浦知良、遠藤保仁、楢崎正剛、中村憲剛、今野泰幸が出演し、空前絶後の棒読みを披露する。さらに事件を報道するニュース番組には「ミヤネ屋」がそのまま登場し、キャスターも宮根誠司がそのまま演じている。また容疑者の1人として女優の桐谷美玲も出演している。
毛利小五郎の元に爆破予告の脅迫状と暗号文が届く。小五郎のとんちんかんな推理で迷走した警察一行だったが、蘭が新一に暗号を伝えたことにより、新一=コナンは今自分がサッカー観戦をしている東都スタジアムに爆弾が仕掛けられていると判断。爆破を止めるために奔走する。
といった感じで今回はサッカー&爆破モノ。序盤の容疑者登場コーナーであまりに不自然に犯行動機になりうる話題を持ち出すだけで早々に帰ってしまったゲストキャラが出てくるのに、一向に捜査線上に浮上しないもんだから、謎解きも今回酷いなと思ったが、一応そこはひねりがあった。そこのところだけはマシだったんだけど、前作に続いて見せ場を派手にしようと盛り上げすぎた結果、個人で用意し仕掛けるにはムチャがありすぎる数の膨大な爆弾がドッカンドッカン炸裂する荒唐無稽な展開に歯止めがかからずかなり滑稽に。どうやって爆弾を用意したかの説明には一言「海外で爆弾作りが得意な奴に出会った」。こんな適当な説明なら無い方がマシだ。
ゲストに声優ではない声優素人の芸能人を使うのも最近の傾向だったが、これも拡大。宮根がそのまま出てくるのや、桐谷のやや不慣れな声優演技もこれだけだったら目立っていたがそれすらかき消す勢いで三浦知良、遠藤保仁、楢崎正剛、中村憲剛、今野泰幸の5人が超絶な棒読みを披露。1人だけ後で単独登場するカズはまだそれでも貫録がある。やはり年季が違う。それでも台詞を与えすぎたせいか後半にかけて棒読みに…。
問題は1番目立つ遠藤保仁。もうこれは伝説級。いくら素人でもここまでやる気のない棒読みをするのは逆に難しいのではないか、その場で原稿を見せて絶対に噛まない事だけを条件にいきなり読ませたのではないかというほどのナチュラルボーン棒読みを披露。毎年出てくるモブシーンでの素人子供たちの某演技が非常にうまく聞こえるほどだ。しかもその遠藤の言葉やアドバイスの数々が後々に重要な要素になるという演出にしてしまったので、まさにクライマックスで真犯人を前にコナンが推理を突き付けている場面で回想として遠棒の棒読みリフレインという脱臼必至の展開に!
もうこれだけで歴史に残る珍作になってしまった。公開当時の感想を見るとあまりの棒読みっぷりに笑いどころのシーンでもないのに館内がざわめいたという…。たぶん遠棒とゴールバー狙いのシュートしか記憶に残らない映画になりそうだ。たぶんこれで一生遠棒って言われるんだろうな。
あとはなんだか工藤新一の声ってあんなだったっけ?イメージと変わってしまっていたような…?
主題歌はビーイングが外されいきものがかりの「ハルウタ」が起用された。今回みたいなドッカンドッカン爆発するような内容ならB'zかBREAKERZのロック系の曲の方が合っていたんじゃないかと思う。「ハルウタ」も曲自体は合ってるんだけどバンドアレンジはわりと派手めなのに上に弦アレンジをメインにして被せてしまい、いい味を出しているギターを絞るなど、無駄に小奇麗に整えてしまう編曲を施してあるせいでどうにもしっくりこなかった。
★★☆☆☆