ライアーゲーム-再生-

12年公開。テレビドラマで2作、2010年に公開された「ザ・ファイナルステージ」でタイトル通りに完結していたはずの「LIAR GAME」から2年後という設定での続編。ヒロインが戸田恵梨香から多部未華子に交代になった。秋山(松田翔太)は大学の教授になっており続投。また事務局員も渡辺いっけいは続投しているが、吉瀬美智子は降板。新たに最年少事務員として芦田愛菜が起用されている。何故子供が事務局員になっているのかについては別に制作されたスピンオフで描かれているらしい。また最序盤で前作まで出演していたヨコヤ(鈴木一真)とフクナガ(鈴木浩介)が対決をしているが、これも別にスピンオフで詳しく描かれているらしい。ヨコヤの出番はフクナガに勝利してほくそ笑んでいるだけで終わり、フクナガは敗北後に何故か事務局員となり、秋山を新たなゲームに勧誘。その後は渡辺いっけいと一緒に別室でゲームを観戦するだけで本筋には関与しない。またドラマ版1期と2期の1話で少しだけ出演した坂本真は秋山の教え子になっており、一瞬だけ出演。メインの参加者では前回の映画で一緒に戦った坂巻(濱田マリ)のみがゲーム参加者として連続出演している。

大学を卒業した日に事務局から優(多部未華子)にライアーゲーム勧誘状が届く。局員のアリス(芦田愛菜)が放った心理戦という言葉に大学で何度か講義を受けた秋山先生を思い出した優は大学に飛んでいき、助けてくれと訴える。秋山は無視するが、フクナガからも勧誘を受け結局参戦することに。今回のゲームは椅子取りゲーム。その実態は仲間同士で国を作っての心理戦。前回優勝者の秋山を敵視する桐生(新井浩文)、カルト教団教祖で信者を率いて戦う張本(船越英一郎)らとの知能戦が始まる。

と、まあいつも通りの展開。続編をやると聞いた時は真っ先に終わった話を無理やり続けなくてもいいじゃないかという感じだったが、ヒロインが多部未華子なら、ということで見た。というのも連ドラ進出以降の多部はコメディ女優になってしまったかのようにイロモノキャラばかりだったので、今回は久々に普通の多部未華子が見れるだろうという期待があった。

しかし事務局員がいくら旬の人気子役だったからって芦田愛菜では不気味というよりいくらしっかりした子供でも滑稽すぎ。首謀者の江角マキコも堅い表情で見ているだけ。設定上は前作で大損した出資者の1人で秋山に復讐するためにムリヤリゲームを再開させたというが、そんな様子は微塵も描写されず。復讐のターゲットにむしろ真のライアーゲーム破壊神(そして参加者にとっては救いの女神)であったナオを選んでいない時点で、この首謀者の底の浅さが見えてしまう。江角と芦田の2人の関係性もスピンオフ見ないと分からないらしいし…。

ゲームの細かい内容以外はピンチ→逆転→大団円というお約束だけにヒロイン交代で性格を変えたのでそれによる新展開が加えられたのでそこは良かった。バカ正直だったのである意味芯が通っていたナオと違って、優は良くも悪くも普通の女子大生なので、負ける恐怖に脅えるし、言葉少なくゲームを進める秋山の事も自分から助けを求めておいて信用できなくなってしまう。それによりナオでは絶対にありえなかった行動を起こす。ここは新しかった。優の性格にはかなりの人間味があるものの、ヒロインとしての好感度はダダ下がりで、最後同じような締めになるならその説得力はやはりナオじゃないと出てこないなとは思った。

物語が引っくり返るような裏切りも無いのもこのドラマのお約束としてはぬるかった。今回出てきたライバルが過去に比べて弱かったわけではないけど、キャラクターが見せる裏の一面などの意外性が無かった。特に小池栄子が出ていたので9年前に松田翔太の兄、松田龍平の前で見せた悪の豹変っぷり(「恋愛寫眞」より)を期待していたが彼女も年齢を重ねてすっかりおとなしくなってしまったようだ。

あと渡辺いっけいは何か今までよりも賢くなっていたような…。いつも映像見て驚く役回りだったのに、冷静キャラだった吉瀬が降板したのでフクナガと2人で驚いてたんじゃ絵にならないせいか、今回は冷静に先を読んでいた。

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★★★★☆

 

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