シムソンズ

02年、ソルトレイクシティオリンピックに出場したカーリングチーム「シムソンズ」をモデルにした、「本当にあった青春ストーリー」というキャッチコピーの青春映画。登場人物の名前も実在選手の名前に似せており、企画協力としてクレジットもされている。なお06年トリノオリンピックでは、2名が「チーム青森」に移籍して出場している。この移籍の際にシムソンズは解散している。また実際の話とは違う部分もあり、結成のいきさつや時期、メンバーが全員高校のクラスメイトなどといった一部の設定は映画用のアレンジらしいので完全に全てが実話というわけではない。

作ってる間もそこまでカーリング熱が過熱することは予想していなかったようで一応トリノに合わせての公開ではあるがキャストは加藤ローサ、藤井美菜、高橋真唯、星井七瀬とそれなりに名前は知れているものの地味なメンバー(加藤ローサはこの後になってゴールデン枠のドラマにも2クール連続レギュラー役で出るようになった)が並んでいる。コーチ役は北海道ローカルタレントから全国区となった大泉洋。

将来の目標もなく、のほほんとした日々を過ごしていたバカでひたすら前向きな和子(加藤ローサ)が、カーリングの大会のポスターを眺めていたところ偶然憧れの先輩、真人(田中圭) に遭遇し、「興味あるなら結成してみない?」と誘われ、親友で親の期待に応えて受験勉強に励む史江(星井七瀬)を強引に説得。さらに、農家の娘でデッキブラシゴシゴシしながら牛の世話をしていた菜摘(高橋真唯)が史江の目に留まり勧誘。そして真人の紹介で唯一の経験者、少女時代から期待された選手だったものの勝利を求められ、求めすぎたあまり、孤立していた美希(藤井美菜)が合流。真人が手配したコーチ平太(大泉洋)の指導の元、ひとまず大会を目指してやってみることに。やがてメンバーは解散の危機を迎えながらもそれを乗り越えてカーリングの楽しさに目覚め、熱中していく。

基本的に青春スポーツモノの王道。何気なく結成されたチームが、成長してやがてひとつになっていくという定番といえば定番のパターンで、衝撃の展開こそないが安心して最後までさわやかに見れる内容。キャラクターもひたすら前向きな加藤ローサの明るさが特に映画のさわやかさを大いににあげており気持ちが良い。親に隠れてカーリングをしていた史江が親バレしてその後もめるという展開もわりと軽く流して(連ドラになると引っ張る要素の1つだけど)、ストーリーは寄り道はほぼなしでメイン通しで進んでいく。カーリングを知らない人にもしっかりとルール説明を序盤でしてくれるので分かりやすくて楽しめる。普通に感動したし、いい映画だと思う。

主題歌は今さらながらJUDY AND MARYのブレイク前の初期のシングル「BLUE TEARS」、挿入歌として劇中では「小さな頃から」というこれまた比較的初期のナンバーが使われている。同時期にベストアルバム『FRESH』を完全版にして再発売している。曲自体はけっこうはまっていたと思う。

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★★★★☆

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