2024年12月の配信シングル(後編)

日々/KANA-BOON

2024年12月16日
1ヶ月ぶりの新曲。これで4ヶ月連続配信となった。SNS告知のみで公式サイト更新が追いてけぼりとなっていて今作配信時点で前作のディスコグラフィー追加も行われていない。

作詞:谷口鮪、作曲:遠藤昌巳、編曲:KANA-BOON。旧4人時代から作詞作曲はボーカル谷口が一手に手掛けていたが、なんと前ベース脱退後のサポートを経て正規メンバーとして加入したと思ったらボーカル谷口との2人組になってしまった遠藤が作曲を担当するという2人組新生KANA-BOONの新スタイルが発動している。辛い事も多いけど日々を生きて行こうぜ(超・雑訳)という寄り添い系のメッセージソング。いつになくラウドで重めの激しいバンドサウンドと落ち着いた曲調もあり、色々あってより逞しさを増した2人組新生KANA-BOONの進化を感じられるナンバー。遠藤加入後少しそんな変化を見せ始めたと思ったら『恋愛至上主義』とか思いっきりキャッチー&ラブソング路線に振り切って元に戻ってしまったようにも感じていたが、そこからのまさかの2人脱退劇でデビューからのバンド体制が完全に崩壊してしまった。その後だからこそ歌詞がより説得力を持って響くし、何より作曲を”残された新メンバー”というなかなか前代未聞の立場になってしまった遠藤が手掛けて貢献しているところも熱い。2人組新生KANA-BOON、これは新しくなるのではないか。
★★★★☆

PASADENA/さかいゆう

2024年12月18日
3月にリリースした新曲3曲+ライブ音源の配信限定ミニアルバム『Singing Nippon in New York』以来の新曲。

メジャーデビュー15年の節目を迎えたさかいゆう。
音楽活動をスタートしたLAの地で、LAのクリエイターとCo-Writingした楽曲。
プロデューサーはNash Overstreet、トップライナーはRhett Fisher、
当時さかいゆうが住んでいたPasadenaを想い制作した1曲!

とされており、既にベスト盤の新曲等でも復活していたが、海外路線に戻っている。海外路線に独自性を見出したところでの実質海外封じに伴い内省的で地味になっていた作風も2019年以前に戻ってきた。まあその分だけあまりキャッチーでは無いんだけど…でも地味バラードよりは楽しそうな海外路線の方がさかいゆうに関してはいいな。
★★★☆☆

tobu_tori_/Base Ball Bear

2024年12月18日
2月のミニアルバム『天使だったじゃないか』以来の新曲。

今回もひたすらド王道、ドストレートのギターロック。今の時代このシンプルさが逆に攻めの姿勢なんじゃないかと思えてくるほどストレートなロックバンド感。こういうバンドはそれでいいんだと思う。
★★★☆☆

Snowdrop/清浦夏実

2024年12月18日
3月のミニアルバムから9ヵ月ぶりの新曲。TWEEDEESの新曲は無いまま再びソロとなった。TWEEDEESの公式サイトはついに2022年12月の更新を最後に丸2年放置となり、公式SNSがFCサイトのブログ更新告知を繰り返すのみとなっている。最早TWEEDEESという名の単なる所属事務所みたいな感じで2人とも別々に動いて活動報告している感じになってしまっているが…。ミニアルバムがクラウドファンディングによる制作で今回はSAVORY RECORDSとなっているせいか、同じ「清浦夏実」名義なのにTWEEDEES結成前のメジャー在籍時代、ミニアルバム、今作で3つとも別々のアーティスト扱いになっていて統一されていないのは何とかならないのか。作詞:清浦夏実、作編曲:松木美定。

ウィンターサンバ的なノリだが、清浦夏実のボーカルを生かした感じでそんなに攻めた感じではない。ソロならではというより、TWEEDEESが完全に開店休業状態になってしまっていて沖井礼二がもうアテにならないので沖井礼二に見切りをつけた清浦夏実が私もう1人でやりますね的な感じで1人で動いているような…。
★★★☆☆

Dang Ding Dong/sumika

2024年12月20日
中京テレビ「ぐ~たくさん」番組公式テーマソング。公式では10月4日に告知して10月6日から使用されていたが未発売になっていた曲。12月19日に来年3月に5thアルバム『Vermillion’s』発売とツアー告知をした際に急遽配信として告知された。

昨年11月には片岡が急性声帯炎で一時休止して荒井と小川の2人がsumika[roof session]としてライブ出演を行っていたが(これにて小川のメインボーカルが本格解禁され、今年の楽曲にも反映されていた)、ほぼ丸1年後となった今年11月には今度は小川が体調不良で一時活動休止を発表。FCツアーはsumika名義から「“片岡健太とバンドマン”ツアー(仮)」に改題されてソロ名義ツアーとなり、その他sumikaとして出演予定だったフェス等は今回はsumikaの別形態を新たに作らずそのまま小川がいない状態でsumikaを名乗って出演する事となった。そもそも昨年春にギター黒田が急逝(死因非公開)しており、その年末に片岡が急性声帯炎で休止、丸1年後に小川が体調不良って、今のところずっと元気なのドラマー荒井1人だけなんだけどそんなに重なる…?

作詞:片岡健太、作曲:小川貴之。今作でも作曲しているが、秦基博とのコラボでは編曲も小川単独で担当していたので多忙ではあったのかも。秋冬向けのテーマ曲だったのか、割とウィンターソング、クリスマスソングっぽい要素があるのでこれはアルバムまで取っておくよりもクリスマス前に出しておく方が旬だろう。
★★★☆☆

Lady go/SILENT SIREN

2024年12月20日
2025年1月15日発売のミニアルバム『more than pink』からの3ヶ月連続先行配信第3弾(自主レーベルになって新作配信リストの上位に来なくなってしまい2曲目は見逃してたので取り上げていない)。ミニアルバムが5曲入りなのに3曲も先行してしまってもう2曲しか残らないんだけど…。

割とロックバンド感を醸し出したバンドサウンドながらも隠し切れないキャッチーさやファンシーさかわいらしさが存分に残されているというロック方面でのサイサイらしい1曲。
★★★☆☆

リアルタイムシンガーソングライター/高橋優

2024年12月25日
1月22日発売のアルバム『HAPPY』からの先行配信。あきたこまち40周年記念CMソング。デビュー時からのキャッチコピーであり1stアルバムタイトルでもある「リアルタイムシンガーソングライター」をここに来て曲名にしたもの。

一般的に「福笑い」「明日はきっといい日になる」辺りでブレイクしかけて(正直もう1つブレイクはしきれないままだったようには思う)代表曲となっているようにポジティブ一直線なイメージの方が持たれているとは思うけど、元々は世間にまくし立てるような激しい部分を押し出してデビューし、それゆえの”リアルタイムシンガーソングライター”であった。シングルはタイアップの関係もあって穏やかなのが近年は増えつつあるが、アルバム1曲目では今でも物申す形のガツンとした曲を配置するなど尖った部分も見せていた。そのように二面性がある高橋優だが今作は穏やかで平和なラブソング的なパートと激しいロックパートの落差が激しく、初めて自身の二面性を1曲にまとめたような曲。ていうか落差激しすぎて違う2曲のパーツをくっつけて無理やり1曲にしたようなチグハグさもある。何度も使えるようなやり方ではないが、1つの実験として面白い1曲。前のアルバム以降溜まっている配信4曲は正直あまり覚えておらず、アルバムもそんなに期待していなかったが、これで一気に期待が増した。

アルバムに向けての先行配信なら元旦配信とかでもいいような気もするが“先週クリスマス祝う 来週正月祝う”というフレーズがある事からその期間をフルで味わえるクリスマス当日の配信にしたのかもしれない。
★★★★☆

smile again/rumania montevideo

2024年12月25日
前作から1ヶ月ぶり。ライブで販売するという新作アルバムに向けての先行配信第2弾という位置づけ。正式メンバーはやはり三好姉弟2人だけという扱いだと明言されており、古井弘人も継続してアレンジャーとして関与しているようでひとまず1番重要なこの部分が揃えばrumania montevideoになるという考えのようだ。インタビューでは率直に当時もっと続けたかった旨も語っており、まあ言及はされていないが売れないので契約終了、残留したメンバーもやがて作家としての契約も終了…と音楽業界引退になってしまったと思われる。前作よりは今作の方が往年の王道イメージっぽいかも。
★★★☆☆

flowers/ゆず

2024年12月27日
作詩は北川悠仁、作曲は北川悠仁とTeddyLoidの共作。現在行っているアルバムツアー中に最新アルバム『図鑑』の世界をさらに広げるような楽曲をつくりたいとして制作したとされ、当日にサプライズ配信という形で事前告知無しで配信された。ただし完成してすぐに発表したわけではないようで、Mステで即日披露したり、翌28日にはスマホゲーム『モンスターストライク』 コラボレーションソングだとタイアップを発表したり、モンスト公式YouTubeチャンネルで29日30日に前後編が連続公開されるアニメ『モンスターストライク エル 堕天の覚醒』主題歌にも起用されることが発表されたりと、告知をしなかっただけで裏では事前に発表タイミングもガッチリタイアップ案件も決まって準備されていた模様。

『図鑑』の世界をさらに広げるような楽曲という事で説明通りでアルバムに入っていてもおかしくないような印象の曲。打ち込み中心の何でもありの賑やか電子サウンドにテンション高めで若々しい雰囲気のいかにも近年のゆずらしい作風。
★★★☆☆

コメント

タイトルとURLをコピーしました