2021年12月22日
初登場21位 売上0.35万枚
いきものがかりボーカルの初ソロシングルCD。いきものがかりが2人になってから最初の新曲はグループではなくソロ活動となった。
集牧直前にソロカバーアルバム『うたいろ』をリリースしたのみでCD自体2作目。さらにここまで全部カバーだったのでオリジナルのソロ曲は初だがオリジナルは1曲のみで、C/Wは松本隆作詞活動50周年トリビュートアルバム『風街に連れてって!』に参加したカバー曲「夏色のおもいで」。
何故かCD+DVD1種のみの発売でCDのみでの発売は無い。
DVDにはMV、メイキング、作者の秦基博との対談、ライブ映像を収録。
「夏色のおもいで」は配信でもCDでも7月に既発、「まっさら」も11月29日に先行配信していたため、初公開は「まっさら」のカラオケとDVDのみ。ほぼDVD目当ての購入しかないだろうとCDのみ発売をしなかった…のかもしれない。
配信での視聴のためDVDは未見。
1.まっさら
作詞は吉岡聖恵/岡嶋かな多、作曲は秦基博、編曲は秦基博/トオミヨウ。秦基博とじっくり話し合って制作を進めたようだが基本的に作詞は吉岡、作編曲は秦基博サイドで行ったようだ(近年の秦基博はトオミヨウと組んでいる)。
薄味アレンジャーなトオミヨウにしては今作ではドラムがけっこうハッキリとした音色になっていて存在感があり、またストリングスで流麗に盛り上げる事もせずにシンプルにライトなバンドサウンドを構築。秦基博も提供モードの時はけっこうストレートなポップスが多い印象だが、結果的にいきものがかりの停滞感こってり感を綺麗にひっぺがしたいきものがかりよりもいきものがかりらしいというか、いきものがかりがすっかり失ってしまったものを取り戻したような王道ポップに仕上がっているように思う。ストリングス病が蔓延する前のJ-POP王道というのはこういうシンプルなものだったではないか。
吉岡聖恵=いきものがかりというイメージがもう強いので恐らく何を歌ってもいきものがかりにはなってしまうとは思う。電子音全開やら本格R&Bやら全くイメージにない曲をやればさすがにソロっぽくなるかもしれないがたぶん合わない。集牧して「WE DO」したまでは良かったけどその後は停滞感漂う中で山下脱退、そのままソロ活動へ…という流れはあまりいい感じがしなかったけど、2人でいきものがかりを続けていつもの水野曲といつものアレンジャーによるいつもの楽曲を続けるよりもソロで「まっさら」な状態になった方がこれは確かに何か開けたのかもしれない。ソロ名義というだけで格段に注目度が下がる上に、ただでさえいきものがかりも見切られつつある状況ではほとんどこの曲がまともに聞いてもらえる事も無いと思うけど、とりあえず聞いてみたリスナーなら分かるはずだ。ここにまっさらな曲がある。これこそがJ-POP王道だ。
★★★★☆
2.夏色のおもいで
松本隆作詞活動50周年トリビュートアルバム『風街に連れてって!』収録曲でそこからの単曲配信でもリリースされていた。1973年TULIPのカバー。あの代表ヒット「心の旅」の次のシングルだった曲で当時もそこそこはヒットしてTULIPのシングル売上上位に入る1曲でもあるのだが何故か後年のベストアルバム(特に1枚モノの企画盤)では外される事もある。個人的にも最初に聞いたのは04年のSomething ELseのカバーだった。意外とこれ一連の代表曲の中でもトップ級に名曲なんじゃないかと思ったが、こうしてまた取り上げられる機会があるのはいい事だ。ストレートならしい感じのカバーだが編曲が亀田誠治、三宅彰となっているのでまあ当然か。いきものがかりでカバーしても名義が違うだけで音源は同じものになるわけだし(水野がレコーディングでギター演奏しないのであれば音源は同じ)。
★★★★☆
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