包帯クラブ
女子高生のワラ(石原さとみ)は大切なものが失われていく感覚に捕われて投げやりな日々を送っていたが、病院の屋上で手すりに飛び乗ってみたところ、ディノ(柳楽優弥)という不思議な青年に出会う。ディノは傷そのものではなく傷ついた場所に包帯を巻くという謎の行為を行うが、それによって心が楽になったことを感じるワラ。やがて親友のタンシオ(貫地谷しほり)、メル友のギモ(田中圭)も加わり包帯クラブを結成。ネットで募集をかけて傷ついた場所に包帯を巻きにいき、その画像をアップするという活動を開始する。
傷ついた場所に包帯を巻くことでスッキリする。この特殊な行為はけっこう意味不明で、実際映画の中でもそこまで納得するような理由も魅せ方もされてはいない。そういう意味でこの行為が意味不明にしか思えないともうこの映画はつまらないものになってしまう。ちょっと変わった青春映画だと思ってみれば、行為そのものは理解不能でも仲間や他人の傷みを知るという部分が分かればそれなりに楽しめる。ていうかこの映画のテーマは包帯ではなく、傷みだろう。
実際当初は設定が意味不明で見るのを敬遠していたのだがとりあえず石原さとみを始めとして知ってる俳優も多く出てるし何となく見てみたらこれが意外と面白かった。かなり新しい方向へ進んだぶっ飛んだ演技を見せる柳楽優弥は実は出演作を初めて見たのだが今後も期待の俳優だと思う。石原さとみはむしろ出番からしても彼女が主役なのではないかと思うのだが…後のドラマ『パズル』での低音ぶっきらぼう口調を思わせる台詞回しもけっこう多い。ていうか『パズル』のキャラはこれを見て決まったのではないだろうか。貫地谷しほりの大げさでちょっとバカっぽい感じは『夜のピクニック』でもそうだったので定番なのだろうか。
何はともあれちょっと変わった設定についていければ、青春映画として楽しめる。青春とはそもそも意味があるんだかないんだか、そんなことが楽しいものなんだし。こんな癒しもあったんだなぁ。
主題歌は高橋瞳『強くなれ』。テーマとしてはけっこう映画に合わせて来た感じはあるし、以前の映画『手紙』のように他の曲に喰われたりもしていない。EDクレジットが真っ黒背景ではなく、出演者の静止画が表示されていく形式なのでいい感じなのだがやはり曲があまりに淡々としすぎてて長い…。
★★★☆☆