この胸いっぱいの愛を

「黄泉がえり」のスタッフが送る感動映画。キャッチコピーは「未来からの黄泉がえり」。まさにその通りな内容となっているがキャッチコピーを特に意識せず単に「伊藤英明が過去にワープして少年時代の自分と遭遇して死んでしまうミムラを救おうとする」話だと思っていると軽く驚く

メインは伊藤英明が少年時代の自分と出会って死んでしまうミムラを救おうとする話なのだがサイドストーリーでそれぞれ伊藤英明と同じように過去にワープして果たせなかった願いを果たすというドラマが3編繰り広げられる。伊藤英明と最初に未来からのワープ仲間となる勝地涼の自分を身ごもっているまだ見ぬ母(出産と同時に死亡)に出会うというエピソードは随所に挿入されて展開するのでなかなかいいのだが(ていうか彼のクライマックスが一番感動した)、クドカンのエピソードは役割的にもう1編の倍賞千恵子の盲導犬とのエピソードを見ていてその解説役として登場したため、自身の優しかった隣人に謝りたいというエピソードが予告ではドカンと出てるにも関わらず1人だけクライマックスになるまで分からない。そのせいでなんだかとってつけたような印象になってしまった。

それでも各エピソードをばらけさせすぎてどれもじっくり描くに至らなかった「黄泉がえり」に比べれば130分という長さになってはいるもののじっくり描いているように思う。過去変えちゃってタイムパラドックスがどうなってるのかとかいう疑問は残るし、ちょっと救いがない結末になってしまったせいかラストで救いを持たせようと意味不明になってしまっている部分もあるけど何も気にせずに見れば思ったよりはおもしろい。「黄泉がえり」のスタッフとなっているがアドレスがima-aiに対してkono-aiとなっているなど『いま、会いにゆきます』などなどここ最近の死が絡む純愛モノのヒットがあって出て来た2番煎じどころか3番、4番以上になっている感はあるのであまり期待していなかったのだが思ったよりは良かった。

それにしてもこの映画を見て思うのは内容以前にミムラがどう見ても管野美穂コピーであることだ。『ビギナー』『めだか』で見せたほんわかイメージとは見た目も性格も異なり、前髪までそろったロングの黒髪とキツイ言動は完全に菅野美穂以外の何者でもないそのもの。元々管野美穂を起用するつもりだったとしか思えないほど管野のイメージ。この映画の予告を最初に見たときは伊藤英明、菅野美穂の主演だと思ったくらいだ。そんなわけでミムラの存在感は感じず、ただただ菅野美穂なら本物使った方がいいのにと思ってしまう。それほどまでに役者・ミムラの存在感を感じない。そういえば06年に入ってからは一度もミムラを見かけなくなってしまったが…。

B000EGCWC4プレミアムエディション   B000EGCWCE

★★★☆☆

戻る