W FACE

Strings Arrangement:織田哲郎/池田大介(5)

Strings Arrangement:織田哲郎/中西長谷雄(1,5)、織田哲郎/池田大介(6,8)

リリースデータ

織田哲郎13thアルバム。5年10ヵ月ぶりのオリジナルアルバム。ロックを堪能できる「RED」、美しいメロディを堪能できる「BLUE」の2枚組。前作以降のシングルCDは07年の「月ノ涙」のみでここまではユニバーサルだったが、今作ではキングレコードへ移籍している。また2011年に相次いで配信限定でリリースしていたソナーポケットへの提供曲セルフカバー「あなたのうた」、セルフカバーの「いつまでも変わらぬ愛を」はそれぞれバージョン名を変更した初CD化で収録。FENCE OF DEFENSEとのコラボでF.O.D.Aとして配信限定リリースしていた「R&R is my friend」もセルフカバーされ初CD化された。ミックスとマスタリングは織田哲郎と鈴木誠が担当している。

近年はリリース自体が極端に少ない上にアコースティック系で完全に落ち着いていたのでもうロックは聞けないのかと思っていたが『RED』では存分にロックサウンドを聞く事ができる。CBSソニー時代のような高らかな歌声は戻らずとも、復帰当初よりは声が出るようになったのか、適度に枯れながらも味のある歌声は渋みが増していてなかなか良い。何より久々に聞けるロックサウンドが爽快だ。特に作詞を中島みゆきが担当した「Winter Song」は名曲。「天啓 ver.3」と「FIRE OF LIFE」はかつて強盗に襲われた影響で高い声が出なくなり、一時はもう歌えないと診断されながらも(キーは低くなったけど)見事に復活した今の織田哲郎が歌うからこそ説得力がある復活ソング。

一方の『BLUE』は前作の延長にあるような近年の王道であるアコースティック路線でじっくり聞かせる。『RED』の後だと『BLUE』は地味に感じてしまうが、「あなたのうた」「いつまでも変わらぬ愛を」というポップ路線の楽曲がひときわ輝く。2枚とも30分台なので実は1枚のCDに余裕で収まるんだけど、方向性が違いすぎるので2枚に分けたのは正解だと思う。織田哲郎の作曲した曲に好きな曲があるリスナーなら聞いて損の無い1作。

いきなりキングレコードになっていたのも驚きだが(AKB48に提供した流れ？)、最大の驚きはストリングスアレンジで池田大介、コーラスで坪倉唯子が参加していること。少なくとも表向きはアルバムのスペシャルサンクスに長戸大幸の名前を入れたり、TVで長戸大幸には感謝しているとコメントしたり、BEING LEGENDでも花を贈るなどしていたので、織田哲郎サイドとしては常に敬意を払い続けていたように見えた。しかしビーイング側の遺恨が深いらしく、実際これまで織田哲郎が直接関与してきたのはビーイング離脱組ばかり。今回現役のビーイング在籍者と関与したというのは関係に変化の兆しが見えてきたように思う。

印象度★★★★☆

2019.8.1修正

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