2024年7月の配信シングル(前編)

UNDEAD/YOASOBI

2024年7月1日
アニメ『〈物語〉シリーズ オフ&モンスターシーズン』主題歌。例によってアニメ主題歌だけでは引き受けてくれないので原作者の西尾維新氏の書き下ろし短々編『なでこパスト』『しのぶフューチャー』が用意されていて原作扱いとなっている。

「アイドル2」みたいだなと思ったんだけど、『推しの子』2期主題歌ではなく2009年の『化物語』から始まった一連のシリーズの最新作らしい。その後のシリーズではClariSが確か何度かエンディング担当していてこのタイアップの時だけバンドサウンドになるというのが続いていた記憶がある(タイトル以外全く知らないが〇物語っていうシリーズみたいなのがあるのだけ謎に把握していたのはたぶんそのため)。『化物語』のエンディングがsupercell「君の知らない物語」でボカロ系とかニコニコ動画界隈出身者による代表的なヒット曲だっただけにあれからだいぶ歴史が動いているなと改めて思う。「アイドル」っぽいのは主にかわいこぶりっ子(死語)歌唱しているフレーズやガヤが「アイドル」以上にアイドルっぽく聞こえるのが大きいが、それ以外は初期からの王道のボカロナンバーっぽいスピード感のあるキャッチーなサビメロでもあって、得意技と「アイドル」で獲得した新要素を重ね掛けしたハイブリッドソング的な印象…というのがより正確な形容か。かわいこぶりっこなインパクトは強いが、微妙に残りにくいまま流れていってしまうところもあり、新たなるヒットにはならないかもしれない。
★★★☆☆

アポロドロス/Mrs. GREEN APPLE

2024年7月3日
テレビ朝日系列2024スポーツ応援ソング。前作から1ヶ月経たずにもう次のタイアップでこれで4ヶ月連続新曲となった。4月からの新曲群は大体少し前にタイアップ発表→1週間前に配信を告知→ティザー映像→配信&MVを公開…という手順を踏んでいたが(前作はティザー無しでMV公開→炎上MV停止)、今作は前日の7月2日にタイアップ&配信決定&ジャケ写公開を同時に行うと翌日0時にはすぐに配信され、MVも制作が追いつかなかったのかメンバーが出てこないイメージ映像だけで構成されたリリックビデオ(Official Lyric Video)となっている。

比較的バンド路線に回帰しているいわゆるこれならリズム隊脱退しなかったんじゃないかな路線(ナンダソレ)。爽やかな応援歌ではあるが、大森にあまりアスリート的な要素が無いのか、それっぽくはあるんだけどあんまりオリンピックとかスポーツでの勝負事に向かう際に鼓舞してくれる感じがしない。神が出てきたり、精神性が重視されているせいだろうか。なんだろうな、汗が見えない感じ?まあ今は根性論が全否定される風潮が行き過ぎてて暑苦しいのとか最早忌避されるくらいの世の中なのかもしれないけど。

それにしてもワーカホリック。配信時代なので矢継ぎ早の連続配信になっているが、これがCD時代だとするとさすがにシングルCDをここまで連発はできないのでじゃあ2000年代半ばくらいに流行ったシングルの4曲枠最大まで使った豪華4A面シングルにするくらいしか出しようがない(浜崎あゆみの『H』以降の1文字シングルシリーズとかMr.Children『四次元 Four Dimensions』とか)くらいの大型タイアップ渋滞。
★★★☆☆

SUMMER LION/flumpool

2024年7月3日
テレビ東京系ドラマ『ひだまりが聴こえる』OP。編曲は亀田誠治と明かされている。サブスク移行してからシングルだけ主に聞くようになり、以前より深みが出てきたように感じていたが…気のせいだったか…?いつもの爽やかストリングスポップ。普通にいい曲。なんかもういつも通り以外の何者でもなくなってきてやはり変化をしないバンドなのかもしれない。
★★★☆☆

遥か彼方(2024 ver.)/ASIAN KUNG-FU GENERATION

2024年7月3日
7月31日リリースのアルバム『Single Collection』に収録されるデビューミニアルバム『崩壊アンプリファー 』収録曲の再録音バージョンの先行配信。Single Collectionなのでリリース逆順にひたすらシングルA面を並べた(そうじゃないベスト盤は他に出しているので)内容でこの曲だけシングルではない曲にして再録音もされている。『ソルファ』の再録音盤以外にもベストの特典で1stアルバム『君繋ファイブエム』全曲スタジオライブ映像をやった事もあるが、基本的にリアレンジではなく今の状態でそのまま演奏するといったやり方をしていて今回もその方向性。演奏は重さが増しているがボーカルの線が細くなってきている感じはあるかも。オリジナルは無理なオーバーキーを絶叫するように歌っていて相当雑ではあったけどすさまじい勢いもあった。対して今作は絶叫せずに綺麗に高音が伸びている。どちらがいいという事もなくこれが今なのだろう。
★★★☆☆

Scramble/MONKEY MAJIK

2024年7月3日
7月24日リリースのアルバム『CIRCLES』1曲目の先行配信。安定のらしい曲ではあるが1曲目からあまり飛ばしていく感じではないどころかC/Wみたいな地味さ。割と掴みに行くことが多い1曲目で先行配信までしたのだからリード曲になると思われるが、リードにしては淡々としていてあまり引っ張る力は無いような…。聞き心地の良さはあるだけに中盤っぽいイメージなんだけど1曲目かぁ…。
★★★☆☆

マチュリー/UNICORN

2024年7月3日
7月28日リビエラ逗子マリーナ特設会場で開催される主催イベント「UNICORN MACHURI 『LIVE 1173』」に合わせて制作された新曲。イベントチケットにこの曲のCDが付属しており、一般向けには配信という形で提供された。ダッセーブラス風シンセがピロピロ鳴り響くイントロからファン向けのノリの「祭り」系のおちゃらけユッルユルナンバー。ゆ、ゆるすぎる…
★★★☆☆

Sharon/Official髭男dism

2024年7月3日
ドラマ『マウンテンドクター』主題歌。7月24日リリースのアルバム『Rejoice』からの先行配信。単曲枠ではなくアルバムの枠を開放する形での配信。安定期待通りの良曲といった感じ。
★★★☆☆

ポイントちょーだい/Rockon Social Club

2024年7月5日
昨年11月のアルバム以来の新曲。7月10日からのツアー直前に発表され、ツアー初日には9月にミニアルバム『Summer of Love』を発売する事も発表された(タイトル曲「Summer of Love」は17日先行配信と発表)。ぎらついた激しいロックナンバーで音だけ聞くとカッコいいんだけど、歌詞はポイントだらけの世の中を皮肉ったおふざけ系。かなりシュールで、爆破を駆使した昭和全開なドラマ風のMVも含めてやりたい放題が痛快。しかし今回もオール寺岡曲なのだろうか。そろそろメンバー作ももう少し…。
★★★★☆

I was born to love you/矢作萌夏

2024年7月5日
昨年10月のEP以来の新曲。2作目の配信シングルでソロデビュー作だった前作に続いて2年連続の誕生日リリース。8月にもう1曲配信、9月にEPが前回同様CDでリリースされると発表された。安定の自作で編曲は宗本康兵との共同アレンジ。サポートバンドメンバーとセッションしているようなバンドスタイルの爽やかな楽曲。この世代の若い子がストレートなバンドサウンドを構築して演奏を楽しんでいる感じを前面に出した曲を仕上げてくるところがいいな。
★★★★☆

その先にあるもの/小田和正

2024年7月7日
ドラマ『ブラックペアン シーズン2』主題歌。放送当日(OA前)の配信。2018年の前作でも「この道を」で主題歌を担当していた。『early summer 2022』のそのまま延長にあり、既存曲?と思うほどいつもの小田ミディアム。最早それでいい。それ以上は望まないという段階に達している。
★★★☆☆

図鑑/ゆず

2024年7月10日
日本生命新CMソング。31日のアルバム表題曲の先行配信。北川曲だが、作曲はTeddyLoidとの共作。

メロディアスで聞きやすい曲だが、TeddyLoidによるデジタル風味が強めに出ていて、いかにもここ最近の若手っぽい作風。最近の電子サウンドは髭男辺りを強く意識しているのだろうか。
★★★☆☆

datura/東京女子流

2024年7月13日
前作から1ヶ月での配信。今年3曲目で3作連続作詞作曲編曲サウンドプロデュース:きなみうみ。今回もinstrumentalとのバンドル配信。

3連続での起用となったが相性バッチリで、きなみうみも2人オケ制作ながら凝ったサウンドメイクで力を入れてくれている印象。松井寛以来のいい作家にようやく巡り合えた感がある。後はどこまで行けるか…。
★★★★☆

新しい恋人達に/back number

2024年7月15日
半年ぶりの新曲。フジテレビ系月9ドラマ『海のはじまり』主題歌。ドラマタイトルにひっかけて海の日の配信開始となり、ドラマ自体は3話の放送日の配信となった。共同アレンジャーは小林武史。

 コ バ ッ ク 

うん コ バ ッ ク 

としか言いようがないThis is Koback number車検ではな

2015年の「クリスマスソング」(『5→9~私に恋したお坊さん~』)以来となる月9主題歌という事でどこか意識して雰囲気を被せにいったところもあるように聞こえてくる(小林武史が月9と聞いてなくてもコバックにしかならないだけかもしれないが…)。今回は期待に応えつつも2度目の月9はもう少し違うアプローチも見せてほしかったところ。「クリスマスソング」みたいな感じで!とフジテレビが要求したのかもしれないし、低迷しきったフジテレビならマジで寸分の狂いなくそんな要求してそうだ。
★★★☆☆

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