HINOKIO
交通事故で母親を亡くしたサトル(本郷奏多)は、ショックから引きこもりになってしまった。1年後、不登校の子供に対する新たな試みとしてロボットによる代理登校が認められ、ロボット開発者の父親(中村雅俊)はH-603という遠隔操作ロボットを与える。軽量化のためにヒノキが使われていることからヒノキオと呼ばれるロボットを通してクラスメイトと触れ合うことでサトルの心にも変化が芽生えていく。
クラスのガキ大将で男言葉のジュンに多部未華子。このために髪を短くして、少年のような風貌になっていてまるで別人。この作品と同じ年公開『青空のゆくえ』でブルーリボン賞新人賞を受賞し、注目を浴びた。ほかにロングのカツラ(メイキングで本人がカツラと発言)で堀北真希も出ているがすごい脇役でほとんど出てこない上にやはり別人のよう。
世界観的にはかなり未来なのか、遠隔操作でかなり高機能のヒノキオ。教師役の原沙知絵が「転校生を紹介します」と言って普通に入ってきて大して驚かれてない。いきなりありえない展開なのでここでくじける人はくじけるかも。当初、ヒノキオ=サトルはジュンが女の子だと気づいていなかったが、海にダイブして服を乾かすためにタンクトップ1枚になった際に、胸元を見て女の子だと気づき(ただこの時、胸元がアップになってもかなりペッタンコでこれで気づくのもなんか不自然に見えた…)、少し意識しだす。とはいえ小学生なので淡い恋心程度。基本的に世界観は子供の世界。ゲームと現実がリンクしているのかいないのか、あの頃は起きても不思議じゃないと想っていたような不思議現象がチラついている辺り、基本的には子供の世界観っぽい雰囲気。そんな中で小林涼子演じるスミレの、優等生っぽさを演じながらも根は悪女というか、ヒノキオとジュンの仲を引き裂こうと画策したりする性格の歪み具合はなんかジュンやサトルのように何かしら問題があって、というような理由もなく、異常な雰囲気だった。ラストの盛り上げはファンタジー色が強すぎてイマイチはまれなかったが、それなりにおもしろかった。
ヒノキオはほとんどCGらしいので、実際には何も無いところで演技をしていたことになる。そう考えるとなかなか凄い。また撮影は04年の恐らく学年が変わる時期で、本郷奏多は中1〜中2、多部未華子、堀北真希は中3〜高1。だいたい88年度〜90年度生まれの当時でもう中高生のみなさんが小学6年生役ということでかなり無理があるかに見えるが、そこまで不自然には見えない。
主題歌はYUI「Tomorrow's way」だが、劇中では洋楽を何度か使っており、スタッフクレジット黒バックになってからかかるという扱いなので極めてとってつけのタイアップ的で印象は薄かった。
印象度★★★☆☆