ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer
00年公開。99年冬ドラとしてカルト的人気を誇った「ケイゾク」の続編にして完結編。99年12月にはSPドラマが放送され、それに続く流れとなっている。ラストではシャレでドラマ版のシーズン弐予告が入っているがあくまでシャレであり、シーズン弐は放送されていない。ただし2010年秋ドラとして放送された「SPEC」は10年後の世界を描いたもので野々村(竜雷太)と近藤(徳井優)が続投している。
ケイゾク課に柴田(中谷美紀)が係長として赴任。そこに磯山章子(大河内奈々子)と名乗る女性が母親を連れて相談に来る。母親は15年前の船の沈没事故の生き残りで、両親が事故で死んだ娘の七海(小雪)からの招待状が届く。弐係に同様の招待状が届いていたので、母が行けなくなった代わりに参加した章子と一緒に柴田と真山(渡部篤郎)が同行することになる。招待されたのは事故の生き残りの人々で、七海は厄神島という孤島の城で1人暮らしをしていた。物が消えるとか黄泉の国への入り口があるとか曰くつきの怪しい孤島で、七海は両親はあなた方に殺されたと断言。次は人の命が消えると予告して1人が死んでしまう。美しき殺人鬼と化す七海だが、何の証拠も無いので手出しできない柴田と真山を前にさらに犠牲者が出ていく。
一方連ドラ時代からの宿敵である朝倉を追っていた壺坂(泉谷しげる)と斑目(村井克行)はお互いを朝倉だと思い込んで同士討ちしてしまう。壺坂の死体が上がり、残った弐係は警戒。不倫相手の女子高生雅ちゃんと晴れて結婚へ向けて進む野々村と家庭持ちの近藤を騙して置き去りにした彩(鈴木紗理奈)は単身柴田と真山の後を追う。だがそこに斑目が登場(死んだことは知られていない)。斑目は彩の心が自分に無いと知ると「手に入らないならこの世にいない方がいい」と銃を向け…。
物凄くマニアックな雰囲気の中で超常現象のような事件が起きるが、事件自体はちゃんとトリックのある事件であり、最終的に柴田が解決する。だが直後に赤いガスと共に朝倉が展開する黄泉の国へ突入し、犯人が消失。死者が続々と蘇るサイコな世界に転換。朝倉はマインドコントロールを使う犯罪者という設定で、他人に乗り移ったりもしていたが、ここでは完全に非現実世界に突入している。10年後には能力者が大挙して出てくる「SPEC」が放送されるので朝倉も強力な「SPEC」の持ち主だったとも言えるが、とにかくワケが分からない終着点へ向かうので、理屈を求める人には厳しい内容だと思う。分からない人は分からないが根強いファンも生んだ作品なのでハマる人はとことんハマるだろう。あとノベライズだけでなくシナリオ本も出ているのでそれを見るともう少し内容が分かる。例えばラストシーンで全く画面には映らないが何かブォ〜〜〜と音がなっているのは迎えの船が近づいている音だとか。
劇場公開当時、連ドラを全く見ていなかったが友人が見ていて誘われて映画だけ鑑賞した。事件自体は連ドラを知らなくても楽しめたが、朝倉が何なのか分からず、終盤のトンデモ展開もワケが分からなかったがあまりのぶっ飛びっぷりに何だか異様なかっこよさを感じて非常に印象的な作品となり(連ドラも全部見た)、個人的に非常に好きな作品である。2年後にこのサイトのタイトルもこの映画のサブタイトルから名付けているが、元々この映画は「うる星やつら」の映画から名付けたらしい。
本当にたまたまハマっただけなので、いきなり映画から見るのは激しくお勧めしない。連ドラの流れを踏まえ、さらに朝倉がもう何でもありで実体すら曖昧な存在であると認識したうえで見ないと何だこれ?で終わってしまうだろう。
ただそれにしても参ったのは映画のパンフを買ったら、文字が全部ローマ字でぐるぐる書かれており、解読が非常に困難だったことである。
★★★★★