名探偵コナン 異次元の狙撃手

2014年公開。18作目の劇場版となるが、前作と今作の間に『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』が制作されている。今作ではアメリカ発端の連続狙撃事件が発生するため、関係者がアメリカ人の軍人ばかりとなり、アメリカ人同士は普通に英語で会話。このため英語での会話シーン、独白シーンでは日本語字幕が表示される。

この流れでFBI捜査官のジョディ、ジェイムズ、キャメル、赤井(回想と噂のみ)が初登場している(ジェームズ役の家弓家正が同年9月に亡くなっているので映画出演はこれが最後)。沖矢昴、世良真純も映画初登場するほか、原作で徐々に匂わせつつありほぼ確定と思われていた沖矢の設定を原作での正体判明エピソード掲載前に原作者公認で堂々明示するという試みが行われている。映画公開直後に「緋色シリーズ」と題された赤井秀一が死亡したことになって以降の伏線を回収するストーリーが原作でも始まった。このため世良や赤井、沖矢が登場して以降のエピソードを知らずに映画だけ見るとそもそもこの3人誰?状態になるので予習必須。

ベルツリータワー(設定がいつもの米花町ではなく、浅草近辺だったりとほとんどスカイツリー)に来ていたコナン御一行の目の前でオッサンが狙撃される事件が発生。しょっぱなからスケボーアクションを繰り広げて追跡するコナンは交通事故を巻き起こしながら逃げる犯人を追いかけ、狙撃された男を追っていた世良のバイクに乗りこみ犯人を追いつめる。さらに合流したFBIとの銃撃戦の末に犯人は海中から泳いで逃亡。その後、アメリカのネイビーシールズの元隊員で疑惑によりその栄誉をはく奪され無関係に妹が婚約破綻の末に自殺するなど呪われているとしか思えない転落人生を送った男ハンターが容疑者として浮上。ハンターを追いかける警察御一行とFBIだったが、早くも2人目が殺害され、3人目はなんとハンター自身が殺害され、目標を見失っている間に4人目も殺害されてしまう。

さらに4人目を救おうと奔走している間に犯人に自ら狙撃してくださいと言わんばかりに4人目と犯人との直線上で邪魔しすぎたコナンが狙われかばった世良が撃たれて病院送りに。現場に残されていたダイスの謎を解いたコナンは5人目の被害者になるであろう人物を救い、犯人を捕まえるために単身出向いていく…。

 

ということで、今回は一般人では無く、海外の元軍人/現役軍人を扱い、狙撃の名手という設定を加えたことで近年の映画に漂っていたただの個人がどうやってそれだけの爆薬を…とか湖に沈んだ金を回収するためにダムを爆破して下流の街をまるごと押し流そうとするとか、主人公が1番の国際スパイ犯じゃねーか状態とか、スケールを拡大しすぎておかしなことになっていた動機や犯行経緯がまあこういうこともあるんじゃないのかという感じになった。海外の軍人とか狙撃とか日本では安直なイメージしか無いので、狙撃の腕がありえなさすぎても、事件の発端となったネイビーシールズ内での疑惑の真相解明能力にしても低いのか高いのかもいずれにせよ知らないものはよく分からないのでなんとなく「海外の軍人」となれば納得できてしまうという日本人的なところをうまく突いた設定だ。

しかし狙撃犯容疑者候補の名前が「ハンター」って。そのままじゃないか…。

今回むしろ異次元だったのは狙撃手よりもコナンのアクションの方で、スケボーでの暴走機関車っぷりは毎回のご愛嬌。今回は今までよりも町中を走り回るので一般人に迷惑かけすぎどころか交通事故巻き起こしまくり。全く触れられていなかったが、いつもみたいに全くの無人での建物全壊とか、御一行がいるところや一般人がいても主要人物だけとか限られた範囲内で大爆発とか起こるのと違って、町中の交通事故描写が目立ち、死者はもちろん重傷者も含めたら大多数犠牲者が出ているような…。

問題はキック力増強シューズを固定のボール蹴りに使うだけでなく、バトル漫画並の跳躍力アップに使うようになったこと。確かにキック力を増強するというのであればボール蹴るだけでなく、地面を蹴り上げれば大ジャンプできるんだろうけど、それを乱用するとマジでバトル漫画みたいになってしまうので(スケボーという道具に乗ってハイジャンプするのと、靴の効能とはいえ小学1年生が生身でハイジャンプするのではどうにも印象が違いすぎる)あくまでボール蹴りにとどめておいた方が良いのでは…。

しかもクライマックスでの超アクションなんかもうドラゴンボーリーな領域。そこから放たれた最後の一撃は完全にエネルギー弾級の強烈な光弾と化しており、これで威力が銃弾>>>>>>ボール光弾なんだからコナン世界のパワーバランスは理不尽だなと思う。

B00O4GHQ0I  B00O4GHSOM 

★★★★☆

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