告白

2010年公開。湊かなえの小説の映画化。過激な少年犯罪の描写などからR-15指定を受けたが、興業的には大成功を収めた。日本アカデミー賞で最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀脚本賞・最優秀編集賞の4冠に輝くなど数々の賞を受賞した話題作となった。

中学校1年の担任教師、森口悠子は3月の終業式の日、突如教師を辞めると宣言。少し前に幼い娘(芦田愛菜)がプールで水死し事故死とされた事件を独自に調査した結果、このクラスの中に犯人がいると判明したと告げる。少年A,Bとしたがクラスメイトたちにはすぐに誰だか分かるような特徴を挙げまくり、事件の真相を淡々と暴露。恐ろしい罠を仕掛けたとしてその内容を冷酷に告げてパニックになるクラスをしり目に去っていく。

2年生になってからのクラスの様子は狂気に満ちていき、少年Bは不登校になり精神を崩壊させていき、その母親の下村優子(木村佳乃)もまた息子への過剰な愛から悲劇的な結末へと向かっていく。少年Aは学校に通いながらもいじめられていたが、クラス委員の美月(橋本愛)と親しくなっていく。だが少年Aの背景が明らかになるにつれて更なる悲劇が…。

森口が最初の「告白」をして以降はクラスの異常な状況を森口への手紙という形での美月の「告白」、少年Bの母である下村優子が家族に向けた日記という形の「告白」、少年Bの生い立ちや背景が語られクライマックスへ誘う狂気の「告白」とそれぞれの視点で状況が描かれていく。そして少年Aの「告白」とその行動、最後に仕掛けられた森口の復讐が動き出す…。それぞれの背景がそれぞれの「告白」によって少しずつ印象が変わって固まっていくところが秀逸。

全体の印象は割と静かなトーンながらスリリングかつ怖い。少年Bは気弱ゆえに狂気に堕ちた形だが少年Aは最初からぶっ壊れてて過激。冷徹な森口も怖いが、不意に涙を流すシーンもあったりして、全体的に生々しい。だが終わってみるとそこまで不快なだけではない。もう1度見たいとは思えない悲劇の話ではあるが確かにこれは強烈な名作だと思う。ただ内容が内容だけに★5はつけたくない感じ。

まだマルモリ前の芦田愛菜はまだ幼すぎてクレジット見るまで分からなかった。松たか子や少年A,Bの好演は当然ながら、キーパーソンの1人である橋本愛がなかなかいい存在感を見せていた印象。それだけに彼女の結末が…。

ただ唯一違和感があったのは冒頭の担任が喋っているのに好き勝手に喋り倒してまるで聞いていない様子のクラスの連中の描写。その後のイジメ描写などは森口の罠のせいでみんないろいろおかしくなった感じで納得できるんだけど、先生が喋っているのに身勝手に喋りつづけているなんて個人的には小学校5,6年だけで中学以降はみんなもう少し大人で先生の話くらいはちゃんと聞いていたので随分子供っぽいなぁと思った。あえてフィクションであることを強調するために現実感の無い学級崩壊っぷりを最初に提示したのだろうか。

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★★★★☆

 

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