恋人はスナイパー<劇場版>
テレビ朝日の2時間ドラマスペシャルで01年、02年にやっていたドラマの続編で第3弾完結編。普通の2時間ドラマには珍しいアクション多彩のドラマでけっこう人気があった。
母親と再会するために一流のスナイパーとして1211という暗殺組織に属していたカイコー(内村光良)と刑事のきなこ(水野美紀)が繰り広げるアクションドラマであちこちにボケたセリフなども組み込まれていて笑いの要素も満載。ドラマ1回目ではカイコーの正体を知ったきなことカイコーが対決の末、決着がつかず何処へと去って終わり。2回目では終始アクション満載で母親とも再会を果たしてカイコーが神妙にお縄についたところで終了。
ストーリー的にはもう完結しておりカイコーの目的である母親との再会も果たした上に服役中なのにどう話を作るのか疑問だったが、1211が起こした事件を解決するために服役中のカイコーを協力させるという形で話をつないだ。1億3000万人を誘拐したという予告でも大々的にやっていた部分は西村京太郎の著書からいただいたアイデアらしいが原作ではなくその部分のアイデアを使っただけの模様。『踊る大捜査線』など数々のヒット作を手がける君塚良一が脚本を手がけている。
ただそれにしてはあまりにお粗末な展開。ドラマ第2弾ではアクションが主流だったのに今回アクションはかなり抑え目。ほとんどが事件を追っているだけであまり映画らしい迫力はない。ラストではスナイパー対決などをやっているがこれはタイトルがタイトルだけにスナイパーにこだわりすぎた結果だろうか?さらになんとも後味の悪い結末。バッドエンド。形は違えど『スペーストラベラーズ』を思い出した。ドラマ第2弾のほうがよっぽど良かった気がしてかなり期待はずれだった。
少ないながらも水野美紀のアクションシーンはなかなかのものでもっとアクション俳優として活躍して欲しい。同年代であれだけできる女優は他にはあまりいないと思うのだが何故あまりアクション系に出ないのだろうか。
また本作はいかりや長介の遺作となっている。公開上の遺作ということで実質的な最後の撮影作品は同時期か少し後に撮影されていたと思われるフジテレビのドラマ『あなたの隣に誰かいる』になるはずであるが、どういうわけかフジテレビでは『踊る大捜査線』の映画第2弾を遺作だと1周忌特番で言い切っていた。フジテレビはそんなに大ヒット作である『踊る』に「いかりやさんの遺作」というハクをつけたいのだろうか?声のほうは『あなたの隣に誰かいる』の終盤にさしかかる直前といった感じでかなりガラガラ度が増して聞き取りにくくなっているもののドラマ序盤かドラマ前に撮影が終わっていたようでそこまでひどくはない。
印象度★★☆☆☆