学校の怪談 2
96年公開。前年の『学校の怪談』の第2弾で制作スタッフも同じながらストーリーは一新されていて前作との繋がりは無い。主演の野村宏伸は続投しているが、役柄が異なる。
30年前の4月4日4時44分、当時の校長先生(岸田今日子)が怪死した。それ以降4月4日4時44分には誰もこの学校に近寄らない…。東京の塾の合宿で寺に宿泊していた生徒たちは和尚からそんな怪談を聞かされる。塾講師の理香(西田尚美)の地元でもあるこの地では年の離れた弟の司(阿部大和)ら地元の子供達とも交流を行っていたが、地元組と塾生達は激しく衝突する。そんな折、4月4日の合宿最終日前夜、春なのに肝試しをやることになり準備中だった一行は、学校の炊飯器でご飯を炊いてくるよう司に命じられた(押し付けられた)塾生の1人憲(太田翔平)が、何かに引き寄せられるように時計塔に向かい、靴を挟まれて時計を止めてしまう。時計が4月4日4時44分で止まった事で周囲の天候は一変、先行して校内で案内看板の準備をしていた直弥(細山田隆人)、トップバッターとして学校にやってきた司と杏子(竹中夏海)は学校に閉じ込められてしまう。地元民だというヨシオ(日吉孝明)、ハルエ(皆川香澄)も合流する。また寺で絵を盗んだ泥棒の浅野(野村宏伸)は逃走中に地下道を通って校長室へワープ。のんびり盗みを働いていたが、彼が盗んでいた絵が妖怪として実体化、さらにその場で盗んだ校長先生の時計がろくろ首妖怪と化した校長先生を呼び寄せる。行方不明になった塾生と司を探しに、和尚と理香が地下道で迷う中、ついてきたなな子(前田亜季)もまた体育館へワープし事件に巻き込まれる。
前作をブラッシュアップさせた決定版!といった感じでギャグのキレが増し、キャラの個性も強くなり、アクションは派手になり、最後も前作以上にほろりともさせるなど全体に強いインパクトがある。当時劇場でも見たけどまず「4時44分誰も知らない授業が始まる」というキャッチが強烈で不気味だった。4で統一するため、夏のイメージが強い怪談なのに4月4日設定となり、
「何で春なのに肝試しなんだ」というセリフも飛び交うが、この4が並ぶことに怪奇現象が密接に関係していて、その時刻近辺にならないと「主」が力を発揮できない、44分で止める事で「主」が本領を発揮する、時計が動き出そうとすると崩壊するなどという設定は良かった。春なのに怪談はまあ校内で異変が起きればあんまり季節関係ないし…。また今作の舞台はド田舎。前作は使われていない旧校舎だったが、今作は現役で使用中ながら年季全開な木造の校舎なので雰囲気も抜群。さすがに21世紀にもなってくると田舎でも普通に鉄筋校舎だったりするが、90年代半ばの小学生にとって田舎=木造校舎だったのである。個人的にはシリーズ最高傑作。
浅野和成(野村宏伸)
手配肖像も出回っている神社・寺の仏具専門の泥棒。生徒たちの合宿所となっていた寺から絵を盗み出すも、住職に見つかり逃走。さらに肝試し準備中の理香たちとも遭遇し気付かれたことで肝試しが中止になり、逃亡する羽目に。学校へと下る裏山で地下道を発見し、校長室から学校へ潜入。地下道が校長室に通じているこの時点で既に奇異な事態に巻き込まれていたが(なな子は地下道から体育館へワープしており、地下道から校舎へのワープはランダムなようで実際後で校長室から脱出しようとしたら既に塞がっていた)、気付かずに校長室を物色。校長先生の時計を盗み出した後に生徒たちと遭遇し、春休み明けからの新任の先生だと偽る。泥棒稼業だけあって度胸があるのかないのか、首が伸びる校長先生に追い回されて逃げまどった後も「あんな首の長い奴が校長になれるわけない」などと迷言を連発。時計塔の靴が原因だと助けを求める生徒たちにも冷たくあしらってしまうほどだったが、終盤では盗んだ絵をあきらめてでも直弥となな子を救った。事態終結直後に逃亡。ラストでは警察に追われながらバイクで逃走していた。何故か憲の笛の音を唯一言葉として解読することができる。小田桐理香(西田尚美)
東京の塾講師。元地元民で、司の姉。姿を消した生徒たちを心配して学校に乗り込もうとするが人面犬(きたろう)を見て気絶。和尚と共に地下道からの潜入を試みると地下道内に白骨を発見して気絶。目を覚ました直後に和尚があごの下から懐中電灯を照らしていたので悲鳴を上げて逃げまどう。結局そのまま一晩さまよったらしく、夜明けに脱出し、最初に声をかけた一般人が人面犬の顔と同じ人(きたろう)と同じ飼い犬だったので気絶…など気絶芸を披露しまくる気絶芸人。小田桐司(阿部大和)
地元のガキ大将で理香の年の離れた弟。生前、すでにボケてきていたばあちゃんを公園に置き去りにした後悔を持つ。仲間達と悪だくみをして塾生たちと衝突し、特に杏子とは激しく衝突。杏子とペアでトップバッターで肝試しに参加することになったので、泥棒騒動で中止になったのも知らず学校の敷地内にやってくる。直後に4時44分になり、地面から学校へ引きずり込まれた。結果的に地元民で巻き込まれたのは司1人だけだった。しかも現役で通っている校舎内でこれだけの目に遭ったという…。稲葉杏子(竹中夏海)
東京の塾生。イマドキな気の強い女子。某ぬ〜べ〜のヒロインから命名されている。当時珍しい巨大な通信機のような携帯電話を所持しているなどけっこうなお嬢様と思われる。さらにでっかいインスタントカメラを持っていて心霊写真を撮ると意気込んでおり、当初はパシャパシャ撮りまくっていたが後半はさすがに余裕が無くなる。直弥にアタックを仕掛けるが全く相手にされず、司とは衝突するが最後は少しは気が…?演じた竹中夏海は役者としてではなく、アイドルの振付師となって現在活躍している。加賀直弥(細山田隆人)
東京の塾生。クールな一匹狼。杏子は全く相手にせず、幼馴染でいつもくっついてくるなな子にも冷たい。司からはシャンプーの匂いがするとの理由でシャンプーと呼ばれる。追いかけてきたなな子も冷たくあしらっていたが、ついてこないとなると寂しくなったらしく終盤では単身なな子を助けに出向くなどなんだかんだ情はある模様。演じた細山田隆人は現役で俳優として活動中。今井なな子(前田亜季)
東京の塾生。直弥とは幼馴染だが兄妹のようでもあり、杏子と並んでもかなり幼いので学年が違うのかと思いきやちょっと幼めの同級生らしい(前田亜季本人は2人より学年1つ下)。和尚と理香を尾行して迷い込んだので生徒たちの中では学校に入ったのが最も遅い。浅野と同じ地下道の分岐の左側を進んだにも関わらず飛び出たのが体育館の跳び箱の中だった。老夫婦のダンスを目撃後、直弥と合流するが冷たくあしらわれ、立ち尽くしていたところ鏡に捕えられてしまう。このため終盤救出されるまで出番が無い。出番は少ないが、同級生だけど一途な妹系キャラ、「〜しちゃうぞ」などの台詞回しはかわいらしく数多くのファンを生んだ。演じた前田亜季は当時から人気子役の1人で次回作では主演級、現在も女優として活動している。三好憲(太田翔平)
東京の塾生。最年少。何故か喋らず笛で意思表示するが誰も理解できず、浅野だけが何故か意味を理解できる。このため最も浅野になつく。司に飯炊き大臣に任命され、家庭科室で炊飯することになるが風で木造校舎のガラスがバタバタ言うのにビビって隠れている間に気絶していたのか、4時44分を迎えてしまう。厳密には44分になる前だったが、発動し始めた怪しげな霊気に引き寄せられるように時計塔に向かい、靴を挟んでしまったことで4時44分で時計が停止。事態の発端を作った災厄の1人。基本ピーピー言っているだけなので活躍ゼロ。ヨシオ(日吉孝明)
迷い込んでいた地元生徒。司とは面識が無かったが、性格に近いものがあり意気投合する。母校トークで盛り上がるも一部にかみ合わない部分があり、またカメラや腕時計を珍しがるなどといった言動が伏線になっている。その正体は司の祖父。戦争で戦死したと説明されているためか、孫に当たる司の事は知らず、老齢まで生きたハルエとの精神年齢にも差があるように描写されている。体育館でダンスしている時は老人の姿だったが実際はそれより遥かに若い青年期に死んだはずなのであくまでハルエに合わせたものと思われる。ハルエ(皆川香澄)
迷い込んでいた地元生徒。落ち着いたお姉さんタイプ。衝突する子供たちを一喝しておとなしくさせたり、まとまらない子供たちの意見をまとめて時計塔での靴の救出へ向かうように誘導したりとサポート役として出現した模様。名乗っていない司の名前を知っているのとその落ち着いた態度が伏線。終盤では完全におばあちゃん目線で語り掛ける、「あんまり役に立てなかった」「私たちは私たちのところへ帰るんだ」と発言するなどヨシオが自身の存在意義を理解していなかったのに対して自身の存在と役割を認識していた模様。老齢まで生きた(体育館でダンスしている老人程度)ようだが、晩年はボケが進行しており、司はかつて公園に置き去りにしてしまったことを後悔していた。この件も終盤にちゃんと直接謝罪できた。常盤静子(岸田今日子)
冒頭の怪談話の犠牲者として登場するのは前作の笹野高史と同じだが、あくまで噂話だった前作と異なり実際に30年前の4月4日4時44分怪死している。時計を大事にしていたが、30年経ってもその時計が校長室に保管されていたらしく、時計を盗んだ浅野の元に「返して、私の時計」と首を伸ばしながら出現。その模様はコミカルながらシリーズ最凶のインパクトを当時の子供たちに残した。その後、ドラマで岸田今日子を見かけるたびに「首が伸びた人」と今作を思い出した者も多い。なお首を斬られて死んだはずなのに、首が伸びる妖怪として出現したのは謎である。★★★★★