2025年9月の配信シングル(前編)

Amazon Musicデスクトップアプリが謎の不具合を起こし、9月以降の一部の新曲がULTRA HD再生不可になってしまい、「再生できませんでした」とエラーになってしまう。この中では生田絵梨花、米津玄師、森山直太朗、オアシス、福山雅治、浅岡雄也、AKB48が該当した。アプリ側の設定を圧縮音源(「標準」)にするか、PC側(直再生の場合はWindows、K3経由の場合はK3)のサウンド設定から出力をCD音質相当以下(16bit/44.1kHzで再生される数値)に下げれば再生可能という謎の症状である(オアシスはそれでも再生不可)。ULTRA HDの新曲の一部だけという発動条件で、ULTRA HD全てがダメというわけではなくULTRA HDの新曲の中から一部だけなので困る。ウォークマンに入れているアプリ版、さらに同じPCでもデスクトップではなくブラウザ版では全曲普通に再生できる。仕方ないのでこれらの音源はブラウザ版で視聴していたが、Amazonに問い合わせてもチャットメンバーがコロコロ交代してこっちのPCのせいにされたりと要領を得ないため(PCのせいではない事は証明されるも原因は不明のまま)、Apple Musicとの併用を決断するに至った。

同様の症状が各地で発生して苦情が殺到したらしく、ようやく対応調査が開始されて9月20日に復旧。元々発動条件が異なっていた(16bit/44.1kHzでも再生できない)オアシスは再生できないままだったが24日以降再生できるようになり、不具合は解消された。とはいえAppleはWalkmanでの使い勝手がいいのでしばらくは併用で行く所存。

空いっぱいに奏でる祈り/Aqua Timez

2025年9月1日
再結成4曲目、5ヵ月ぶり新曲。8月24日にインディーズ時代のアルバムで配信に出ていなかった『空いっぱいに奏でる祈り』を20周年記念日にソニーからリマスターで配信限定リリース。続けて今作が配信された。『空いっぱいに奏でる祈り』はアルバムタイトルなだけで「空いっぱいに奏でる祈り」という曲は過去に存在せず、今作は新曲となる。編曲はTomoLow/Aqua Timezとなっている。

若き日のゴリゴリのミクスチャーロック中心の『空いっぱいに奏でる祈り』とは似ても似つかぬ穏やかなバラードナンバー。今の太志が『空いっぱいに奏でる祈り』というタイトルで曲を書くならこうなるという今を反映させた1曲なのかなとは思う。
★★★☆☆

ピリオド/生田絵梨花

2025年9月3日
3月のEP以来半年ぶり新曲。6~8月まで7公演開催されたツアー『Erika Ikuta Tour 2025 “bitter candy”』の最終日8月4日東京国際フォーラム ホールA公演でピアノ弾き語りでサプライズ初披露していた曲とされる。作曲者の横井香菜により作詞:横井香菜/生田絵梨花、作曲:横井香菜、編曲:Tak Miyazawaと公表されている。ピアノ弾き語りで披露できるくらいピアノの腕は今更確認するまででもなく確かなものの、今回も提供曲で作詞を共作したのみ。作曲ペースは上がる気配がなく、シンガーソングライターとしてやっていける感じではなさそうだ。

ほぼピアノ弾き語りのピアノバラードから始まり、途中からヴァイオリン、ラストサビ前の間奏でバンドサウンドも入ってくるもののシンプルな編成で歌を聞かせる方向性。普通にいい曲だが女性ソロシンガーのピアノバラードはどうしても量産型になってしまうので残りにくい。
★★★☆☆

オノマトペISLAND/山下達郎

2025年9月4日
DL配信のみでST配信は無し。サブスクに一切出していないと一般的に思われているが実際には『クリスマス・イブ(30th Anniversary Edition)』や直近のシングルの一部がST配信に出ている。またDLは2009年以降の作品は概ね出しており、これまでは圧縮とロスレスの2音源だった。今作は圧縮・ロスレス・ハイレゾの3音源。よって初の配信限定シングル、初のハイレゾ配信となる。

今作はハイレゾ版DLで視聴。しかし直後に案の定CD発売が発表された。商売がうまい事…。

Netflixシリーズ『ポケモンコンシェルジュ』新エピソード(5~8話の全4話)の主題歌。なんと2023年12月に妻の竹内まりやがリリースしたシングル(CD)「君の居場所 (Have a Good Time Here)」(1~4話主題歌)の引継ぎタイアップ

夫妻でそのままタイアップを引き継いだのって初めてなのでは…。あの独特の達郎ボイスで”ほっぺたをくっつけてハグしよう”とか随分かわいらしい歌詞だなと思っていると”もふもふ”だの”ぷにぷに”だのと考えられないようなかわいらしいオノマトペが連投され、なるほど確かにここはオノマトペISLAND。いくら夫婦揃って完全にタイアップ職人化(タイアップが来ないと新曲を書かない状態)しているとはいえ達郎氏がこんな歌詞を書くとは…。AI下達郎じゃないよな…?
★★★☆☆

Wonderwall(Live from Dublin, 16 August ’25)/Oasis

2025年9月4日
再結成ツアーからの最新ライブ音源5曲目。8月16日のダブリン公演DAY1の音源。オリジナルは1995年の2ndアルバム『(What’s the Story) Morning Glory?』収録曲、8thシングル(カット)。

全盛期の人気シングル筆頭格の1つといっていいはず。Aメロから既に大合唱。日本のライブ環境だと歌手が観客に合唱を丸投げしてこない限りは、歌手が歌っているのに合わせて歌おうものならテメーのヘタクソな歌を聞きに来てるんじゃねーよと隣人と揉める原因になるレベル。終始合唱しているので恐らく観客にはリアムの声はそんなに聞こえていないと思われるが、果たして日本公演ではどうなるんだろうか。
★★★★☆

SO BAD/King Gnu

2025年9月5日
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンで9月5日から開催される『ハロウィーン・ホラー・ナイト』の『ゾンビ・デ・ダンス』テーマソング。開催日当日の配信開始。

ほぼ“最悪で最高”の連呼以外はサウンドマニアック過ぎて何が何だか分からないままに進行。ただ『ハロウィーン・ホラー・ナイト』の『ゾンビ・デ・ダンス』テーマソングと聞けばなるほど確かにホラーでゾンビモノっぽい気はしてくる。
★★★☆☆

KICK BACK (Frost Children Remix)/米津玄師

2025年9月5日
2022年のシングル曲のリミックス。OPだったアニメ『チェンソーマン』の総集編配信に合わせての制作とされる。リミックス名がそのまま担当者の名前で”アメリカNYを拠点とするアーティストFrost Children”と紹介されている。加工ボーカルと終始再生不良を起こしているかのような強烈な加工電子音によるトラックメイカー系リミックス。ド頭からモーニング娘。引用の”努力 未来 A BEAUTIFUL STAR”を加工して使用している事からもこのフレーズがこの曲にどれだけ重要なフレーズなのかが分かる。
★★★☆☆

あの世でね/森山直太朗

2025年9月5日
4ヶ月ぶりの新曲。今年発表された前3曲のデザインを踏襲したジャケットとなっている。10月17日の2枚同時発売アルバム『弓弦葉』『Yeeeehaaaaw』からの先行配信。今作は『Yeeeehaaaaw』に収録されるが、『弓弦葉』にも「あの世でね(Unplugged)」と別アレンジで収録される事が発表されている。また10月から来年春以降まで続くロングツアーは『Two jobs tour 2025~26 『あの世でね』~「弓弦葉」と「Yeeeehaaaaw!」~』と題されており、今作がツアータイトルナンバーとなっている。

『Yeeeehaaaaw』にオリジナル音源が入るため、『Yeeeehaaaaw』のブルーグラスサウンド路線を予告するようなブルーグラス路線で軽快さが心地よく聞ける1曲。世界変異以降の楽曲にしっくりこなかったが少なくとも『Yeeeehaaaaw』の方は期待できそうだ。
★★★☆☆

海を征く/鈴木愛理

2025年9月8日
スマートフォン向けRPG『アズールレーン』8周年記念楽曲。作詞作曲編曲は40mP。

ボカロPっぽい明るいアップテンポなポップス。ジャケ写もアニメ絵で企画作っぽいけどレディークール路線やバラードに行きがちな年頃になってきたのでこういうポップなのは歓迎。元ハロプロの30代以上の安定歌手継続実績が事実上ほとんど皆無なだけにアニメ/ゲーム方面にパイプを作っておけばそっちの歌唱依頼が来て歌手延命に繋がりそうだし。
★★★☆☆

幻界/福山雅治

2025年9月8日
自身も主演する映画『ブラック・ショーマン』主題歌。映画は12日公開で一足早い配信。前2曲がリメイクだったので新曲は1年7ヶ月ぶり

おお久々にガツンとしたロックナンバー(シングルCDでアコースティックバラード連発してた時期に両A面2曲目でやってたようなロック路線)じゃないか、少し歌謡ロックっぽい新しさもあるかと思ったらそのまま歌わずに進行。

…この映画の主題歌、インストでした…。歌わないんかい!
★★★☆☆

journey/Awesome City Club

2025年9月10日
10曲連続リリース後半突入の6曲目

相変わらずatagiメインだが、2番の一部でPORINが歌う場面もある。地味な曲続きでどうしたものかと思っていたら今回はさすがに少しはポップな雰囲気。
★★★☆☆

キガシタ/浅岡雄也

2025年9月14日
突如告知されて配信された新曲デモ(“DEMOで拙い”とコメントしているのでデモ音源らしい)。これまで自社通販でのCD販売と個人向けのDL販売サイトやFC会員向けなど様々な手法を駆使してDL販売を行うなど還元率の低い一般配信は極力回避し、遅れて一般配信を行ってきていたが、今作は初めていきなり一般DL/ST配信を開始した。

言われなくても打ち込みリズム音もバックのギターもとりあえずの仮で入れているようなチープな音像でデモっぽい上に音が異常に小さい。24bit/44.1kHzというあまり一般的ではない設定なのも謎だ(通常は24bitなら48kHzか96kHz、44.1kHzなら16bit(CD相当)が一般的)。なお一般的に使用されるハイレゾの定義ではkHzがCD相当と同じでもbitがCDを上回っているならハイレゾ扱いとなるので、24bit/44.1kHzなら24bitが効いてmoraやAmazon Musicではハイレゾ扱いとなっている。しかしApple Musicでは独自の基準を用いていて他ならハイレゾ扱いの24bit/48kHzまでは「ロスレス」扱い、24bit/96kHzからが「ハイレゾロスレス」扱いと分けているので24bit/44.1kHzではハイレゾロスレス表記にならず「ロスレス」表記となっていた。

曲自体は普通に良いミディアムナンバーだが、完成させずに急に出した意図は…?今まで嫌がっていたST配信にいきなり出した事からもとりあえず反応を見るのが目的なのだろうか。

このようには発言しているが、何故デモ音源なのかというと完成形を出すのには抵抗があったんじゃないかなとは思う。
★★★☆☆

思い出スクロール/AKB48

2025年9月15日

秋山由奈、新井彩永、伊藤百花、大盛真歩、小栗有以、倉野尾成美、佐藤綺星、下尾みう、田口愛佳、千葉恵里、平田侑希、丸山ひなた、向井地美音、八木愛月、山内瑞葵、山崎空

センターは伊藤百花。9月15日15:55~日本テレビで放送された特番『秋元康 × AI秋元康~AKB48新曲プロデュース対決~』の企画としてメロディの選定、選抜メンバーとセンターの選定秋元康(本物)とAI秋元康が行い、どっちの曲かは明かさないまま楽曲をYouTubeで公開したり日本テレビ系「DayDay.」で2曲連続披露するなどして、9月2日~7日の5日間一般投票を決行。その結果が番組内で発表され、勝った方が正式配信となり、番組OA後、17時から配信開始となった。勝ったのは「思い出スクロール」でこっちはAI選定曲だったと判明したので本物敗北というオチとなった。またジャケ写はAIにやってもらわなかったらしく、超絶やっつけなフォント仕様となっている。

「セシル」
秋山由奈・新井彩永・伊藤百花・小栗有以・倉野尾成美(センター)・佐藤綺星・下尾みう・田口愛佳・千葉恵里・長友彩海・橋本恵理子・花田藍衣・水島美結・向井地美音・八木愛月・山内瑞葵

「思い出スクロール」
秋山由奈・新井彩永・伊藤百花(センター)・大盛真歩・小栗有以・倉野尾成美・佐藤綺星・下尾みう・田口愛佳・千葉恵里・平田侑希・丸山ひなた・向井地美音・八木愛月・山内瑞葵・山崎空

曲の良し悪し以前に結果を左右しそうな選抜メンバーに関しては16人中12人が共通、本物秋元康は長友彩海・橋本恵理子・花田藍衣・水島美結を選び、AIは大盛真歩、平田侑希、丸山ひなた、山崎空を選んでいて4人が異なっていた。この8人のうち研究生の丸山ひなたはまだシングル参加2作で選抜入り未経験なのでAIの大抜擢といえる。それ以外の7人は直近の「Oh my pumpkin!(AKB48 members ver.)」には参加しており、7人ともここ最近の選抜ほぼ常連メンバーなので難しいところだが、花田藍衣に関してはOB/海外が入った「Oh my pumpkin!」表題曲のAKB48現役11枠の1人にも入っていた。本物秋元康なら直近で普段より少ない11枠に入れた11人はそのまま選びそうなので、ここでファンは予想できた可能性はある。

センターに関しては倉野尾成美も伊藤百花もC/Wではセンター経験があるが表題曲センター経験はない。倉野尾成美は2014年の『心のプラカード』のC/Wチーム8曲から参加している10年以上の大ベテランで、伊藤百花は去年初参加でまだ研究生の新人。近年の48グループでは若手を抜擢すると10代のうちにとっとと辞められてしまう事が相次いだ反動か20代後半の功労者ベテランをセンターにする事も目立っているので、今の本物秋元康なら倉野尾成美を選びそうだし、近年のこの傾向が無ければ現役11枠の1人にも選んでいてカバーアルバムではソロ曲まで与えていた伊藤百花を次期エース格として一気にセンター抜擢しそうでもあるので、本物が倉野尾成美、AIが伊藤百花をセンターというのは割と順当なのかもしれない(ただAIは同じ研究生で11枠のもう1人だった花田藍衣を選抜から外すという変なひねくれも発揮している)。

いずれにしてもAIかなり精度高いようで、そろそろAROUND 70’s WORLDな作詞家様このまま静かにフェードアウトしてAIに取って代わっても誰も気づかないし、何よりファンはどっちでもいいのかもしれない。ただ肝心の歌詞に関してはド頭から引き出しの奥にしまっていたという古いスマホに”不意に触れて時間が巻き戻ってく”ととっくにバッテリー切れて起動しないはずのスマホが一瞬で起動した事になっていてどうやらAIは古いスマホが充電切れで動くわけない事を学習していなかったようだ。

…いやもしかしたら“不意に触れて(懐かしくなったので充電をした後に起動して)時間が巻き戻ってく”と、この1行の前半と後半には数時間があるのだ…行間を読むのだ…と本物の策士家なら言うだろう事まで学習しているのかもしれない。

「セシル」は初期の乃木坂46(ぐるぐるカーテン)っぽいふんわりポップだったが、この「思い出スクロール」は電子サウンド気味のダンスナンバーで明らかにこっちの方がイマドキっぽい。個人的には「セシル」の方がいいんじゃないかと思ったし、実際1万535票VS1万4225票だったらしいのでファンの間でもほぼ評価は真っ二つだったと見ていいくらいの僅差であまり変わらないというかこれなら「秋元康AIに敗北」の方が話題性はあるよなとは思う。5日間で3万票もいかないって総選挙やってた頃は翌日の速報結果だけで上位勢は個人で数万単位の票が入っていたのにおっかしいな
★★★☆☆

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