U-ka saegusa IN dbU
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 備考 |
1 | いつも心に太陽を | 三枝夕夏 | 三枝夕夏 | 小澤正澄 | 10thシングル 最高16位 売上1.0万枚 |
2 | 眠る君の横顔に微笑みを | 三枝夕夏 | 大野愛果 | 小澤正澄 | 7thシングル 最高12位 売上2.5万枚 |
3 | ココロが止まらない | 三枝夕夏 | 大野愛果 | 徳永暁人 | JEWELRYへ歌詞提供 セルフカバー |
4 | 胸いっぱいのこの愛を 誰より君に | 三枝夕夏 | 大野愛果 | 小澤正澄 | JEWELRYへ歌詞提供 セルフカバー |
5 | 青春の空 | 三枝夕夏 | 岩井勇一郎 | 小林哲 | |
6 | へこんだ気持ち 溶かすキミ | 三枝夕夏 | 大野愛果 | 小澤正澄 | 8thシングル 最高14位 売上1.6万枚 |
7 | 笑顔でいようよ | 三枝夕夏 | 大野愛果 | 小澤正澄 | 9thシングル 最高12位 売上1.4万枚 |
8 | 最後のキスは氷のように冷たかった | 三枝夕夏 | 五大ゆり | 古井弘人 | 10thシングルC/W |
9 | 吹きすさぶ風の中で | 三枝夕夏 | 徳永暁人 | 小澤正澄 | WAGへ歌詞提供 セルフカバー |
10 | 私を許さないで | 三枝夕夏 | 小松未歩 | 後藤康二 | |
11 | Hand to Hand | 尾崎春美・ 三枝夕夏 |
大野愛果 | 小澤正澄 | |
12 | 君のハートに胸キュンA | 三枝夕夏 | 岩井勇一郎 | 後藤康二 | 8thシングルC/W |
リリースデータ
2004年11月17日 | 初登場24位 | 売上2.1万枚 | Produced by KANONJI | GIZA studio |
メンバー
Vocal&Chorus | 三枝夕夏 |
Guitar&Chorus | 岩井勇一郎 |
Bass&Manipulator | 大藪拓 |
Drums | 車谷啓介 |
三枝夕夏 IN db2ndアルバム。前作から1年ぶり。前作以降の4シングル、C/Wから2曲を収録。さらに歌詞提供した3曲のセルフカバーを収録。前作同様のスリーブケース仕様、フォトブック「bottom of my heart」付属。今回のフォトブックは公式サイトで募集したこれまでの楽曲の好きなフレーズと投稿者のそのフレーズにまつわるメッセージが掲載されており、最後に三枝夕夏の直筆メッセージが掲載されている。前作以降トップ10には届かないものの、GIZAの猛プッシュもあってシングルは15位前後を記録していた。CD不況の波の方が大きかったとはいえ、アルバムはまたしても伸び悩んでトップ20にも届かず、前2作を順位、売上共にまたしても下回る結果となった。
今作ではdb3人のメンバー表記ではなく、三枝夕夏含めた4人が同じ箇所に平等にバンドメンバーとして表記されている。また写真は相変わらずほぼ全て三枝夕夏の単独写真だが、歌詞ブックレットには男性メンバー3人のライブ写真が1ページ、4人揃ってのスタジオでの写真が1ページ掲載。フォトブックにはライブ後の挨拶時のようなモノクロの4人での写真が1枚だけ掲載され、前作よりもdbメンバーの顔もちゃんと写っていて4人組バンドとして扱われた。
GIZAの猛烈なプッシュを一身に受けていたハイパーごり押し絶頂期の1作。GIZAでトップクラスのプロモーション、大野愛果を筆頭としたトップ級の制作陣が集結し、本人はレーベルメイトへ作詞提供するというZARD坂井泉水パターンで作詞力を全面に押し出し、そのセルフカバーも大量に収録されたセミベスト的な構成だけに最低でも今作でトップ10ヒット、5万枚あわよくば10万くらいは狙っていたようにも思えるが、まさかのシングルに毛が生えた程度、「眠る君の横顔に微笑みを」は下回り、前作より売れないという結果に終わった。これもあって当時のGIZA界隈ではこのごり押しに反感を持ち、批判的な声が大きくなり、GIZA中心のブログコミュニティで三枝叩きが始まるという有様であった。界隈的なブログコミュニティは2010年代に入る前には散会し、更新の止まった各サイト/ブログはその後の10年の間に消滅していってほとんどもう残っていないが、今作や次回作がいかにダメなのかを超長文で徹底的に理屈を並べて批判しつくすという衝撃的なレビューも当時見た記憶があって凄く印象に残っている。当時の三枝夕夏というとそのような批判の声が大きいイメージで好意的なレビューを探す方が難しかった。それにしても当時この人たちだけ妙にプッシュされまくっているな…という印象はあった。J事務所で言うところの"社長のスペオキ"と同じ
個人的にも三枝夕夏 IN dbの最もイメージされる時期って曲単位だと「君と約束した優しいあの場所まで」なんだけど、アルバムだと前作や次回作よりも今作なイメージがある。まあ今作だけオリジナルでリアルタイムで聞いたというのはあるんだけど、自然と手に取るくらいには一応は話題作くらいなところまで盛り上げられていたというのもある。今作も前作に続いて小澤正澄が多いが押せ押せのデジロック系よりは声質的には得意とするであろうもう少し聞かせる落ち着いた方向性の曲も増えた。どうもアップテンポやノリのいい曲だと独特のノリや何より歌声がそのノリの良さに適応できずにやけに棒歌唱に聞こえてしまうところは変わらず、「君のハートに胸キュンA」なんかもハートマークが出てくるようなラブリーな曲だが肝心のボーカルがアップテンポな高音でいっぱいいっぱいなので聞こえる印象としてはキミノハートニムネキュンキュン♪という感情を感じられない無機質ボイスで歌詞にあるようなハートが見えない。「眠る君の横顔に微笑みを」や「笑顔でいようよ」辺りのミディアムで聞かせる曲の方が明らかに得意そうでストレートに曲の良さを感じられる。
当時KANONJI氏こと長戸大幸がやたら歌詞を褒めていて他の所属歌手に三枝の歌詞を参考にしろと言っていたなんて逸話も後年伝えられているが、実際別冊のフォトブックにはファンから募集した好きなフレーズとエピソード集を掲載してこんなにファンの共感も呼んでいる普遍的な詞の才能を持っているんですアピールにも余念がない。正直なところここまでされると、そ…そんなに…!?と逆に疑問に思ってしまうし、倉木麻衣や愛内里菜ら、基本的に作曲できなくて作詞だけするGIZA女性シンガーばかりだった中で何故そこまで際立って歌詞を売りにするのだろうとは思った。字余り連発で詰め込む、「へこんだ気持ち
溶かすキミ」や「君のハートに胸キュンA」のように寒いノリも厭わないはっちゃけっぷりも含めて非常に独特のノリがあるので、かなり個性的ではあるとは思うんだけど…。ただJEWELRYって韓国の女性グループなわけで慣れない日本語詞を歌うのに三枝さんの字余り詰め込み歌詞ばかり歌わされたのは凄い苦労しただろうなとは思
そんなわけでKANONJI氏が21世紀の新たなるZARD的存在を目指していた事が伺える1作。間口の広いポップで聞きやすい楽曲を取りそろえた気合の1作ではあり、普通以上にはいい。というか当時のGIZAの総力を結集しているのだから悪くなるはずはない。しかし独特すぎるノリ、無機質気味なボーカル、バンド形態なのに結局あからさまな打ち込みによる疑似バンド風サウンドで4人組バンドとしてはほとんど機能しておらず単なるライブ要員…と気になる部分も多く、これを無理やり売り出せばそりゃ他のGIZAリスナーからは何故?とは思われるし、やりすぎてヘイト集めてしまったようにも思う。ここまで押さなければ好きな人が好きに聞くだけで概ね好評にまとまっていたのではないか。
フラットに聞けば前述のように普通以上にはいいアルバム。当時の批判の痕跡もネット上からほぼ消え去っていき、コナンを始めとしたタイアップで純粋に曲だけ聞いていいと思っていた当時のレビュー世代よりも下の当時の子供たちが改めてちゃんと聞けば、サブスク解禁以降の時代では徐々に当時とは違った評判にはなっていきそうではある。実際サブスク解禁の際は当時からにしろ後追いにしろ、好意的なリスナーでそれなりに賑わっていたように見えた。3期WANDSのような後追い世代の高評価までは行かなくても当時のリスナーより当時タイアップ先で触れていた子供たちが大人になってから評判が良くなっていくという点で近い流れは起きていくのではないかと思う。
しかし前作は呼ばれたばかりで仕方なかったとはいえ、バンドメンバーがアレンジに全く参加する気配が無いどころか、New Cinema 蜥蜴のメインライターであり、ZARDのシングル表題曲を手掛けた実績もある岩井勇一郎を作曲担当として使う気がほとんど無いというのはもったいない。その辺りも見込んでメンバーに選んだわけではなく本当にライブ要員として3人を招集しただけだったのだろうか。岩井&車谷にとってはNew Cinema 蜥蜴が全く売れずに解散した後のセカンドチャンスであったわけだけど、岩井の作曲は新人時代にいきなりZARD起用してNew Cinema 蜥蜴でメインライターとしてデビューさせていたのだからdbになる前までは作曲担当として期待されていたはず。db以降はKANONJI氏に作曲家として期待されなくなっていたのか、そもそもほとんど曲を提出しなくなっていたのか…。
印象度★★★★☆
当時の感想を2022.9.21修正