モスラ3 キングギドラ来襲

98年公開。平成モスラシリーズ3部作完結編。別に明確に完結という形は取られていないが、翌年以降は早くもゴジラシリーズが復活となり、モスラシリーズが作られなくなった。またこの3作の設定が以降の作品に引き継がれることもなかった。

今作でもエリアス姉妹のモル(小林恵)、ベルベラ(羽野晶紀)が続投しているが、ロラは山口紗弥香が連ドラにレギュラー出演するようになり、忙しくなったためか降板している。今回山口はナレーションで参加しているが、ロラ役には新たに健みさとが起用されている。また今回3人の衣装はまたしてもチェンジされており、比較的1作目に近い色合いに戻っているが王冠がついたりと服装が王女様風になっている。前作よりはマシになったが、今回は逆に豪華すぎて個人的には1作目の衣装が1番良かった。

 

インファント島ではベルベラがエリアスのトライアングルの宝のうちの1つを盗み出していた。モルとロラが追おうとするが地球に驚異が迫っていることを告げて去っていくベルベラ。

やがて青木ヶ原樹海に1億3000年前に恐竜を滅ぼしたというキングギドラが来襲。今回は子供たちのみをさらい、球体のドームに幽閉して捕食しようとしていることが判明。事態を察知したエリアス姉妹はモスラを呼ぶ。

前作でレインボーモスラへとパワーアップしていたモスラだったが、数々の攻撃が全く通用せず、手も足も出ないままにやられてしまう。さらにキングギドラはモスラとエリアス姉妹の関係を瞬時に見抜き、眼力でロラを洗脳。ロラが敵になってしまう。

その頃、不登校の少年、翔太(吉澤拓真)は子供たちが幽閉されたドームの付近まで来ていた。内部に弟と妹がいることに気づくがその背後に触手が迫っていた。飛び込んできたモルに助けられた翔太はその後、モスラが墜落している地点に辿り着く。モスラは1億3000年前にタイムスリップして、まだ若い頃のキングギドラを倒すと宣言。もう戻ってこれないというモルの制止を聞かずに、タイムスリップを開始したモスラ。覚悟を決めたモルは単身モスラをタイムスリップさせる歌で協力するが、力を使い果たし、絶命

後を託された翔太は自らドーム内部へと潜入し、ロラを探す。その頃、ベルベラもドーム内部に引きずりこまれていて、操られたロラにやられていた。

1億3000年前に到着したモスラはまだ若いキングギドラに勝負を挑み、連続攻撃を仕掛ける。全く通じなかった先ほどよりは攻撃は効いているものの、しっぽがちぎれたくらいしか有効打を奪えない。逆に反撃に遭い、羽をちぎられるなど、どんどん追い詰められていくモスラ。

現代では翔太の説得で正気を取り戻したロラが、モスラを援護する歌を披露。ベルベラは3姉妹の力が結集した剣を作り出すことに成功するが、これは姉妹のサイズがサイズだけに大して役に立っていなかった…。

追い詰められていたモスラは最後の力を使い、鱗粉を乱射する捨て身の攻撃でキングギドラの動きを封じて、火山へと運び倒す事に成功する。しかしダメージを追って黒こげ状態のモスラもまた墜落し絶命。そこに原始モスラ幼虫が3体登場し、モスラを繭で封印する。

現代ではキングギドラが消滅。ドームも消滅して子供たちが解放された。モルの死に衝撃を受けるベルベラとロラだったが、本当に歴史が変わったならそもそも自分たちはここにさえいないはずだというベルベラ。案の定ちぎれたしっぽを元にしてキングギドラは再生される。戦うしかないとベルベラとロラがフェアリーモスラに乗って、先ほどの剣で波動を出して攻撃するがサイズが小さすぎて話にならない

そこに封印されていたモスラが1億3000年の眠りから復活。鎧モスラとなって蘇ったモスラは、キングギドラの攻撃を全く受け付けず、体当たりだけでキングギドラの羽を切断するなど圧倒的な強さを見せつけ、貫き大爆破。完全勝利を遂げる。

戦いを終えて、鎧化を解除して鎧モスラ・エターナルになったモスラは、モルを蘇らせ、開放された子供たちを見届けた後に去っていくのだった。

 

 

今回は人間ドラマが少なく、かなり早い段階から怪獣が登場する。3度も決戦がある上に、モスラもキングギドラも以前のものとは違うデザインが続々出てくるし、1億3000年前では各種恐竜も出てくるなど気合が入っている。実際そのせいでセット予算が尽きてしまい、キングギドラが街を破壊するシーンはCGで表現されているが、極端にCGっぽくなっておらずクオリティが高い。

キングギドラは最強というイメージだけが強いが、ゴジラシリーズではちょっとやられそうになると敗走したり、宇宙人の洗脳下に置かれているため洗脳が解かれるとわけが分からずボコられて敗走したり、最後には総攻撃に合ってリンチ死をとげるなどその強さが具体的に描かれたことがなかった。それが今回の中盤までは圧倒的な強さを見せてまさに「最強怪獣」。素晴らしい。それを倒すほどになるモスラのパワーアップぶりも熱い。

また少年少女が大挙して出てくる割に今回は子供側の役者の印象が薄い。実質、ずっと出ているのは翔太だけで、弟と妹は妹だけで弟はいらなかったんじゃないかと思うくらいセットの扱い。なお吉澤拓真は前年に公開された「学校の怪談3」で主役級だったが、今作ではやや成長期に入ったような感じになっている。2年連続の主役級の活躍だったが今作以降、目立った活躍が無く現在は少なくともテレビ・映画のメジャーシーンからは引退しているようだ。

また3人の両親役で大仁田厚と松田美由紀が出ており、翔太を追って現場に駆けつけるなどの行動をするのだが、さほど意味があるわけでもなく、結局最初に子供たちが解放されたときにもかなり近い距離にいながら他の子供たちを助けて逃がす作業をしている間に、来ていることを知らない翔太は弟妹を見つけて、ロラ&ベルベラとモルが死んだ場所へ移動してしまい、家族5人は再会出来ずじまい。再会は最後まで引っ張るので最初と最後以外はいなくてもよかった気がしてならない。

面白いのはモラ、ロラ、ベルベラの関係性で、今回はベルベラが最初から味方。人類嫌いだが地球が嫌いではないベルベラの考え方としては、今回のキングギドラは地球そのものを破滅させる気なので、前2作のように応援には回らずに最初からキングギドラを敵として扱っている。モルの死後は、姉妹の絆を見せて率先して戦いに出向くなど、最後にしてようやくいいキャラクターになった。またキャラ付けはされてもあくまでいつも一緒という小美人の伝統は守っていたモル、ロラが、ロラが操られることによって単独行動になるという点は意外性があって良かった。しかも操られて敵になる、絶命する、生き返ると小美人史上、ほかにない出来事のオンパレード。子役の印象が薄いのはこのせいか。

この小美人設定もそうだし、進化するモスラの設定も予想以上に面白かったので、シリーズも是非続いてほしかった。3作で終わってしまったのは残念だ。まあ俺も当時は1作目しか見てなかったんだけど(中学生に上がると同時に子供向けの怪獣映画は卒業)、当時見ても面白かっただろうなと思うし、今見ても面白かった。昭和ゴジラシリーズより好きだ。

なお羽野はその後、和泉元彌と結婚して復帰以降にバラエティ進出するなど人気を獲得していったが、当時アイドル女優として売り出されていた小林恵は今作でも主題歌を担当するなどしていたが、女優としてもこれ以上のブレイクは出来ずに失速フェードアウト。代役になった健みさとと比べても小林恵は圧倒的に人気出そうな雰囲気漂っているが、この後ブレイクしきれなかったのは謎だ。

B00WJ9YUR4

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