怪獣大戦争
1965年に公開された6作目。登場怪獣はゴジラ、ラドン、キングギドラで、前作からはモスラが未登場となった。以前ゴジラとラドンがキングギドラを撃退したことが語られており、前作のそのままの続編ということになっている。71年にリバイバル上映された時には「怪獣大戦争 ゴジラ対キングギドラ」とされてしまい、前作に続いてまたしてもラドンが表記されなかったという。
ゴジラ映画は3作目となる宝田明が主演。日米合作映画だったため、相棒役にはアメリカ人のニック・アダムスが起用されているが、彼は日本語が喋れなかったらしく、字幕ではなく終始日本人による吹き替え音声になっている。
木星に新たに発見された衛星、X星の探索のために宇宙局の富士(宝田明)とグレン(ニック・アダムス:吹き替えは納谷悟朗)。無事にX星に到着した彼らはX星人に迎え入れられる。X星はキングギドラの破壊行為により地中生活を強いられており、地球のゴジラとラドンを借りたいと言う。見返りにガンの特効薬を提示するというX星人の要望を持って地球に帰った2人。
地球では疑いもせずに概ね賛成ムードが高まり、X星人が予言した場所にゴジラが眠っていることも後押しして交渉が成立する。既にX星人は先回りして地球に来ており、ゴジラとラドンを確保。X星へと搬送する。富士とグレン、そして同行した博士が見守る中で、ゴジラとラドンVSキングギドラの対決が始まるが、わりとあっさりとキングギドラは敗走。重力が軽いせいか、当時流行っていたおそ松君の「シェー」を連発して喜びを表現するゴジラ。
ゴジラとラドンを残し、地球に戻った一行はガンの特効薬のデータを記録したというテープを再生するがそこにはX星人による地球侵略声明が収録されていた。ゴジラとラドンとキングギドラは電磁波で操られており、脅しにかかるX星人に騒然となる地球。
一方で富士の妹であるハルノ(沢井桂子)と付き合う、しがない発明家の鳥井(久保明)は発明した商品を買い取ってくれた世界教育社が、いつまでも発明品を製品化してくれないことに苛立ちを感じていた。担当の波川(水野久美)とグレンが付き合っていることを知った鳥井は波川が向かった孤島まで後をつけるが、実は世界教育社自体がX星人の地球拠点だった。捉えられてしまう鳥井。
さらにグレンとの間に本当に愛情を感じてしまった波川は、裏切り者として処分されてしまい、グレンも鳥井と同じ場所に投獄されてしまう。波川が最後に残した手紙から、鳥井が発明した防犯グッズの音声がX星人にとっては殺人音波に等しいものであると判明。反撃の糸口をつかんだ2人は泳いで島を脱出。
富士もまた、電磁波で操られているなら電磁波を妨害すればいいと装置を完成。X星人の総攻撃に対して一気に反撃した地球側はX星人の撃滅に成功。
正気を取り戻したゴジラとラドンはキングギドラに総攻撃を開始し、あえなくキングギドラは敗走するのだった。
今回は前作の金星人に続いてもっと宇宙色が強くなり、X星人が登場。その異様な姿はインパクトを残し、後の『ゴジラ FINAL WARS』でも当時の衣装を再現して再登場する。彼らの最期の言葉「我々は未来に向かって脱出する。まだ見ぬ未来に向かって」→自爆ズドーーンというシーンは何か無駄にかっこいい散り方だった。怪獣同士の対決よりも、X星人を巡るドラマに重点が置かれている感じ。いつの間にか街の中ではなく、山中でのシーンが増えるなど予算的な問題があったのかもしれない。
前作では何故かキングギドラ戦で熱線を使用しなかったゴジラだが、今回はしょっぱなから使用。そりゃ相手が光線連発してくるんだから、応戦するならそうだろうなという感じなのだが、ラストの最終対決では何故かまたしても使用しない。ラドンと共闘させようとすると肉弾戦の方が都合がいいのかもしれない。実際、熱線を使っている間はラドンの出番皆無だったし。結局2作続いたラドンとの共闘は以降はなくなってしまった。
今回だけで2度も敗走(1回目はやらせだけど)したキングギドラ。本当に強いのかも早くも怪しくなってきた気がするが、とりあえずまだ生きているということで決着はまたしてもおあずけである。
★★★☆☆