メカゴジラの逆襲

1975年公開の15作目。前作の続編で設定は受け継がれているが、人間ドラマの方では前作から引き続き登場するキャラはいない(役者自体は前作に出た人が別人役で出ている)。今作が『ゴジラ対メガロ』をも1万人下回る動員97万人に終わったため、ゴジラ映画は休止が決定され、84年まで9年間眠りにつくことになる。

1作目から重要な役どころで出演してきた平田昭彦が真船博士役で主演。前作でも別の役で出演していたためか、白髪白髭の老けメイクじじぃ声となっており、半ば変装状態で出演している。クレジットの1番上は7作目にして初。また84年の『ゴジラ』にも出演が決定していたものの、病に倒れ亡くなってしまったためこれが最後のゴジラ映画出演となった。なおゴジラ映画最多出演は今作にも防衛隊指令官役で出ている佐原健二の13作だが、この人は主要キャストとしてよりもチョイ役であちこちに出ているため印象自体は強くはない。メガロに出ていた佐々木勝彦も出演している。またブラックホール第3惑星人のトップが前作と同じ睦五郎だが、同じ顔に変装しているという設定のようで、別人(前作で死んでるし)。

また本多監督にとっても今作が最後の監督作品となった。

 

前作で爆発炎上したメカゴジラの機体を回収しようとしていた潜水艦が「きょうりゅうだ」という言葉を残して沈められてしまう。その頃、前作で壊滅したブラックホール第3惑星人の新たな部隊がメカゴジラを修復していた。彼らは、恐竜をコントロールできる装置を発明し学会を追放された真船博士(平田昭彦)と協力し、チタノザウルスを操る事に成功していた。真船博士は自分の研究を認めずに追放された経緯から人間を憎んでおり、またブラックホール第3惑星人実験に、自分の実験中に死なせてしまった娘の桂(藍とも子)をサイボーグにして生き返らせてくれたこともあり協力していた。

海洋開発研究所の一之瀬(佐々木勝彦)は、チタノザウルスが操られているとは知らずに真船の研究に注目し、家を訪ねるも桂は「父は死んだ」と言う。桂に好意を抱いた一之瀬は敵だとも知らずにペラペラと手の内を明かしてしまう。桂は思い悩むが、第3惑星人らの説得もあり、一之瀬が発見したチタノザウルスの弱点である超音波を発声させる装置を破壊。真船博士の命令でチタノザウルスが東京を破壊し始める。

ゴジラも出現して対決が始まるが、その最中で桂が追いかけてきたインターポールに追われて撃たれて再び死んでしまう。第3惑星人によりさらにサイボーグ改造されて蘇った桂はメカゴジラのコントロール装置を組み込まれる。ついにチタノザウルスとメカゴジラによる総攻撃が開始される。少年たちの「助けてゴジラ〜」の叫びと共に出現したゴジラ。これまでも相棒が役に立たないために実質1対2での戦闘を余儀なくされたゴジラだが、今回完全に1対2での対決となり苦戦する。元はおとなしい恐竜だというチタノザウルスだがアグレッシブに攻撃を繰り出しまくり、メインでゴジラと対戦。そのため前作と違い、メカゴジラは後方支援に回り、たまにミサイルを撃ち込む程度にとどめる。

チタノザウルスのアグレッシブさと戦闘力はそこらの怪獣よりもすさまじいものがあり、蹴りだけでゴジラを小さな山を飛び越えるほどに遠くまで吹き飛ばし(ゴジラがこんなに吹き飛んだのはたぶんこれが史上最高)、口の上をくわえた状態でゴジラを浮かせながら殴るなど驚異的なパワーを見せつける。ついには生き埋めにされてしまうゴジラだったが、そこに超音波装置を修復した自衛軍が登場。チタノザウルスの動きを止める。

このスキにゴジラが復活。ようやく本領を発揮したメカゴジラは前作のようなしっちゃかめっちゃかな大乱射を繰り広げるが、2度目で慣れてきたのかゴジラは捨て身で連続攻撃の嵐の中を駆け抜けてメカゴジラに突進。再び首をもぎ取ることに成功。しかし、前回の反省を生かしたのか中からはレーザー発射装置がついており、メカゴジラは頭部のない状態でもなおも攻撃を繰り出してきた。

その頃、真船博士の家に移っていた司令室では、捕らえられた一之瀬が縄をほどくのに成功。第3惑星人を1人倒したところで、応援が駆けつけて銃撃戦に。先ほど桂を躊躇無く撃った時同様に、なんのためらいもないインタポールの連中は桂の腕を撃ち抜いたばかりか、応戦する第3惑星人のすぐ横にいた真船博士を殺してしまうも何のフォローもなし。サイボーグだと知って動揺するも告白する一之瀬の愛に、人間の心を取り戻した桂はメカゴジラを止めるために自害。

コントロールを失ったメカゴジラは棒立ち状態になり、ゴジラの攻撃であっさり破壊されてしまう。苦しむチタノザウルスも滅多打ちにされ、海中へと没した。戦いを終えて静かに海へと去っていくゴジラ。まるでこれが最後になることを予期していたかのようにロングで海に去っていく映像が2代目ゴジラ最後の姿となった。

今作では何故か「恐竜」が「恐龍」と表記され、役者たちもこぞって「きょう りゅう」と「きょう」の方を上げて発音するため何だか凄い違和感がある。

それとチタノザウルス、アグレッシブすぎ。ゴジラが蹴りだけで宇宙空間でもないのにあんなに吹っ飛んでいくのは衝撃だ。キングコングなど足元にも及ばないし、アンギラスやラドンよりも凄いんじゃないだろうか。今回は1番手の真船博士が悪役ということで、15作目にして敵が主演という珍しい事態に。その最後は妙にあっけないが、味方側のインターポールも容赦なさすぎでためらいなく撃ち殺すもんだから、これはこれで怖い。メカゴジラの方は、チタノザウルスが思いのほか健闘したためあまりパワーアップした感じもしなかった。

あと、冒頭はクレジットと共に前作でゴジラとメカゴジラの対決がリプレイされるのだが、キングシーサーの部分はカット。なのに普通に回想として違和感なく成り立ってしまうあたり、キングシーサーがいかに役に立っていなかったかが分かる…。

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★★★☆☆

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