天国の本屋 恋火

竹内結子が2役で主演。『黄泉がえり』、『星に願いを。』、今作、『いま、会いにゆきます』と生きる者と死んだ者が絡むストーリーに連続して出演しているのは何故なのか分からないがこちらはあまり大きなヒットにはならなかった模様。大ヒットした『黄泉がえり』『いま、会いにゆきます』に比べれば『星に願いを。』寄りの小規模ヒットといったところか。

原作は『天国の本屋』シリーズの第1作『天国の本屋』と『天国の本屋 恋火』。基本的には生きている者がヤマキという者に連れられて天国に来て何かを掴んで再び現世へ帰っていく話。話のメインは健太、香夏子、翔子、瀧本らが出てくる『恋火』のほうでサブストーリーとして『天国の本屋』からユイ(香里奈)と弟のエピソードを入れている。原作では『天国の本屋』主人公のサトシ(新井浩文)は設定を変えてヤマキの助手のような役どころになっている。

ストーリーは天国と現世が別々に進行しながら絡み合っていく。ピアニストの健太(玉山鉄二)がオーケストラをリストラされてヤケ酒しているところにヤマキ(原田芳雄)が登場。健太が目を覚ますとそこは天国でヤマキは「君はまだ死んでおらん」と言い本屋で短期アルバイトをすることになる。徐々にここが天国なんだという認識を深めていく健太だがそこに翔子(竹内結子)が朗読を依頼にやってきた。翔子が幼い頃から憧れていたピアニストだと分かった健太は彼女の元を訪れる。翔子は恋人が起こした花火の暴発事故に巻き込まれたのがきっかけでピアノが弾けなくなっていた。未完成の組曲の第10番「永遠」、健太はこの曲を完成させようと決意する。

一方、現世では翔子の姪にあたる香夏子(竹内結子)が12年ぶりに街の花火大会を復活させようと仲間たちと奔走していた。昔を知る者に「恋する花火」の伝説を聞いた香夏子はその花火を作っていたという職人、瀧本(香川照之)の元を訪れるが瀧本は12年前に恋人の翔子の聴力を奪った暴発事故が原因で花火作りを辞めていた…。

てな感じで徐々に天国と現代が絡み合っていく。ここでの天国の概念は変わっていて人間の寿命は100年と決まっている。現世で死んだ者は残りの時間を天国で過ごして100年たつと記憶が全て消されて現世で生まれ変わる。天国では死んだ時の姿のまま年をとらない。100年以上現世で生きている場合は100年経過した時点で天国を素通りして生まれ変わる。で、記憶を消された生まれ変わりも同時にその世界に存在する。最後の100歳越えのあたりがやや強引ながらもこの設定は斬新でおもしろい。

2役の竹内もしっかりと演じ分けており同じ人物には見えないようになっている。開始15分ほどまで全く出てこないが登場後は現世でも天国でも竹内結子は出ずっぱりとなるのでファンは必見かもしれない。

細かいところを気にしたらキリがないが、単純にファンタジーと考えればけっこう入り込めるお話。あまり狙いすぎてないのでさらっとした感じも受ける。その狙いすぎてない感じのせいでラストにかけての盛り上がりがそこまで派手じゃなくやや地味な印象もあるが個人的には竹内4連作(?)の中では『星に願いを。』『黄泉がえり』以上『いま、会いにゆきます』未満といったところか。なかなか良かった。

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印象度★★★★☆

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