世界の中心で、愛をさけぶ
メモリアルボックス
『世界の中心で、愛をさけぶ』は3つの形態で12月23日にDVD化された。本編のみを収録したスタンダード・エディション3990円(VHSも同じ)、特典DISCがついた2枚組のスペシャル・エディション6300円、そしてさらにメイキングDVDがついた3枚組+様々なグッズがついたメモリアル・ボックス10500円の3種類である。
完全予約限定生産とされたこのメモリアル・ボックスは11月4日で予約を打ち切った。しかし、店側が余分に注文を取ったせいなのか発売日には店頭に予約限定生産のはずのメモリアルボックスが並ぶという怪現象が発生した。なお俺は後にセブンアンドワイと改称されたセブンイレブンの通販で購入し、8000円台で入手することに成功した。
1つ1つ感想を記していこうと思う。
本編DISC(138分)
・映画本編
・行定監督監修チャプター
・音声変換 2.0chサラウンドと5.1chサラウンドの2種類
・字幕 日本語と英語
・関連商品の紹介 静止画映像本編ディスクはレンタル用からメモリアルボックスまで全て内容は一緒。ただ本編が入っているだけである。
映画館で見たときは泣きまくったのだが、延々と闘病ドラマとして当然のように泣きのシーンの連発だったドラマを見たせいか、1発目のインパクトが強すぎて1度しか見ていないのにもう何度も見ているかのような錯覚に陥ったせいなのか、とにかく2度目以降はあまり泣けなかった。もちろん気に入った映画なことに変わりはないのだが。
幻想的な映画、現実的なドラマとどちらも違った魅力で良さがあったわけだが個人的には映画のこの幻想的な世界観、登場人物のほうが好きだ。とくに長澤まさみのアキの破壊力はすさまじい。森山未来の無力感とかそれでも頑張る姿など青春時代の2人のシーンは本当に最高だ。
ただ何度も見ていると、どうも各シーンが飛び飛びな印象がしてきて2時間を越える長さなのにカットしまくっている印象を持つ。実際未公開シーンは30分以上に及ぶなんて話も聞いたことがあるが完全版が見てみたい。
特典DISC(94分)
スペシャルエディションとメモリアルボックスについている。
・未公開シーン
アキとサクの過去のシーンが2つ。「英語の授業中、アキが早退した後」の2シーンで、この後「店先のウォークマンを見る2人」のシーンにつながるらしいが、本編では「英語の授業」のシーンを編集の段階でもっと後のシーンに持ってきているためそのまま本編に当てはめて考えると混乱してしまう。まあ貴重な未公開シーンが見れるのは非常に大きいがたった2つしかないのは大いにガッカリ。『朔太郎とアキの記憶の扉』の中でも数々の未公開シーンメイキングが入っていた(キスシーンまで!)ため期待していたのだが…。完全版は出ないのか?
また公開時に「アキが薬を飲んでいた謎」を挙げていたが、設定上では英語の授業を早退後、病院へ行っていてその帰りにサクと合流してバイクで走り回ったということらしい。つまり白血病だとは思わないまでも不調を感じていて通院していたということになる。サクのラジオでの嘘に激怒したのも自身の体調への不安から+正義感ということになるのか。
・公開前メイキング特番
テレビで実際に放映された特番を収録。インタビューなども収録した映画のプロモーション番組ということで、いかにもな内容。気になるのは重要なシーンをガンガン放映していること。「助けてください」も当たり前、ラストシーンまで冒頭から流しているし、明らかに流しすぎである。これを見た後に映画見てもあまり新鮮さを感じないのでは?・特報、予告、TVスポット
予告だけで感動できるがやはり見せすぎだと思う。・平井堅『瞳をとじて』PV
平井堅が死んだ恋人に向けて歌っているという設定らしく、生前の元気な彼女の姿が描かれると同時に歌う平井堅に投影された彼女がダブっていく。このダブった時が恐ろしく不気味な絵になってしまっている。映画を意識した感動のPVなのだがこのダブり具合は笑うしかない。・記者会見、舞台挨拶、インタビュー
監督、大沢たかお、柴咲コウ、長澤まさみ、森山未来の5人が登場。完成記者会見と舞台挨拶は各自の挨拶を収録。あるに越したことは無いが特におもしろいものでもない。インタビューは各自3,4分ずつくらいだが何故か監督が一番長い。ここでの長澤まさみの口下手具合&暗さ具合&髪がやっと伸びてきてベリーショートな状態でまるで別人な姿はアキに魅せられた多くの人々はガックリ来ること間違いない。この当時の長澤はとにかく口下手というか公の舞台でのトークが暗かった。・フォトギャラリー
音楽にのせてのスライドショー。過去中心の映像でなかなか良くできていて感動的。最後にはオフショット集もある。インタビューなどことごとく口下手でまるで別人だったが、写真ではけっこう自然に笑うんだね、長澤まさみ。
スペシャルメイキングDisc(50分)
メモリアルボックスにのみ収録されているメイキング。行定監督のインタビューを中心に映画完成までの文字通りメイキングが収録されている。スタッフ、出演者らの現場でのインタビューも少し収録。カメラマンの篠田昇が監督にも絶賛されていてけっこう彼の様子もピックアップされているのだがこの撮影を最後に亡くなってしまったらしい。残念。監督がとにかく語るわけだが…別にあってもなくても…というか特に真新しいこともないような気がする。
封入特典
・未公開写真収録 ビジュアルブック(48ページ)
公開時に別売りで写真集が出ていたがそれとは別物。・サクとアキのウェディング写真(フォトフレーム入り)
映画にも出てきた重じいの写真館に飾ってあったモノクロの写真。・音声交換日記 カセットテープ
劇中で使用されたカセットテープの音声をA面に収録(B面は空のようだ)。未公開の音声はない。単に雰囲気を楽しむためだけだがあまり聞きすぎるとテープだけに劣化が心配される。1度聞いただけで封印。・本編プリント
実際に上映に使用されたシネスコサイズの切抜きだとか。シーンはランダムで入っているらしく、俺のは「体育館でピアノを弾いているアキ」だった。当たりか?
以下はスペシャルエディションにも収録されている。
・インタビュー解説集
パンフレットを再編集したもの。載っているインタビュー、記事などパンフと全く同じ。ただしサイズは小さくなっている。・ロケ地マップ
文字通りロケ地のマップ。
総感想
高いだけあってかなり豪華な内容。ただ収録時間の割に監督が言っていることはほとんどこれまでどこかで語られていて聞いたことのある話の繰り返しであり、長すぎる気もする。これほど出てきて語る監督も珍しいのではないだろうか?
特典Discの未公開シーンは外せないとしても、スペシャルDiscに関しては別にいらなかったような気がする。
しかしその肝心の未公開シーンがたったの2つというのが…。前述の通り、未公開シーンがまだたくさん残っているのは周知の事実となっている。ここで何故出し惜しみする?
印象度★★★★☆