怪獣島の決戦 ゴジラの息子

67年公開の8作目。登場するのはゴジラ、ミニラ、カマキラス、クモンガ。前作も南の島が舞台だったが、序盤では都会も出てきていた。今回は最初から最後までゾルゲル島が舞台となっていて都会が出てこない。正式名称はゾルゲル島のはずだが、映画のタイトルでは分かりやすく「怪獣島」とされている。今作で怪獣たちが住み着いている「怪獣島」の設定が初登場し、以降作品ごとに島のある場所など詳細な設定は異なる事もあるが、基本的にゴジラを筆頭とした怪獣達は普段は怪獣島に住んでいて、日本で何かあると怪獣島からやってくるというのがお決まりのパターンとなった。

キンゴジに出ていた高島忠夫が2度目の主演。「怪獣大戦争」に出ていた久保明、5度目となる平田昭彦などが今回も出演している。

ゾルゲル島では楠見博士(高島忠夫)の指揮の下で、藤崎(平田昭彦)ら研究チームが泊り込みで気象実験を行っていた。そこにフリーの記者である真城(久保明)がやってくる。真城は島で謎の女性を見かけるが、博士らは島内の調査は済んでいるといい、実験を決行する。その実験とは天気を操作して、暑い南のこの島を凍結させる「シャーベット計画」だった。

しかし謎の妨害電波により、実験は失敗。島は激しい嵐に襲われた後に70度の異常高温が数日続き、生息していた大カマキリが超巨大化し、カマキラスへと怪獣化してしまう。ようやく気温が正常に戻って外に出られた一行はカマキラスの出現に驚愕。さらに3体のカマキラスが山を叩きまくると中から卵が出現。生まれたのはミニラだった。容赦なくミニラを攻撃するカマキラス3体だがそこに呼び寄せられたゴジラが到着。2体を熱線で葬り去り、1体が逃走する。

さらにかつてこの島に残ったという博士(既に他界)の娘であるサエコ(前田美波里)が1人で生きていたことが判明する。ゴジラに研究所をほぼ壊滅させられてしまったので、異常高温にも耐え抜いたというサエコの住む洞窟へ移動して実験を続けようとする無謀な楠見博士。

トドメにこの島にはかつてからクモンガというクモの大怪獣まで生息していることが判明。ミニラはゴジラの教育の元で弱弱しいながら熱線を会得。再度、カマキラスと戦うも実戦でビビッて力が出せずに追い詰められてしまう。ゴジラの登場で窮地は脱したが、今度はクモンガが目覚めてしまいピンチに。クモンガの糸攻撃は強力でミニラはすぐに身動きが取れなくなり、やってきたカマキラスも飛び回ったのも虚しく身動き不能になった上に、クモンガに刺されて絶命。

次々と起こる怪獣たちの対戦にさすがに焦り気味のチームは、ようやく島脱出を検討。無線を直したところ、救援が既に向かっているとのことなので、置き土産的に怪獣を冬眠させるために再度シャーベット実験を行うことに。今度は成功し、島が吹雪になっていく中で、チームはゴムボートで島を離脱。吹雪の中でゴジラミニラとクモンガの最終決戦が続く。死んだフリにひっかかって片目をやられたゴジラだがミニラとの熱線連発で最後はクモンガを焼却処分!しかし寒さに耐え切れずミニラがダウン。ゴジラもまたミニラを抱えるように眠りにつくのだった。チームの元にも潜水艦で救援が到着するのだった。

 

ここ数作で人間っぽいところを見せていたゴジラだが今回はいきなりゴジラが親になってしまうということでかなり大胆な方向転換。元々、原始生物が核の影響でゴジラに変貌したはずなのに、卵から普通に生まれる時点でパチモンじゃないかという気がするが、平成ゴジラシリーズの「べビー→リトル→ジュニア」の方が親しみがあるので、ミニラの存在は個人的には気にいらない。デザインも究極にだっさいし。

島を事前に調査した上で実験に踏み切ったという割には、危険な大カマキリは放置しておくわ、先住民のサエコに全く気づいてなかったわ、クモンガがいたことにも気づいていなかったわと危機管理が全くなっていない研究チーム。挙句の果てには怪獣島になってしまっても、1人が「俺は帰るんだぁぁぁぁ!!!」と発狂しただけで全員冷静に実験を続けようとするのだからたいしたものである。ていうかサイコ集団すぎる。これで誰も死なないのだから凄い。ちなみに今回は人間側に敵がいないこともあり、初めて人間の死者ゼロであった。

前作に続いて今回も既存の生物が巨大化しただけなので、どうにもインパクトは薄く、対決色も薄い。しかもかかる音楽がミニラに合わせたように急激に子供っぽいものになっているので、かなり子供向け、それも小学校低学年向けの色が濃くなってきた感じがする。

B00ISOILDSBlu-ray  B01DFB01HMDVD 

★★☆☆☆

戻る