musiQ
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 備考 |
1 | KA・RI・SU・MA | NAOTO | ||
2 | チェスト | ORANGE RANGE | ORANGE RANGE | 6thシングル(10万枚限定) 最高1位 売上11.6万枚 |
3 | ロコローション | ※ | 5thシングル 最高1位 売上49.3万枚 今作でリトル・エヴァ『The Loco-Motion(ロコ・モーション)』のカバー扱いに変更 |
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4 | 以心電信 | ORANGE RANGE | ORANGE RANGE | |
5 | ZUNG ZUNG FUNKY MUSIC | ORANGE RANGE | ORANGE RANGE | 4thシングルC/W |
6 | パディ ボン マヘ | NAOTO | ||
7 | シティボーイ | ORANGE RANGE | ORANGE RANGE | |
8 | 謝謝 | ORANGE RANGE | ORANGE RANGE | |
9 | 男子ing session | ORANGE RANGE | ORANGE RANGE | |
10 | Beat Ball | ORANGE RANGE | ORANGE RANGE | |
11 | ミチシルベ〜a road home〜 | ORANGE RANGE | ORANGE RANGE | 4thシングル 最高1位 売上27.8万枚 |
12 | 花 | ORANGE RANGE | ORANGE RANGE | 7thシングル 最高1位 売上100.0万枚 正確には999789枚でミリオン未達成扱い |
13 | FULLTHROTTLE | ORANGE RANGE | ORANGE RANGE | |
14 | 祭男爵 | ORANGE RANGE | ORANGE RANGE | |
15 | papa | ORANGE RANGE | ORANGE RANGE | |
16 | HUB☆STAR | ORANGE RANGE | ORANGE RANGE | |
17 | Oh! Yeah | ORANGE RANGE | ORANGE RANGE | |
18 | SP Thanx | ORANGE RANGE | ORANGE RANGE | |
19 | ジパング2ジパング | NAOTO |
※ Written by Carole King and Gerry Goffin,with additional lyrics and music contributed by ORANGE RANGE
Strings Arrangement:吉俣良(12)、前嶋康明(18)
Horn Arrangement:平田直樹(9)
リリースデータ
2004年12月1日 | 初登場1位 | 売上264.9万枚 | Produced by シライシ紗トリ | gr8!records(ソニー) |
メンバー
hub-vox | YAMATO |
mid-vox | HIROKI |
low-vox | RYO |
programming,other instruments,ハブギター | NAOTO |
bass | YOH |
drums | KATCHAN |
ORANGE RANGE2ndアルバム。前作以降の4シングル、C/W1曲を収録。「以心電信」はメンバー出演のau by KDDI CMタイアップとして大量OAされておりリード曲扱いとなった。シングルは4作全てで1位を獲得、「花」が毎週10万以上の売上を記録するロングヒットでミリオンに迫る中で、今作も初動で80万枚を越え、アルバムで初の1位を獲得。2週連続1位となり、2週目にミリオンを突破した。最終的に200万枚を突破する空前の大ヒット作となった。21世紀(2001年以降)デビューでの200万枚突破は史上唯一となる。また今作以降の発売で今作を越えたアルバムは06年のコブクロのベスト盤『ALL SINGLES BEST』(300万越え)のみ。歴代アルバム売上33位、21世紀以降では前述のコブクロ、MONGOL 800『MESSAGE』に続く3位となる。初回盤はキラキラハブジャケット。ハブにこだわっていたのか、「HUB☆STAR」という曲があるほか、よく見るとYAMATOのボーカルクレジットはhiではなくhub、NAOTOのギタークレジットもハブギターになっている。また翌年脱退するKATCHAN在籍時6人での最後のアルバムにもなった。
「チェスト」まではソニー独自のコピーコントロールCD、レーベルゲートCD2(04年に「2」に進化した)が採用されていたが、9月にレーベルゲートCD2が全廃されたため、「花」からは通常のCDで発売された。1stシングルからCD規格から外れたレーベルゲートCDでのシングルだったため、「花」が自身初のCD規格準拠のシングルCDだった事になる。またアルバムでのレーベルゲートCD2採用期間は04年1月からで、この期間にアルバムが出なかったため、アルバムでの採用は1度も行われなかった。
猛烈な勢いで当時既に2度と生まれないのではないかと絶望視されていた200万枚突破をあっさり達成し、オリジナルアルバムとしては現時点で最後のWミリオン作品となった今作。もっといえばデビューそこそこ、20歳そこそこの若者が一時的とはいえこれだけ大ブレイクして天下を取ったのも今のところこれが最後の事例となっている。当時でもここまでの規模の大ヒットは久々だったが、これまでと違ったのは同時に盗作を糾弾するアンチを大量生産し、ネット上が大いに荒れた事だった。結果的にWミリオンどころかミリオンすら今作のみとなってしまったのは今作の評判がパッとしなかったのか、盗作糾弾が大きくなりすぎてアンチに転じたライトリスナーが大量発生して一般リスナーまでアンチに転じさせるほどの影響を及ぼしたためか…。
SNSはまだそこまで発達していない頃だったので主に匿名掲示板と盗作検証サイト(ブログではない)が主戦場だった。ネットの発達でパクリ糾弾が容易になり、実は同時期の大塚愛だとか漫画家の矢吹健太郎(『BLACK CAT』連載時代)とかも当時は筆頭級にパクリで叩かれていたんだけど、ORANGE RANGEは今でもwikipediaに盗作騒動を解説した項目があるくらいなのでどれだけ大きな狂騒だったかの一端が伺える。
「ロコローション」はシングルでは自作扱いだったが今作では"Written by Carole King and Gerry Goffin,with additional lyrics and music contributed by ORANGE RANGE"と複雑な表記に変更されている。Contributedって。ただしこの表記はブックレット歌詞の下に一括クレジットでかなり小さく表記されていたため、発売時は大して話題にならなかった。12月31日の紅白出演時に「ロコローション」を歌い、作詞作曲がCarole King and Gerry Goffin、日本語詞がORANGE RANGEという日本語カバー扱いの新表記で映し出されたため、盗作糾弾が本格化した。
また前作発売時のインタビューで「合言葉はパクろうぜ(笑)」とNAOTOが発言していた事も発掘されて騒動に拍車をかけた。有名なのは合言葉発言だが、それ以外にもインタビューでは調子に乗った発言が散見され、「チェスト」発売時のO社誌のインタビューではライターまで一緒になってこの曲は1位になっちゃいけない曲などと盛り上がる始末で、個人的にも当時かなりイラッとしたし、思い返しても急速に売れて調子に乗っていた当時の彼らの態度は軽率なものが多すぎたと思う(パクろうぜ発言の記事を執筆したライターは原文記事を読めば分かるように発言に対して若干引き気味になっているが、O社誌の場合は他誌に比べても当時彼らのインタビューを毎回担当していたライターが一緒になって悪ノリしていたのが目についた)。
「盗作」という言葉でもって断罪されまくったORANGE RANGEだったが、実際の彼らの姿勢としてはパクろうぜというよりパロディという認識だったと思われる。合言葉発言では最初にカバーして、ここ分からないようにしよう、ここ使うとバレるとか話し合いながら曲を作っているともコメントしていたのも決定打になってしまったが、「ロコ・ローション」に対して「ロコモーション」とか、「ZUNG ZUNG FUNKY MUSIC」でドリフターズみたいなノリの曲に仕上げるとか、最早元ネタを隠す気が無い曲もある。かつてMi-Keがやったような「サーフィン・U.S.A.」に対して「サーフィンJAPAN」だとか「ブルーライト ヨコハマ」に対して「ブルーライト ヨコスカ」だとかその辺りと変わらないノリである。運が無かったのは元ネタ明かした上でのパロディのつもりがキャロル・キングに抗議されてカバー扱いにされてしまった事だろう。パロディにしても事前に許可を取っていればサンプリングカバーくらいの扱いで済んでいたかも…。実際のところ「ロコローション」は確かに「ロコ・モーション」臭が漂うが、いざこれがカバーかと言われたらカバーと呼ぶには曲を変えすぎているようにも聞こえる。
そんなわけで今作は分かりにくいものから分かりやすいものまでパロディや様々な音楽性をORANGE RANGE流に調理した雑多な楽曲が並ぶかなりごちゃ混ぜ感漂うノリノリの1作。調子に乗っていた面も多分にあるんだろうし、シングルと「以心電信」以外は楽しいんだけど好きな曲かと言うとそうでもない…みたいな感じでノリ任せの曲ばかりでさらに曲数が多すぎるのは否めない。それでもコブクロの「YELL〜エール〜」のAメロという抑えた部分のメロディーを物凄くドラマチックなサビメロに転用した「花」にしろ、パロディの極み「ロコローション」にしろ、ドクターマリオをキャッチーなヒット曲風味に仕立ててしまう「以心電信」にしても、秀逸な調理であり、今作当時のヒット曲を生み出す力は割と本物だったと思う。
とにかく態度がマズかった…。名盤かというとそうではないとは思うし、ベスト盤『ORANGE』『RANGE』を聞いた後だとそれ以上のものはないとも思うんだけど、ノリで聞けば今でも(今だからこそ?)楽しい1作だと思った。
印象度★★★★☆
2017.9.6更新