西遊記
06年冬にフジテレビ月9枠で放映されたドラマの映画版。天竺へたどり着いた最終回の続編ではなく、6話と7話の中間のエピソードという設定になっており、最強の敵である金角、銀角との対決が描かれている。そのため、悟空(香取慎吾)達一行は天竺を目指して旅をしている途中。だが6話までのテレビ版で起きたエピソードに関して特に思い出したり触れたりはしていないので、初見でも全く問題は無い。ていうか別に6話と7話の間という設定にあまり意味は感じない。
27時間テレビをまるまる西遊記祭りにしたりととにかくド派手に宣伝しまくって大ヒットを狙ったが、宣伝量では圧倒的に劣っていた同時期公開のポケットモンスターの毎年恒例の劇場版に初登場1位の座を譲り、最後までずっとポケモンの下に甘んじた。最終的には45億円の興行収入ということで年間トップ10に入る大ヒット作品にはなったもののポケモンは5億上の50億円だったという。恐るべしポケモンの安定人気…。
展開はテレビ版の流れと同じで、砂漠の国に偶然立ち寄った悟空達一行はこの国の姫である玲美(多部未華子)に金角、銀角を倒して両親と国を救って欲しいと頼まれる。
悪い妖怪が国を荒らしててそいつを退治するというドラマ版の流れを映画ということで大幅にスケールアップ。実際に中国の砂漠まで撮影に行って本来立ち入れないような場所にまで許可を取って撮って来たとのことで迫力抜群。連ドラの時は撮影が押していることもあってかなかなか派手なアクションシーンもなくあってもかなりしょぼかったものが、ここでは序盤からアクションやCGの連発。圧倒的にパワーアップしている。元々連ドラの予算とスケジュールじゃ無理があったのだろう。映画ということでようやく期待以上のアクションが展開することとなった。
ストーリー自体はいつもどおりという感じで特に予想外の展開があるわけでもないのだが、普通に楽しめた。何より迫力が増したのがいい。悟空の直球メッセージも爽快。コメディ要素もアクションも初めてとなる多部未華子だったが正直、深津よりも出番も多くメインヒロインとしていい味出している。格別かわいいわけではないんだけど、素敵な存在感なんだよなぁ…。映画主演はいくつかしていたが大ヒット作への出演は初となり、一気に知名度が増すきっかけとなったようだ。アクションしまくりの銀角を演じた岸谷五朗と金角を演じた鹿賀丈史はメイク濃すぎて正直誰だかわからなかった。
宣伝の時に香取が、クライマックスのアクションシーンで八戒(伊藤淳史)がケガをおしての撮影になって「無理です」と帰ってしまったので八戒だけいないシーンがあるとバラしていたが、確かにあった。最終決戦で雑魚相手にみんなで戦っているシーンの途中で、急に八戒だけがしばらく出てこない。悟空と沙悟浄(内村光良)が戦ってて、バックで玲美も奮闘して三蔵(深津絵里)がウロウロしているという4人が同時に出てくる場面でも八戒だけ何故か映ってない。しばらくするとまた出てくる。
なおイメージソングという謎の扱いの高杉さと美「旅人」という曲だが、劇中では一切かからない。BGMとしてはかかったが、元々テレビ版の時からかかっていたBGMを基にして作られた楽曲という「西遊記」人気と宣伝効果を狙った前代未聞の便乗商品みたいなものだったようだ。
メチャメチャ面白くは無いが安心して見れて、家族で楽しめる映画だと思う。
★★★★☆