CAM-ON!〜5th Anniversary Best〜（初回限定「ねじねじ」盤）

リリースデータ

大原櫻子1stベストアルバム。デビュー5周年記念作。タイトルの「CAM-ON!」はカモン(Come on!)ではなく、ベトナム語での「ありがとう」を意味する。MUSH & Co.での歌手デビューは13年12月、大原櫻子(from MUSH & Co.)と初めて自身の名前が出てのシングルは14年6月、大原櫻子単独名義での「サンキュー。」は14年11月だが、どこを起点としての5周年かは明記しておらず、3月発売の今作はいずれにせよ5周年の年、期間に入る。リリース時点での年齢が23歳であるという理由で23曲を本人がセレクト。シングル表題曲11曲は全て収録された。加えてReprise versionとしてアコースティックバンドスタイルでリメイクした3曲を収録。このうち「卒業」は映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』のアルバムにのみ収録されていた楽曲で大原櫻子の作品には初収録となる。「遠くまで」がアルバム初収録。

初回限定「ねじねじ」盤はインタビュー、Reprise versionの撮り下ろしMV、ソロデビュー以降のMVコレクション(副音声付)、ストリートライブのドキュメント映像を収録したBlu-ray付、DVD付の2種が存在。
初回限定「うねうね」盤は56Pフォトブック、スリーブケース仕様。
通常「くるくる」盤はCDのみ。
18年6月の3rdアルバム以降、配信でシングルカットを行ったのみで新作リリースが無かったこともあって、最低売上を更新した。

オリジナルアルバム3枚での2枚組ベスト盤にはかなり無茶があり、重量級ベスト盤ブームの典型例のような選びすぎベスト。シングル表題全曲とアルバムリード曲は押さえつつも、本人の強い意向で遊び心を全開にした「のり巻きおにぎり」や「いとしのギーモ」といった曲も選ばれている。ひたすら王道、ベスト的な楽曲を並べるよりもこれ1作で今まで見せてきた一通りの一面を提示したような、ベスト盤というより再編集盤、まとめ盤といった装いの1作。

全部聞いてきたリスナーとしてはコロプラタイアップ等で当時けっこうOAされていたのにアルバム未収録になってしまっているC/W曲とかいくつかあったのでこの機会にアルバム収録しておいてほしかったとか色々あるんだけど、23曲も選ぶのが前提だったなら再編集盤としてはけっこうバランス重視の選曲になっているんじゃないかと思う。「のり巻きおにぎり」や「いとしのギーモ」を始めとしたあまりベスト盤に選ぶような曲では無いような楽曲がいいスパイスになっていて通して聞く分にはこの方が良かった。それこそ明るく爽やかではつらつとしたナンバーと王道バラードばかりひたすら23曲も詰め込んでいたら間違いなくワンパターンになってて途中で飽きてしまっていた。

Reprise versionはリメイクするには少し早いような…。特に「明日も」のAメロで"10年後の未来のことなんてわかんないよ"なんていうフレーズが出てくるのだから10周年でリメイクした方が深みが出ていたのでは…。アコースティックバンドスタイルのアレンジはこれはこれでいいんだけど、亀田誠治人脈でベテランミュージシャンをふんだんに使いまくっていたのに、ここに来て小名川高弘すら参加せずにまた新たな演奏陣に変わってしまったのは一体どうしたのか…。アレンジとギターを担当した若菜拓馬はHysteri BlueのTamaが結成したScreaming Frogsのメンバーとして活動していた人物だったのでここで急に出てきて驚いたが、知名度的にはこれまでの参加ミュージシャンよりも明らかに落ちてきているのは否めない(デビューから亀田誠治人脈でのフルプロデュースというのが豪華すぎたというのもあるが)。

初回盤のインタビュー映像はReprise versionのMV3曲をまとめて一気撮りした際の合間に収録された映像と思われメイク等が同じ。ジャケット写真もそうだったが、童顔なのを気にしているのかかなり大人っぽいメイクにしていてこれがどうにも変に貫禄が出てしまって、5周年というより10周年みたいに見えてしまう…。途中からスタッフとの女子トークになってしまって視聴者若干おいてけぼり気味で、そんな知らん人と盛り上がられても…というところもある。Reprise versionのMV3曲はスタジオライブ風(生演奏ではない)の映像で通常のMVに比べると簡易的。

MVコレクションは何故か「明日も」「頑張ったっていいんじゃない」がカットされて「サンキュー。」から。しかもどういうわけか既発のMVのうち「My Way」(3rdC/W、MVは3rd初回盤B収録)だけ未収録になってしまっていてこれに関しては完全に忘れ去られている感が…。今回は副音声で本人トークが聞けるのがポイントだが、特に初期のMVで頻繁に幼いとか言っているので大人っぽくなりたい願望が強く、それが後期の大人っぽいメイクや今作のジャケ写等に繋がっているのかもしれない。それにしたって、ジャケ写やインタビュー、Reprise versionのMVの風貌なんかは10周年(28歳)っぽい。一応ブックレットの中にはナチュラルな写真もあって普通にその等身大っぽいのをジャケットにすれば良かったのに。事務所独立もしたし、ちょっとあまりにまとめすぎ&生き急ぎすぎててこれで歌手活動に一区切りつきすぎてしまうんじゃないかっていう不安が…。

初回ねじねじ盤Blu-ray付　　初回ねじねじ盤DVD付　　

初回うねうね盤フォトブック付き　　通常くるくる盤 　

印象度★★★★☆

2019.5.4更新

戻る