ロボコン
03年9月公開。長澤まさみの初主演映画。翌年「世界の中心で、愛をさけぶ」での大ブレイク直前の作品。主要キャストは小栗旬、伊藤淳史、塚本高史と主演クラスの豪華なラインナップになっているが、長澤はあまり一般的には知られておらず、小栗や伊藤も子役時代から名前は知られていたものの大人になって本格的にブレイクしたのはこの数年後で、この当時は塚本が4人の中で1つ抜けて有名で既にドラマ、映画に最も出演していた。
山口県徳山工業高等専門学校(実在する)の里美(長澤まさみ)はやる気のない日々を過ごしていたが、居残り授業を回避するために落ちこぼれが集まっている第2ロボット部に入れと命じられる。エリート集団のロボット部とは対照的に、頼りない部長の四谷(伊藤淳史)、天才だが性格に難がありすぎる相田(小栗旬)と共にロボットコンテストに参加することになった里美。サボりがちな不良の竹内(塚本高史)の代わりに操縦係となった里美だが練習試合では散々な目にあい、地方大会でも惨敗してしまう。ところが優勝校以外にも審査員にロボットのユニークさを認められて全国大会にいける2校の枠に選ばれてしまう。悔しさを感じた里美はやる気をだし、合宿を経てバラバラだった部員たちも徐々にまとまり、いざ全国大会へ挑んでいく。
スポーツであるような弱小が主人公のガッツに影響されて覚醒し、全国制覇を成し遂げる的な典型的なスポコン青春ストーリーを理系に置き換えたような内容。これがそのまま野球やサッカーやバスケだったらよくある青春モノで終わっていたがロボコンというあまりなじみのない世界を描いたことで展開自体に新鮮さは無いものの、全体の印象が新鮮である。こういう青春も熱い。
大会のルールはロボットを操作して箱を3つあるポイントに運び、多くの場所を抑えるか、高さで勝れば勝利と非常に分かりやすい。未公開映像には四谷が里美にルールを長々説明するシーンもあるが、見ていれば分かるということで本編ではカットになっているが何の問題も無い。対戦相手として登場しているのは当時実際に大会で活躍したマシーンということで、高専ロボコンに密接した内容になっている。
ただ微妙なのは全編に渡る音楽でとにかく合っていない。安っぽいどころか邪魔なくらい浮いている。気にならないレベルならいいけど、邪魔すぎて気になるというのは完全に失敗だと思う。全体の展開もロボコンというテーマだったから新鮮に見れたし、印象のいい映画になっているものの、題材勝ちだったという面は大きい。
DVDにはいくつかの未公開シーン、メイキング、インタビューなども収録されており、1枚で充実した内容になっている。04年には6300円で発売されたがその後映画DVDの値段というかリリースパターン(デラックスエディション、スタンダードエディションみたいな段階分け)が定まってきて1枚モノはもっと安いのが一般的になったためか06年には3990円で再発されている。
キャスト4人とも若々しいものの、伸び伸びしているのが印象的で、特に長澤まさみはブレイク前ということもあって、初々しい感じがまたかわいい。翌年には一気にブレイクして大女優になってしまい、直後こそ演技を離れるとたどたどしかったキャラクターも快活に変わってしまうが、もう少しこのくらいのポジションでキャリアを重ねても面白かったと思う。
★★★★☆