MeRISE
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 備考 |
1 | 春〜spring〜(Sabao ver.) | たくや | たくや | 佐久間正英&Hysteric Blue | 1st配信シングルC/W Hysteric Blueのセルフカバー |
2 | なぜ…(Sabao ver.) | たくや | たくや | 佐久間正英&Hysteric Blue | 1st配信シングルC/W Hysteric Blueのセルフカバー |
3 | ふたりぼっち(Sabao ver.) | Tama・たくや | たくや | 佐久間正英&Hysteric Blue | 新録音 Hysteric Blueのセルフカバー |
4 | Dear(Sabao ver.) | たくや | たくや | 佐久間正英&Hysteric Blue | 新録音 Hysteric Blueのセルフカバー |
5 | グロウアップ(Sabao ver.) | たくや | たくや | 佐久間正英&Hysteric Blue | 新録音 Hysteric Blueのセルフカバー |
6 | BIG VENUS | 楠瀬拓哉 | 楠瀬拓哉 | 楠瀬拓哉 | 1st配信シングル 1st Song |
7 | アップデート | 楠瀬拓哉 | 楠瀬拓哉 | 五十嵐淳一 | 1st配信EP 2nd Song |
8 | ||:Repeat:|| | 楠瀬拓哉 | 楠瀬拓哉 | 松隈ケンタ・伊真吾 | 2nd配信シングル 19th Song |
9 | アソビ | 楠瀬拓哉 | 楠瀬拓哉 | tatsuo | 3rd配信EP『Alliance vol.2』収録曲 14th Song |
10 | MILK | 楠瀬拓哉 | 楠瀬拓哉 | えびさわなおき | 3rd配信EP『Alliance vol.2』収録曲 16th Song |
11 | あいうえおで へ〜んしん! | 楠瀬拓哉・ ドラゼミ研究所 |
楠瀬拓哉 | 楠瀬拓哉・伊真吾 | 小学館ドラゼミ 特典収録曲 17th Song |
12 | なぜ…[electro remix] by アサキ | リミックス | |||
13 | 春〜spring〜[jazz piano remix] by ござ | リミックス | |||
14 | 今〜present〜 | 楠瀬拓哉 | 楠瀬拓哉 | 楠瀬拓哉 | ライブ来場者配布&FC限定配信曲 13th
Song 演奏再録音 |
15 | また明日 | 楠瀬拓哉 | 楠瀬拓哉 | 楠瀬拓哉・伊真吾 | FC限定配信曲 18th Song 演奏再録音 |
16 | 未RISE | 楠瀬拓哉 | 楠瀬拓哉 | 重永亮介 | 新曲 |
リリースデータ
2018年8月22日 | 初登場118位 | 売上0.04万枚 | IVY Records |
メンバー
Vo | Tama |
Dr | 楠瀬拓哉 |
Sabao1stアルバム。ユニット名は正式にはaの上に波線符号(〜)がついた表記となっており、シャボンと読むサバオではない。03年に活動休止となり、メンバーのナオキが起こした事件を受けて04年に解散したHysteric BlueのTama、たくや(楠瀬拓哉)で2011年に結成。2012年以降主に配信で楽曲をリリースしていたが、今作が集大成にして初の単独CD作品となる。TamaはHysteric
Blueの休止後はプロデューサーだった佐久間正英と共にScreaming
Frogsを結成して活動。佐久間正英は脱退したが、代わって息子の佐久間音哉が加入したり、Tama、楠瀬拓哉それぞれに佐久間正英が『鋼の錬金術師』等のキャラクターソングの楽曲提供の仕事を紹介したりと関係は継続していた。やがて2010年頃にScreaming
Frogsに楠瀬拓哉がサポート参加を経て正式に加入。流動的だったScreaming
Frogsメンバーも固定して本格的に新作リリースとライブ活動を行い始めた矢先にメンバーが1人脱退、前後してSabaoの活動が始まるとScreaming
Frogsの活動は完全に停止状態となった。以降TamaのソロアルバムがCDで3作リリースされていたが、Sabaoは配信限定でのリリースが続いていた。
今作はHysteric Blueのセルフカバー5曲+Sabaoのオリジナル8曲、リミックス2曲と新曲1曲を収録。Hysteric Blueでのデビュー20周年もあって20年の集大成的な意味合いも込めたベスト盤的な内容となっている。Sabaoのオリジナル楽曲には公式に通し番号が振られており、新曲「未RISE」を除いてここまでに19曲が発表されていた。このうち2nd〜9thに関してはタイアップ先だったドラマのサントラ盤『イタズラなKiss〜Love in TOKYO オリジナル・サウンドトラック』でCD化されていた。このため今作は厳密には「アップデート」以外が初CD化となる。
Hysteric Blueのセルフカバーに関しては当時のままのクレジット表記となっていて、2014年に亡くなった佐久間正英の編曲も、当時の"たくや"名義もそのまま。そして実際の演奏も当時のアレンジをほぼ忠実に再現する形となっていてリアレンジは行っていない。これは当然オリジナルが1番いいしリスナーもそれを望んでいるというメンバーの考えと、事件の影響で中古という形以外でのHysteric Blueの全楽曲の流通が停止状態のままであることもあって、リアレンジを加えるのではなく、再現を目指したようだ。
また「春〜spring〜(Sabao ver.)」と「なぜ…(Sabao ver.)」のキーボードとベースは佐久間正英というクレジットになっていた。この2曲だけは佐久間正英が亡くなる1年ちょい前の2013年発表だったので生前にレコーディングにも参加していたという事だろうか。2人も佐久間さんへは常々感謝の言葉を述べているがけっこうHysteric Blueが不本意な形で解散になってしまった後も2人の事を気にかけてくれていたみたいで、けっこうギリギリまで手を貸してくれていたんだなと思うとグッとくるものがある。
そんなわけでHysteric Blueセルフカバーは期待通り。さすがに時代も変わっているので多少の変化はあるもののほぼあの頃通り。あの当時の煌めきがそのまま蘇る。正直そんなにヒットしたわけではないものの、ファン人気が抜群に高そうな「Dear」「グロウアップ」を選曲しているのも嬉しい。ただ「グロウアップ」に関してはなんだか声の張りが弱く、やや抜き気味に歌っていて真っ向勝負でドーンと発声するのを回避しているかのようでもありちょっと気になった。
Sabaoというユニットは元Hysteric Blueの2人へ楽曲依頼があっての結成とされている。拓哉が加入した以上はScreaming Frogsのままでも良かった気もしなくもないが、固定バンドよりもユニット形式の方が自由度があるのと、元Hysteric BlueのSabaoという形態を新たに用意することで需要を見込んだんじゃないかなとも思う(Screaming Frogsは元Hysteric Blueとしてではなく、あくまで別のバンドScreaming Frogsとして活動していたような印象)。基本的に配信でのEPなりシングルなりを出す際は企業とのタイアップでの楽曲書き下ろしという形で楽曲が発表されていた。タイアップに合わせて柔軟に曲調もアレンジャーも変えているので、6曲目以降はHysteric Blueに比較的近い「BIG VENUS」で始まるも、今風な電子音を取り入れたり、アニソンロックちっくだったりと方向性は曲ごとにバラバラで1つのイメージに捉われないような幅広さ。完全な幼児向けソング「あいうえおで へ〜んしん!」はわざわざ収録しなくても…とも思ったが、20年経過しているので当時のHysteric Blueファンが結婚して子供がこのくらいの年齢であることを想定しているのだとすれば親子で楽しめる側面もある…のか。
ボーカルを大胆に加工したエレクトロアレンジの「なぜ…[electro remix]」、リミックスというよりジャズピアノ伴奏のリアレンジ(ボーカルも新録音)「春〜spring〜」を経てからのラスト3曲は正統に"Hysteric Blueから年月を経た現在"といった少し落ち着いた大人の装い。「今〜present〜」が2015年のライブで来場者配布&FC限定配信、「また明日」もFC限定配信…とこの2曲はタイアップではなくファンクラブ会員向けに書き下ろした曲になっているので(インタビューではオケを再録音したと語っている)、共に年齢を重ねてきた自分たちから同世代のファンへ向けたメッセージのようでもあり、その流れは新曲「未RISE」にも続いていき、「未RISE」は「春〜spring〜」へと戻っていくような仕掛けも施されている。Hysteric Blueをリアルタイムで聞いていたメンバーより少し下の世代である自分にとってもラスト3曲は決してあの頃の勢いはないけど重ねた年月の深みもあってしみじみとしてくるものがあった。足早ではあるが20年を感じられ、Hysteric Blueが好きだったならまず外さない集大成の1作。
残念なのが今作発売後もツアーを行うなどかつてないほど精力的な活動を展開したものの、今作発売からおよそ1ヶ月後、ツアーFINALを持ってSabaoとしてのライブ活動を休止すると発表。この文章だと楠瀬拓哉は一旦少し休んでまたいつか再開するようなニュアンスだが、TamaはTama個人のライブ活動も休止するとした。いちいち"ライブ活動"としているので提供や音源発表は続けるかのようにも思えるが、ツアー終了後改めて体調不良が理由だとして、出来る範囲で活動を継続し、自身のCDリリースやライブではなく制作のお手伝いなどをすると表明した。
未だ事件の影響により見えない規制でもあるのか、どうにも広がり切れないとこはあったように思う。Sabaoとして懐古系歌番組に出てきて「春〜spring〜」や「なぜ…」を歌うみたいな事が出来ればかなり違ったんだろうけど、この1回ポッキリのCDリリースチャンスに渾身の選曲・こだわった曲順での今作も118位に1週ランクインして2週目300位圏外…。自分から情報をキャッチしていくタイプのリスナー以外にはどうしても元Hysteric Blueリスナーに活動自体が届ききらないところがあったのは否めない。やはりメディア露出の自主規制的なものは今なお続いていると思われ、その分だけ広がり切れなかったなと思うところもあった。
印象度★★★★☆
2018.11.4更新