ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃

01年公開のミレニアムシリーズ3作目。またしても前作は無かった事になっており新たな舞台設定になっている。この世界では1954年にゴジラが東京を襲撃。防衛軍がこれを撃破。実際には防衛軍はゴジラに対して全くの無力で、とある科学者が作った正体不明の化学兵器がゴジラを葬ったのだが、防衛軍の存在意義が揺らぐのでそのことは歴代の隊長しか知らされない秘密であることが後に語られている。そのため1作目とは連続性があるようになっている。

この1度だけで以降はゴジラは出現せずに半世紀が経過したという設定。ただし冒頭で「アメリカでゴジラに似た生物が出現したらしい」、「アメリカじゃゴジラと呼ばれたが日本の学者はあれはゴジラとは認めてない」などと98年のハリウッド版ゴジラを否定するような台詞がある。

登場怪獣はゴジラ、バラガン、モスラ、キングギドラ。ゴジラは太平洋戦争で犠牲になった人々の怨念が宿っているなどとも言われており、目が完全に白目になっているなど徹底的な悪役。他の3怪獣は日本古来より伝わる護国三聖獣として、日本の守り神のような存在になっている。そのためモスラに初めて小美人がついていない(前田愛と前田亜季の姉妹が飛行していくモスラに反応するという1シーンが意図不明に挿入されている)。

 

行方不明のアメリカの潜水艦を捜索していた防衛軍はゴジラの背びれのようなものを目撃。防衛軍では危機管理ムードが高まる中で、新潟では赤い怪獣(バラゴン)が出現し暴走族をトンネルもろとも生き埋めに、鹿児島の池田湖では商店に不法侵入して店を荒らした挙句に目撃した犬を沈めようとした若者が繭付けにされて殺害される(モスラ幼虫)など奇怪な事件が多発。

BSデジタルのリポーター由里(新山千春)は事件の場所が「護国聖獣伝記」に記されている三体の聖獣が眠るとされる場所と一致していることに気付き取材を開始する。由里の父で防衛軍の立花(宇崎竜童)はそれを聞かされ、半信半疑だったが実際にバラゴンとゴジラが出現したため信じざるを得なくなる。

バラゴンとゴジラは山梨で対決するが、噛み付いたり体当たりするものの全く歯が立たず一方的にボコにされてしまう。最後は追い詰められた挙句にトドメの熱線を浴びせられてあっさり大爆発炎上、敗北

ゴジラはさらに進撃を開始。防衛軍の攻撃は全く効かず、やがてゴジラは横浜に出現。池田湖では繭から成虫モスラが出現、富士の樹海ではギドラが出現、両者ともゴジラを追う。

モスラが先に到着し、戦いを挑むが今回のモスラは光線や鱗粉を使わず、引っかくかしっぽから無数の針のような毛を飛ばすだけなのでやっぱり歯が立たない。遅れて到着したギドラ。防衛軍はこの機を伺っていた。モスラとギドラと共闘だと息巻き攻撃を開始。

だがギドラは本来1万年眠らないと真の力を発揮できないのに早く目覚めたので不完全体であり、ビームどころか飛行も使えない。よって突撃して噛み付いてビリビリするしか攻撃方法が無く、あっさりとノックアウト。防衛軍もまさかこんなにあっさり倒されるとは予想外で、9割方ゴジラの熱線を受けて消滅。

残ったモスラは伸びているギドラに向けて放たれた熱線をかばって受けて大爆発炎上、敗北。しかし飛散したエネルギーがギドラへと降り注ぎ、ギドラは完全体のキングギドラへと覚醒黄金の粒子をまとい、ゴジラの熱線を霊光鏡反衝パワーを増幅させて跳ね返し、ゴジラを海中まで吹っ飛ばす。ゴジラとキングギドラは海中で決戦を開始するが最初の勢いはどこへやらキングギドラに勢いが無い。

攻撃を喰らった部位なら、強力なドリル型のミサイルでゴジラにダメージを与えられるかもしれない。立花は部下と別々の潜水艇に乗り込みミサイル攻撃の機を狙う。今だとばかりに放たれたミサイルだったが、何とキングギドラに命中。見事なまでのゴジラへのアシスト!これで動きが止まったキングギドラはゴジラの熱線でやられてしまう。

終わりかと思われたが、こんな戦場にまで無謀に取材に来ていた由里が海に落ちた際、以前拾った由緒ありげな木片(?)がキングギドラのところに到達。黄金のオーラをまとって超サイヤ化復活したキングギドラはついにビーム攻撃も可能になりゴジラに猛攻撃を開始する。しかし長く続かず、オーラ切れになったところで、ビームを吸収して熱線を放ったゴジラの攻撃で大爆発炎上、敗北

しかし、飛散した粒子がバラゴン→モスラ→キングギドラの霊魂となりゴジラに憑依。ゴジラの動きが止まり、海に沈んでいく。この隙に特攻した立花は何と大口を開けたゴジラの口の中に飛び込んでいってしまう。気絶していた立花だがゴジラの体内で幻の由里の声を聞いて目を覚まし、そのまま体内からゴジラにミサイルを発射して貫通させる。

再び浮上したゴジラは岸まで泳ぎきった由里を熱線で葬ろうとするが、立花に空けられた穴から熱線が漏れてやがて暴走して大爆発。立花も無事帰還して多大な犠牲を払いながらも日本は救われた。…はずだったが海底ではゴジラが心臓だけになりながら鼓動を続けていた…。

 

ゴジラがやたらと強すぎる上に、白目なため怖すぎ。アニメ「とっとこハム太郎」と同時上映になってしまったらしいが、それを決めた人おかしい。明らかに同じ子供相手でもターゲット違いすぎだろ…。ハム太郎目当ての幼児に今作はトラウマモノだ。泣くよ。

護国三聖獣が弱すぎるという点もあるが、せっかく3体いるのにバラガンだけ先行して返り討ちに合うなどあまり連携は取れていないのが…。またあくまで国を守るという使命しか持たないため、モスラが犬を救って人間を殺害するなど必ずしも人類にとっては守り神ともいえない感じで、人類としてはいきなり怪獣が立て続けに出現しまくりでてんやわんや。長いゴジラシリーズでも数作しか出てこない犠牲者の描写や野戦病院状態の怪獣被害の悲惨さを助長するシーンが出てくるのは印象的だ。あとは新山千春は早口の台詞が聞き取りにくかった。またゴジラの熱線が往来の青っぽい色に戻されているのは良かった。

それにしても連続性が無いくせに2作連続で人類が倒したと思ったゴジラが実は生きてるかも?みたいに終わるのは何故なのだろうか…。

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★★★☆☆

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