U-ka saegusa IN dbV
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 備考 |
1 | 飛び立てない私にあなたが翼をくれた | 三枝夕夏 | 大野愛果 | 小澤正澄 | 11thシングル 最高24位 売上1.1万枚 |
2 | ジューンブライド〜あなたしか見えない〜 | 三枝夕夏 | 徳永暁人 | 徳永暁人 | 12thシングル 最高12位 売上2.2万枚 |
3 | 君の愛に包まれて痛い | 三枝夕夏 | 水野幹子 | 古井弘人 | 13thシングル 最高20位 売上0.8万枚 |
4 | 愛のワナ | 三枝夕夏・ 水野幹子 |
水野幹子 | 古井弘人 | 14thシングル 最高36位 売上0.5万枚 |
5 | 夏のフォトグラフ | 三枝夕夏 | 三枝夕夏 | 古井弘人 | |
6 | 君の中に僕の居場所を探したい | 三枝夕夏 | 三枝夕夏 | 葉山たけし | |
7 | もう自分が自分に嘘をつかないように | 三枝夕夏 | 三枝夕夏 | 小澤正澄 | 14thシングルC/W |
8 | 明日に降る夢よ | 三枝夕夏 | 寺尾広 | 小澤正澄 | |
9 | 100もの扉 [Song by 愛内里菜&三枝夕夏 (コーラス:スパークリング☆ポイント)] |
愛内里菜& 三枝夕夏 |
大野克夫 | 古井弘人 | 愛内里菜&三枝夕夏 1stコラボシングル 最高8位 売上3.0万枚 |
10 | 空飛ぶあの白い雲のように | 三枝夕夏 | 大野愛果 | 葉山たけし | 岩田さゆりへ歌詞提供 セルフカバー |
11 | Everybody Jump | 三枝夕夏 | 岩井勇一郎 | 古井弘人 | 16thシングル 最高40位 売上0.6万枚 |
12 | Fall in Love | 三枝夕夏 | 三枝夕夏 | 古井弘人 | 15thシングル 最高32位 売上0.5万枚 |
13 | 愛言葉 | 三枝夕夏 | 三枝夕夏 | 古井弘人 | |
14 | Honey | 三枝夕夏 | 三枝夕夏 | 葉山たけし |
リリースデータ
2006年9月20日 | 初登場19位 | 売上1.9万枚 | Produced by 長戸大幸 | GIZA studio |
メンバー
Vocal&Chorus | 三枝夕夏 |
Guitar&Chorus | 岩井勇一郎 |
Bass&Manipulator | 大藪拓 |
Drums | 車谷啓介 |
三枝夕夏 IN db3rdアルバム。前作から1年10ヶ月ぶり。17thシングル『太陽』と同時発売。「太陽」は未収録で前作以降の6シングルとC/Wから1曲、愛内里菜&三枝夕夏としてリリースしたコラボシングル「100もの扉」を収録。16thシングルC/Wには葉山たけしアレンジによる「100もの扉〜U-ka Solo Version〜」としてソロバージョンも制作されていたが今作には愛内里菜&三枝夕夏によるシングルバージョンで収録された。愛内里菜やスパークリング☆ポイントの表記はあるもののブックレットの「100もの扉」歌詞掲載部分の写真は三枝夕夏単独でレコーディングでマイクの前にいるような写真のみとなっている。岩田さゆりへ歌詞提供した「空飛ぶあの白い雲のように」セルフカバーも収録。コナンタイアップとなった「ジューンブライド〜あなたしか見えない〜」こそ前作までと同等の売上を記録、「100もの扉」はトップ10ヒットとなったものの、それ以降は出すたびに一気に順位を下げ、トップ20どころか「Everybody Jump」では40位まで沈みこんだ。一方で今作は順位は前作より上昇して1stと同じ19位でこの時点での最高位タイ、売上は前作2.1万枚から少し下げたもののコナンタイアップのシングル以外は大きく上回った。
初回盤はインストアライブ映像や「Fall
in Love」「Everybody Jump」MVを収録したDVD「SPECIAL
MOVIE LIVE EVENT COLLECTOR'S EDITION & PROMOTION VIDEO SELECT
2」が付属する。前2作を踏襲したスリーブケース&別冊ブックレット仕様になっているが、今回はフォトブックではなく別冊が歌詞ブックレットになっていて、CD側のブックレットはペラ1枚で楽曲解説が記載されている。
また初回盤が追加プレスされており、追加プレス盤ではスリーブケースの写真が表裏ひっくり返した仕様に変更された(下記ジャケ写は裏ジャケとなり曲目の掲載があるため写真のサイズは半分になっている。裏ジャケは元々半分だったため表になってもサイズはそのままで左右を真っ白にして右側にバンド名とバンドメンバーの表記を載せる形になっている)。
前年頃より各アーティストのプロデュースクレジットで94年以降消えていたDAIKOH NAGATO表記が徐々に復活しつつあり、三枝夕夏 IN dbでも今作よりKANONJI名義ではなく長戸大幸名義でしれっとクレジットされた。当時は本当にしれっとしていて同一人物であるかの言及も無かったが現在はKANONJIやらROCKAKUやらといったGIZA以降の変名プロデューサーは全て長戸大幸であったことが公然の事実となっている。
ライブ…というよりは販促イベントライブが多かったようだが、いずれにせよ4人組バンドとして前作以上にライブ感を意識して制作されたようでバンドっぽい勢いのある曲が多い。ややパンキッシュな方向性も見せているが、アップテンポなロックナンバーが中心になっていてバンド感も増した。といってもこれまでがあからさまに打ち込みデジロックっぽかっただけで、今作でも機械的な小さな音でまとめられていてバンドっぽさが薄い部分も目立つが、それでも特にアルバム新曲ではようやくまともにバンドっぽくなった感はある(シングル曲でのドラムのしょぼさに比べればアルバム曲の方がまだドラムっぽい音で鳴っている)。あまりドラムがどっしり鳴るとボーカルが埋もれてしまいそうなのであくまで三枝夕夏を中心に置いたサウンド作りをするとある程度軽めにまとめる必要もあったのだろうか。
また今作では三枝夕夏の作曲が大幅増加、ノリノリで作曲しまくっている。岩井勇一郎もついにA面起用され、徐々にメンバー作へ移行しようとしていたのかもしれない。少なくとも4人の結束は初期に比べてだいぶ深まってきて、自分たち主導でこうしていきたいというビジョンも見えてきていたはずで、三枝夕夏中心という(たぶんプロデューワークの)大前提からまずは三枝夕夏の作曲を増やすというところからお許しが出て徐々に…という感じだったんじゃないかと思う。大野愛果の曲の方が耳に残りやすい…というのはあるけどそれでも自作もシングルらしいキャッチーさはどの曲にもあってそんなにこぞって一斉に目の敵にして叩くほどに質が悪いなんて事は無く、むしろ作曲経験(たぶん)ゼロから周囲も盛り立てて相応に努力していい曲を書き上げられるようになっているように思う。ただその独特の感性、個性的なアイドルノリもより強くなってしまい、ますますヘイトを集めてしまったというのもまた納得できてしまうところもある。
「愛言葉」でも取り上げられるデシデシコールは売れないアイドルノリが正直キツイし、「Honey」のハニー過ぎる歌詞にしても苦笑いになってしまうなどイケイケ過ぎて寒いノリは随所で見られる。しかし確実にオンリーワンの極みには達しており、苦笑いしつつ生暖かい目で見てキャッチーなノリを楽しめれば今作は良いアルバムではある。というか結果的に次回作が引退作となりシングルリリース途中でパッタリ作曲を辞めてしまい明らかにそれまでの自由にノリノリで突き進んでいた様子から一変してしまうので、三枝夕夏が目指したやりたい方向性を最も自由にやれた作品としては今作が頂点に位置するんじゃないかと思う。前作時の猛プッシュに反感を抱いていた当時のGIZAコミュニティ界隈には火に油ドッバドバになった1作ではあったが、三枝ワールド極まった1作として、三枝夕夏 IN dbの歴史に渾然と輝く最高傑作でもあったのではないかと思う。
印象度★★★★☆
2022.9.28更新