日本沈没
小松左京による73年の小説及び映画化が大ヒット。06年になってリメイクされたのが今作。リメイクによっていろいろと変更がなされたらしいが、最大の変更点は登場人物の末路と話そのものの結末とラブストーリー部分をメインに持ってきていることのようだ。
草なぎ剛がエリート潜水艦操縦士、柴咲コウがハイパーレスキュー隊員、この手の話に付き物のの事態の予測/解説/救済策発案者の科学者役に豊川悦司、今回の危機に対応する政府職員の中でも最も活躍する実質代表者的な大地真央などなど豪華メンバー。
崩壊していく日本の映像は迫力あるものの、巨額の制作費からしてただのパニック映画では不安だったのか、ヒットしやすいラブストーリー的要素を大幅に組み入れたせいで、何だか真っ二つに両断されたような印象を持った。崩壊してゆく緊迫感の中で、ラブストーリーにそんなに時間割いても、緊迫感が薄れるだけ。一応、ラストでの「守るものがあるから俺は行くんだ」的な方向に持っていってるんだけど、そもそもラストに至るまで主演の草なぎが、崩壊してゆく日本という状況をまるで感じさせずに神出鬼没にあちこちに出現して、ずっとフラフラしてるもんだからここだけ別次元のようで何だか違和感が抜けなかった。柴咲コウは
全くレスキューに見えな一応レスキューなので被災地に出陣しているからそこまで違和感はないのだが…。この危機に対応し、さっさと海外に逃げてしまった上司に憤りを覚えつつ、少しでも多くの国民を救おうと奮闘する大地真央あたりを主演においたほうが自然だった。この人とパニックに陥る人々、崩壊する日本だけで一貫性は取れたと思う。ラブストーリー→「守るべきものがあるんだ!」に持っていってしまったがゆえに何だかどこかの洋画「アル●ゲ●ン」で見たような流れになってしまい原作や前作とは違う結末へ着地してしまった(らしい)ため、テーマも何だか違うようだ。リメイクだし、現代風だとこんな感じなのだろうか。
崩壊してゆく日本の映像はどれもド迫力だったんだけど、何だか話としてはコケるわけにはいかないからラブストーリーを組み込むという安易かつムチャな方向になってしまっていて何だかはまりきれなかった。
★★★☆☆