LOOKING BACK
No | タイトル | 作詩 | 作曲 | 編曲 | オフコース原曲 | 備考 |
1 | 君との思い出('95) | 小田和正 | 小田和正 | 小田和正 | ソロオリジナル曲 | 14thシングル 最高23位 売上7.9万枚 |
2 | 昨日 見た夢('88) | 小田和正 | 小田和正 | 小田和正 | 14thアルバム『Still a long way to go』収録曲 | 13thシングル『so long my love』C/W |
3 | もっと近くに('87) | 小田和正 | 小田和正 | 小田和正 | 33rdシングル(カット) | |
4 | 緑の日々('84) | 小田和正 | 小田和正 | 小田和正 | 27thシングル(カット) | 10thシングル 最高19位 売上9.1万枚 |
5 | Yes-No('80) | 小田和正 | 小田和正 | 小田和正 | 19thシングル | 11thシングル『風の坂道』C/W |
6 | 風に吹かれて('79) | 小田和正 | 小田和正 | 小田和正 | 16thシングル | |
7 | 愛を止めないで('79) | 小田和正 | 小田和正 | 小田和正 | 15thシングル | |
8 | 夏の終り('78) | 小田和正 | 小田和正 | 小田和正 | 6thアルバム『FAIRWAY』収録曲 | 12thシングル『真夏の恋』C/W |
9 | やさしさにさようなら('78) | 小田和正 | 小田和正 | 小田和正 | 13thシングル | 14thシングルC/W |
10 | 秋の気配('77) | 小田和正 | 小田和正 | 小田和正 | 11thシングル | |
11 | 僕の贈りもの('73) | 小田和正 | 小田和正 | 小田和正 | 4thシングル | 2度目のセルフカバー |
リリースデータ
1996年2月1日 | 初登場1位 | 売上59.7万枚 | Produced by 小田和正 | ファンハウス |
小田和正1stセルフカバーアルバム。『MY HOME TOWN』以来2年3ヵ月ぶりのアルバム。オフコース時代の楽曲をソロでセルフカバーした企画作品。ソロになってから10thシングルとしてリリースした「緑の日々」、C/Wで発表していた4曲の既出セルフカバー5曲と新たに制作した5曲のセルフカバーを収録。「君との思い出」のみオリジナル曲で96年10月にリリースされていた今作時点での最新シングルとなる。また「僕の贈りもの」は88年にソロ2ndシングルとして発表したセルフカバー音源ではなく、新規に制作された2度目のセルフカバー音源となっている。前作で20万割れと大きく低迷していたが、オフコースのセルフカバーという話題性も手伝って今作は再度1位を獲得し、前々作『sometime somewhere』続く売上を記録するなど一気に盛り返した。01年には続編の『LOOKING BACK2』がリリースされた。
オフコース時代、「さよなら」の大ヒットについて鈴木康博は小田のヒットであって自分の曲ではないと語り、小田は何を言っているんだオフコースのヒットだろうと返したという逸話が伝えられている。真偽はともかく、小田和正は(結局継続したとはいえ)鈴木脱退を受けてオフコースは解散だと思ったのは確かなようだ。誰が書いたかに関係なくオフコースとして出した作品は個人ではなくオフコースとしてのヒット曲と考えていたのはたぶん本当だろうと思う。
それだけに当時は恐らく考えもしなかったであろうし、こういった逸話がファンの間でも認知されていた事を考えるとオフコース時代のヒット曲を自分の曲にするというセルフカバー企画はある意味で禁断の企画であったはずだ。年月を経て考え方も変わっただろうとはいえ、今作はオフコースのオールドファンからは賛否を招いたらしく、基本的に思い入れが強かったファンほど違和感を訴える事が多いようだ。一方で今作で低迷しかけていた売上が戻っているので、低迷打破の企画としてはまさにうってつけ、そして00年代に突入して続編がリリースされた後はオフコースのリアルタイムを知らない新たな世代のファンも増えて、ここでのセルフカバー含めてオフコースのセルフカバーは『自己ベスト』シリーズ2作や『あの日 あの時』にも収録されたため、セルフカバーの方を先に聞くというリスナーも増えていった。00年代に向けて小田人気が復調してそのまま鉄壁となり、高く安定したきっかけはこの企画から始まった側面もあり、重要なターニングポイントでもあったと思う。
この時点での最新曲「君との思い出」、そしてオフコースラストアルバム最終曲「昨日 見た夢」からセルフカバーが始まり、自作での最古のシングル(初期3シングルは提供でC/Wで1曲だけ自作)「僕の贈りもの」で締めるという構成は文字通りにこの時点での最新シングル表題曲から最古の自作シングル表題曲へ遡っていくという小田和正のソングライターとしての歴史を最新から最古まで一気に駆け抜けるもの。セルフカバーは既出のものでも93年以降の音源となっているので発売時点では数年内に録音した音源のみで固められており、現在の感覚で改めて自分の曲として歌い直したものとなっている。曲によっては歌詞の変更もされているが、オリジナルを越えたとか越えないというよりかは、どの曲も改めていいと思う。96年時点で既に20年前後経過していた曲でもさほど色あせていないし、アレンジも別に攻めたような変な感じにもしていないし、極度に新しくしようともしていない。完成されつつあった小田和正ソロのサウンドでそのままやってみたといった趣き。
原曲へ強い思い入れがないというのは前提として必要かもしれないけど、オフコースをリアルタイムで知らなければ自然に聞ける1枚だと思う。知ってるとやっぱりバンドの曲をソロでっていう時点でかなり複雑な上にハードルが上がってしまうので難しい。このシリーズやセルフカバーが大量に入っている『自己ベスト』以降のベスト盤に否定的なオールドファンも多いが、でも結果考えられないほど新規リスナーが増えたのであればそれもまた1つの正解だったんだろうな。
印象度★★★★☆
2019.2.13更新