Knebworth 1996(デラックス・エディション)

DISC 1
No タイトル Written by 公演日 備考
1 Columbia Noel Gallagher Live at Knebworth,10th August 1996 1stアルバム『DEFINITELY MAYBE』収録曲
1stベスト『Stop The Clocks』iTunes配信限定ボーナストラック収録音源
2 Acquiesce Noel Gallagher Live at Knebworth,10th August 1996 6thシングルC/W、B面集『THE MASTERPLAN』収録曲
3 Supersonic Noel Gallagher Live at Knebworth,10th August 1996 1stシングル、1stアルバム『DEFINITELY MAYBE』収録曲
4 Hello Noel Gallagher,
Gary Glitter&
Mike Leander
Live at Knebworth,11th August 1996 2ndアルバム『(WHAT'S THE STORY) MORNING GLORY? 』収録曲
5 Some Might Say Noel Gallagher Live at Knebworth,11th August 1996 6thシングル、2ndアルバム『(WHAT'S THE STORY) MORNING GLORY? 』収録曲
6 Roll With It Noel Gallagher Live at Knebworth,11th August 1996 7thシングル、2ndアルバム『(WHAT'S THE STORY) MORNING GLORY? 』収録曲
7 Slide Away Noel Gallagher Live at Knebworth,11th August 1996 1stアルバム『DEFINITELY MAYBE』収録曲
8 Morning Glory Noel Gallagher Live at Knebworth,11th August 1996 2ndアルバム『(WHAT'S THE STORY) MORNING GLORY? 』収録曲
9 Round Are Way Noel Gallagher Live at Knebworth,10th August 1996 8thシングルC/W
10 Cigarettes&Alcohol Noel Gallagher Live at Knebworth,10th August 1996 4thシングル(カット)、1stアルバム『DEFINITELY MAYBE』収録曲

 

DISC 2
No タイトル Written by 公演日 備考
1 Whatever Noel Gallagher&
Neil Innes
Live at Knebworth,10th August 1996 5thシングル
2 Cast No Shadow Noel Gallagher Live at Knebworth,10th August 1996 2ndアルバム『(WHAT'S THE STORY) MORNING GLORY? 』収録曲
3 Wonderwall Noel Gallagher Live at Knebworth,11th August 1996 8thシングル(カット)、2ndアルバム『(WHAT'S THE STORY) MORNING GLORY? 』収録曲
2014年リマスター盤の日本盤ボーナストラック収録音源
4 The Masterplan Noel Gallagher Live at Knebworth,10th August 1996 8thシングルC/W、B面集『THE MASTERPLAN』収録曲
2014年リマスター盤デラックスエディションDISC-3収録音源
5 Don't Look Back In Anger Noel Gallagher Live at Knebworth,11th August 1996 9thシングル(カット)、2ndアルバム『(WHAT'S THE STORY) MORNING GLORY? 』収録曲
6 My Big Mouth Noel Gallagher Live at Knebworth,10th August 1996 当時未発売新曲 3rdアルバム『Be Here Now』収録曲
2016年リマスター盤デラックスエディションDISC-2収録音源
7 It's Gettin'Better(Man!!) Noel Gallagher Live at Knebworth,11th August 1996 当時未発売新曲 3rdアルバム『Be Here Now』収録曲
8 Live Forever Noel Gallagher Live at Knebworth,10th August 1996 3rdシングル、1stアルバム『DEFINITELY MAYBE』収録曲
9 Champagne Supernova Noel Gallagher Live at Knebworth,11th August 1996 2ndアルバム『(WHAT'S THE STORY) MORNING GLORY? 』収録曲
10 I Am The Walrus John Lennon&
Paul McCartney
Live at Knebworth,11th August 1996 4thシングルC/W、B面集『THE MASTERPLAN』収録曲(ライブ音源)
ビートルズのカバー

 

DISC 3 Blu-ray
劇場版『Oasis:Knebworth 1996』

リリースデータ

2021年11月19日 初登場9位
音楽Blu-rayチャート初登場3位(総合3位)
音楽DVDチャート初登場3位(総合10位)
売上0.9万枚
売上0.3万枚
売上0.09万枚
ソニー

メンバー

Lead Vocals Liam Gallagher
Guitar&Vocals Noel Gallagher
Guitar Paul Arthurs
Bass Guitar Paul McGuigan
Drums Alan White
Additional Musicians
Harmonica Mark Feltham
Keyboards Janet Mason
1st Violin Anne Morfee
2nd Violin Anna Hemery
Viola Kaite Heller,Sue Dence
Cello Emma Black
Saxphone Dave Bishop,Jamie Talbot
Trumpet Steve Sidwell,Simon Gardner,Stuart Brooks
Special Guest
Guitar John Squire
「Champagne Supernova」「I Am The Walrus」に参加

OASIS2ndライブアルバム+ドキュメント映画Blu-ray。ネブワースで1996年8月10,11日の2日間行われ、イギリス全人口の2%におよぶ約250万人が応募して2日間で25万人超を動員して当時の野外コンサートの動員記録を更新したOASIS史上最大規模の伝説とされているライブの模様を収録。9月23日にドキュメント映画『Oasis:Knebworth 1996』公開が発表されると同時に今作の発売も告知されていて映画公開からわずか2ヶ月での発売となった。映像メインでとCDメインでの合計4種発売。O社ではCDメインは普通にアルバムチャート、Blu-ray、DVD単独はそれぞれのチャートで別集計された。

デラックス・エディション2日間共通のセットリスト全20曲を10,11日どちらかの音源で収録したCD2枚+映画Blu-ray。パッケージは1st〜3rdアルバムのリマスター盤3作のデラックス・エディションを踏襲したハードカバーブック仕様。
スタンダード・エディションはCD2枚のみ。
日本盤のCDはBlu-spec CD2仕様。

3DVD10,11日両公演をそれぞれ全収録したDVD2枚+映画DVDの3枚組。
Blu-rayDVD3枚の内容をBlu-ray1枚に全収録。価格面では高い順にBlu-ray→3DVD→デラックス・エディション(2CD+Blu-ray)→スタンダード・エディション(2CD)の順番となる。

輸入盤としてアナログ盤LP3枚組、デラックス・エディションと同内容で映画がBlu-rayではなくDVDで収録された2CD+DVD仕様が存在する。

2日間のセットリストは同じなのでCDでもセットリスト全20曲は収録しているが2日間のいいとこ取りとなっていて、2日間40曲全てのCD化は無い。セットリスト丸被りでも2日分全部聞きたい場合は3DVDか1Blu-rayを選択する必要がある。演奏の微細なコンディション差とかMCとか違う部分はありそうだったが、20曲同じセットリストの2公演を見てさらに映画も見るのはさすがにしんどそうだったので、2CD+映画のデラックス・エディションを選択した。

日本語解説でも触れているようにこのネブワースでのライブ音源が存在する事は現役時代から示唆されており、06年のベスト『Stop The Clocks』のiTunes配信限定で「Columbia」が公開されたのが最初。これはiTunesでの配信のみと限定的だったが、2014年と2016年の2ndアルバムと3rdアルバムのリマスター盤の日本盤ボーナストラックやデラックスエディションの未発表音源の中に「Wonderwall」「The Masterplan」「My Big Mouth」が収録されていた(日付が書かれていなかった音源もあるが解説では同一音源としている)。満を持してのフル公開でCDは2日間からの抜粋だがひとまず気軽に聞きたいならCDで十分だろう。

当時のリアムは容姿も歌声も全盛期と振り返られており、まあ容姿は若さもあるとして、歌声に関しては以後徐々に声質が変わっていきガラガラ気味になっていった。まとまった形でのライブ盤としては2000年のメンバーチェンジ後のライブ盤『FAMILIAR TO MILLIONS』、解散直前の「iTUNES ライヴ・ロンドン・フェスティバル」でのライブ音源がベスト『TIME FLIES...1994-2009』初回盤に収録されている。前者はこれもまたそれなりにいいライブになっているが、後者のライブは明らかにリアムの声がガラガラ気味だった。これを思うと確かに今作のリアムの声の伸びは素晴らしい。ただ演奏面においてもベストかというと別にそんなこともないし、ボーカルにしてもノエルに関しては明らかに今作は他のライブ盤よりも声の伸びがイマイチ。人気曲「Don't Look Back In Anger」なんかは特に顕著で、リアムが不摂生もあってどんどん声を落としていったのに対してノエルはこの後どんどん歌がうまくなったことが改めて良く分かる。このように伝説化されているとはいえ、全てが最高というわけではなく、また最高と言われている当のリアム本人が当時のことをそんなに覚えていない、割と無自覚というのもまた面白いところだなと思う。

映画『Oasis:Knebworth 1996』
2016年のドキュメント映画『oasis:supersonic』に続くドキュメント映画となるが、『oasis:supersonic』はバンドの絶頂期に至るまでに絞った内容でエンディングがこのネブワースライブだったので、今回の映画はほぼ続編、前作で到達したネブワースライブを今度はそこのみに特化して掘り下げた内容となる。ただ構成は大きく異なり、今作ではメンバーへの当時の密着映像も現在の姿も一切出てこない。ひたすらにライブそのものを取り上げた内容となっていて正直かなり独特。ダメな人はダメだろうし、ハマる人はハマるだろうなという一点特化な作りになっている。

今作ではあの日のライブという事象をそのままファン目線で追体験、回想するような作りになっていてまずチケット争奪戦から始まるが、この部分でメインで扱われるのは通常のドキュメントでありがちなメンバーやスタッフの準備の様子ではなく、そんなものは一切出てこない。出てくるのはチケット争奪に挑むファンたちの姿で、当時実際にライブに行ったファン達の証言がナレーションされる。どうやらこの映画のために当時ライブに参加した一般人を探し出してきて当時のエピソードやその後の人生等を語ってもらったようで、次々と一般人のファン証言がナレーションとして語られていく。そしてそれが映像でも流れるがもちろん当時ファンに密着しているわけはないのでこれらはファンの証言を基にした再現ドラマ風映像である。これが実際の当時の映像と混ぜこぜに流れてくるが当時の映像と再現映像は自然に溶け合っていてそこまで違和感は無い。

実際のライブがいよいよ始まってからも各楽曲をフル尺で見せるのではなくライブを見せながらもやはりこれまで同様にファン証言が曲中でも続々流れてきてファンが映し出されまくる。中には最前列にいてリアムにタンバリンくれ!と言った青年がいてしばらくしてリアムが覚えていたらしくライブ終盤で本当にタンバリンをあげているという様子が当時のライブ映像でも記録されているが、まさにこの青年もしっかりファン証言に参加して当時の事を語っている。もちろんその他大勢のファン証言の方が多いが、1人1人に当時の思い出とその後の人生があるというのを描いていく。

一応ファン証言だけでなく、リアム、ノエル、そして当時のギターのポール・アーサーことボーンヘッドといったメンバー5人のうち3人+スタッフ関係者の証言もファン証言と一緒に何度か差し込まれるが、メンバーや関係者は最初に名前が出ると2度目以降は名前が表示されない。色々なファン証言に混ざって声だけ急に出てくるが、姿が一切出てこないため各自の声をしっかり覚えていないと誰が喋っているのか分からないのはちょっと不親切だ。

総じて1996年の空気感を蘇らせ、その後の25年間という時の経過を感じさせる作りになっているので、1996年の体感がある人は本当に素直に懐かしく感動できると思う。一方で体感が無いと知らないファン達の当時の思い出話やその後の人生を延々聞かされるという興味ない語りばかりで1曲1曲をきちんと聞かせてくれないのでけっこうしんどい内容でもあると思う。今との違いとしてスマホどころか携帯電話もないインターネットも無い時代である事(厳密にはあるにはあったが一般レベルに普及していない)。これに伴いチケット入手にはひたすら電話アタックかチケット屋に並ぶしかない。ようやく入手できてもネブワースは交通が不便で勢いでチケットを取った若者は行き方が良く分からない(簡単にネット検索ができない)。野外フェス文化もそんなに根付いていないので野外ライブの定番装備みたいな概念も無くビールと財布だけ持って現地に乗り込む軽装備すぎる若者が続出して苦労する。2日間のセットリストは全く同じだが、インターネットもSNSも無いので2日目になっても噂レベルでしか情報が行き届いておらず、1日目でジョン・スクワイアがゲスト参加したというのも2日目の段階では真偽不明の噂レベルでしかないという情報伝達の遅さ。そしてラジオ中継で自室でライブを聞いていたファンはカセット録音している。

こういった今は当たり前になりすぎて失われてしまったインターネットが無い、携帯電話が無い、SNSが無い世界の大規模ライブ。全く知らない世代にはピンとこないというか単なる大昔という感覚だろうけど、そういった時代にある種の愛おしさを感じられるなら今作は最高の懐古映画でもあるのだと思う。

個人的にこの点がギリギリで難しかった。基本的には当時の若者10代、20代は25年後2021年現在40代50代、この世代の音楽好きであればドンピシャでハマる内容だと思うが、それよりもやや下であり、当時のライブ体感は全く持ち合わせていない。それでも野外ライブやフェス文化に慣れ親しんでいるライブ好きであれば昔はこうだったんだという事で延長戦として興味深い部分はあるのではないか。個人的には1996年当時だと小学6年生でライブに行くような年齢ではなく、携帯電話やインターネットは2000年頃から急速普及してみんな持っている感じになっていったので、この時点で高校1年生。ライブに初めて行ったのもほぼこの時期なのでインターネットが無い世界でのライブをほとんど体感していない。それでもtFOVの解散ライブなど00年代序盤まではネットではなくチケット屋に並んだ経験はわずかにあるという程度。加えてフェスや野外系のライブは苦手としていて経験が無いのでこのような熱狂に対する共感が正直あまり得られない。世代的にも音楽経験の志向的にも今作で描いている熱狂にはハマり切れず、正直1度見れば十分という内容であった。

今作はあくまで当時の表側、ファン目線である。よってこの熱狂の裏のメンバーの様子も、スタッフや設営の様子、恐らく相当な困難もあっただろうけど全く触れない。当時は画期的だったという後方の客用の巨大スクリーンも全くピックアップしない。それどころか兄弟以外の肝心のOASISメンバーの扱いもかなり薄い。証言があるボーンヘッド、ドラムのアラン・ホワイトは立ち位置の関係もあり、歌っているリアムを映した時にそこそこ映り込みはするし、ライナーでも前代ドラマーをクビにして加入してドラムが良くなったという文脈で語られるが、ボーンヘッドより左にいるベースの人はほとんど映らない。音楽的なトピックも無く、脱退後も友人としての交流が続いているボーンヘッドと異なり、ベースの人はファックスで脱退を告げてきたっきり音信不通となり現在の兄弟との接点も特に語られていない人なのでマジで総スルー状態。これでは知らない人や兄弟以外のメンバーをきちんと把握してない人が見たらこの時のOASISが何人組のバンドだったのか、この当時の兄弟以外のメンバーが誰だったのか今作を見ても分からない、思い出せないんじゃないかというレベル。

ドキュメント映画としては作風が個人的には求めているものと真逆だったかなという感じ。評判はいいようなのでちゃんと25年後2021年現在40代50代を中心として刺さる内容ではあるんだと思う。

B09CR3Z8S9デラックスエディション(2CD+Blu-ray)  B09CRM3HRYスタンダードエディション(通常盤) 

B09CRSNZ9DBlu-ray  B09CRM4GH13DVD

CD印象度★★★★☆
映画印象度★★★☆☆

2021.12.5更新

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