ジョゼと虎と魚たち
03年公開の映画。ケーブルテレビのチャンネルNECOで放送されたので見てみた。主演は妻夫木聡と池脇千鶴。池脇が脱いだということでも話題の映画であった。それ以上に予定調和でない結末もあってそこそこ評判のいい映画のようである。
一応以下ネタバレ。ていうか冒頭ですでに妻夫木のナレーションが振り返る系になっておりなんか結末危ないんじゃね?と示しているのでなんとなく予感はしていたんだけど。
妻夫木はいつも通り、ごく普通の大学生恒夫。ふとしたことで足が不自由なかなり変わった性格のジョゼと名乗る女の子(池脇千鶴)と出会う。恒夫にはセックスフレンドや彼女にしようと目論んでいる同級生の上野樹里がいた。その同級生の存在などもあって一時期、ジョゼのばあちゃんにもう会うなと言われた恒夫だがばあちゃんの死をきっかけにジョゼと恒夫は正式に恋人になるというラブストーリー。
1年がたって恒夫の実家への旅行へ出かける2人だが結局実家には行かず。それから3ヶ月して2人は別れてしまう。原因は恒夫の語りによる「俺が逃げた」。上野と付き合いだしたはずの妻夫木は泣き崩れ、ジョゼはたくましくもないけどとりあえず普通に生きていくというところで終了。
妻夫木はまあいつも通り。そして池脇千鶴は相変わらずの存在感。今回役のせいもありかなりモサモサした雰囲気だがそれでもかわいい。恒夫がジョゼにひかれたのもなんとなく分からなくもない。
のっけから恒夫がセックスフレンドとやっていてこの相手の女の胸もごく自然に画面に映ったり、恒夫の弟の彼女も全裸で窓の向こうから呼んでいるシーンがあったりとこの映画はそういったシーンを全く隠そうとしない。その流れで池脇千鶴も中盤過ぎに脱ぐわけである。描写としてはリアルを追求してるからそうなるのか。ストーリーも淡々としているし最後の結末もリアル。見終わった後の気分はなんだかよく分からない感じだ。障害者の女の子と付き合って結局捨てたっていうのとは簡単に言えばそうなんだけどそう簡単でもなく恒夫を非難する気にもなれないし、なんか仕方なかったような気さえする。でもなんか後味悪いよな〜。
ていうかわざわざ胸を出す必要があったのかは疑問だ。最初の2名に関してはまあ知名度の低い人だったのでいいとしてもそれでも別に必要ない。バスタオルで覆うまでをカットすればいいだけの話。だいたい池脇千鶴だよ?2度目のベッドシーンでは胸は隠していて映さなかっただけにわざわざ脱がんでも問題なかったような気がする。あの場面で「恒夫の前で脱ぐ」という行為に意味があったということか?上野樹里にもベッドシーン未満のようなシーンはあったが彼女の場合は年齢のこともあるし描写は抑え目。てか上野って86年生まれのはず。翌年には『スウィングガールズ』だし。03年の映画で大学生でしかも卒業間近の4年生役(22歳以上)って何気にすごい。ガタイがけっこういいせいか普通に違和感がなかった。
なおこの結末はなんかやだな〜と思っていたが別の解釈も可能だという。冒頭のナレーションの妻夫木の安心したような口調、バックに聞こえる池脇の声、「だった」と過去形になったのを違うと訂正する語り。そしてラストシーンで別れた後の妻夫木は泣き崩れるとくるのでもしかして復縁したんじゃないの?という説である。違っててもその解釈は素敵だなと思った。
決して素晴らしいという感想を抱いたわけではないがなんかとても印象に残る映画であった。やはり結末がそうそうないような結末だけにメチャメチャおもしろかったわけでもないのに妙に残るのかな?
評価★★★☆☆