岳-ガク-
2011年公開。小栗旬、長澤まさみ出演の山岳ムービー。漫画「岳 みんなの山」が原作。原作は2012年に完結したが当時は完結していなかったので前半のストーリーを組み合わせたオリジナルストーリーになっている模様。季節は春先の雪山から始まり、夏を経て、真冬の雪山とほぼ1年弱の時間が流れる。
世界の山々を制覇した島崎三歩(小栗旬)は、学生時代の先輩である野田(佐々木蔵之介)が隊長を務める山岳救助隊のボランティアとして活動していた。そこに新人の椎名久美(長澤まさみ)がやってくる。訓練をこなしていく久美だったが、実際の現場では遭難者を救えない事もあり、また自らも遭難者になってしまうなど自信を無くしてしまう。当初その明るすぎる三歩のキャラクターに反発していた久美だったが、三歩の過去を知り、また自身が救助隊を目指した理由も語られ、分かりあっていく。季節は巡り、真冬の猛吹雪の雪の中で多重遭難が発生する…。
「海猿」の山版って感じもするけど、救えない命もけっこう出てくるので、「海猿」よりもけっこう命の重さがずっしりと来る映画だった。遭難フラグ、死亡フラグが分かりやすく立ち上がって実際その通りになる辺りは実に分かりやすい展開だけど、凄惨な印象が強い。主人公の三歩の底抜けの明るさで、なんとか爽快感も少しは出ている感じ。雪山のシーンは「銀色のシーズン」のように雪不足に泣くこともなかったようで(「銀色のシーズン」は史上最低の雪不足に見舞われ真冬に豪雨が降るような異常気象の年に撮影されたため、ハイシーズンに撮影しているのにシーズン終わりみたいなベシャ雪で全く雪煙が出ない、コース外に雪が無い、街の雪がどんどん溶けている等悲惨だった)、ド迫力。
小栗旬と長澤まさみの共演は長澤まさみが初主演した「ロボコン」以来だろうか。すっかり人気俳優になった小栗旬の成長ぶり、綺麗でかわいい主演のお姫様的な役柄から殻を破り始めた長澤まさみはかなり魅力的だ。それ以外にも細かいところまで有名な俳優が起用されていて、回想シーンや死んでしまう遭難者、助かる遭難者、救助隊の面々も全てどこかで見覚えのある役者だった。
主題歌はコブクロの「あの太陽が、この世界が照らし続けるように。」。ストリングス病のコブクロが一切ストリングスを使わないギター押しの編曲という異色楽曲だ。この映画を見る前は映画のタイアップだし、それこそストリングスの綺麗なバラードで締めそうなものなのにここでギター押しって??と謎だったが、この映画のラストでこの曲がかかった瞬間に確かにギター押しでの力強さが正解だなと思った。素晴らしい主題歌だ。
★★★★☆