LIMIT OF LOVE 海猿
04年に第1弾が公開され、05年には映画のような規模で連ドラ化、そして06年に今作が公開された。元々1作目の時点で何も決まっていないのに続編予告映像をラストに加えていた。映画がヒットした事で正式に連ドラ→映画の流れが決定した。連ドラは視聴率的には平均15%にも届かない、完成度や派手な映像のわりには不調な結果になってしまったが映画のほうで予算が削られてしょぼくなるようなことはなかったようだ。
今回は巨大フェリーの座礁事故。乗員避難に出向いた仙崎(伊藤英明)と相方の吉岡(佐藤隆太)は、乗客の吹越満と船内売店店員で妊婦の大塚寧々と共に、浸水/火事で船内に閉じ込められてしまい、そこからの脱出を図る。
開始30分くらいは前フリなのかと思ったが、開始10分程度ですぐに事故が起こって緊迫した状況が続くのは圧巻。次々と起こる危機も手に汗握る展開で気が抜けない。さすがに予算がかかってるだけあって、映像も凄い。あちこちで言われているがクライマックス近くのハシゴのシーンで、外では船がほぼ真横に近くなってるまでに傾いてるのにハシゴはほぼ垂直とかその辺は雰囲気でカバー。そんなのは見てる間はわりとどうでもいい。個人的にはむしろその後、水浴びまくりシーンの後から、主人公サイドのシーンがすっぽり抜け落ちているので本当にあの状況から大丈夫なのかよという方が気になった。たぶん最終作にして潜水シーンが出てきてなかったので入れるために引っ張ったんだろうけど、あのまま解決してても問題はなかったと思う。ていうか告白というクライマックスの流れからするとそのほうが自然だ。盛り上がりは続いていくので、悪くはないけど少し詰め込みすぎな気がしなくもない。
アメリカだかでは失笑を呼んだという告白シーンは、まあ文化の違いなんだろう。ドラマでは結局微妙なままだった恋模様は展開するところまではしっかり展開しているが、それでもラブの部分で必要以上に時間をかけまくっているわけでもなく、基本は潜水士仙崎の姿を描いていたので良かった。
主題歌は、ドラマ版が仙崎の視点だったのに対して、伊藤由奈のは環菜(加藤あい)の側からの信じて待ってる的なものになっている。実にドラマにはまっていた『OCEAN』は是非映画でも聞きたかった気がする。冒頭で手を離してしまった後悔から今度は「絶対手を離さない」というクライマックスでの仙崎の思いは『OCEAN』のサビにもピタリ合っていたと思う。伊藤由奈だと完全にラブソングしちゃってて、映画のタイトルには合っているんだけど、本編見てみれば『OCEAN』の方が熱い。この作品には合っていたと思った。
★★★★☆