魚図鑑(期間限定生産盤)

キーボードアレンジ(1,6,14):冨田謙

キーボードアレンジ(3)、ストリングスアレンジ(17):冨田謙

リリースデータ

メンバー

サカナクション、初のベストアルバム。全種限定盤。C/W&リミックスコレクションアルバム『懐かしい月は新しい月〜Coupling & Remix works〜』から2年7ヶ月ぶり。ここまでのシングル12作、アルバム6作から図鑑をテーマにして浅瀬、中層、深海の3段階で選曲されている(「深海」はBOXのみ)。2013年の6thアルバム『sakanaction』以降は2014年にシングル2枚、2015年と2016年はシングル1枚ずつ、2017年はリリース無しとオリジナルアルバムが長く途絶えている状況となっていたが、今作には6thアルバム『sakanaction』収録範囲の8thまでのシングルは全て収録されたが、以降リリースされていた4シングルからアルバム初収録となったのは「新宝島」のみとなっている(「グッドバイ」の別バージョンは「深海」に収録）。「新宝島」含めて『sakanaction』以降のシングルは全て2019年の次のオリジナルアルバム『834.194』に収録された。

完全生産限定盤プレミアムBOXは2CD+更に15曲を選曲した『DISC-3 深海』が付属するCD3枚組仕様、大魚図鑑付属。トールサイズ仕様に加えてBOX仕様。
初回生産限定盤2種は2CD+これまでのライブ映像作品からベスト選曲されたBlu-rayもしくはDVD『"SAKANAQUARIUM ARCHIVE"』、魚図鑑付属。トールサイズ仕様。
期間限定生産盤は2CD+魚図鑑付属。トールサイズ仕様。
完全・初回(BD/DVD)・期間の4種全てが限定盤となっていて通常盤の発売は無い。「魚図鑑」「大魚図鑑」は歌詞ブックレットを兼ねていて図鑑を模した1曲ごとの楽曲解説(考察)が記載された冊子となっている。6thアルバム『sakanaction』に続く2作目の1位を獲得したが、『sakanaction』の売上は下回り自身2番ヒット作となった。

また全種限定とはされていたものの、実際には完全生産限定盤プレミアムBOXのみが発売前から品切れとなったのみで、初回盤はBD/DVD共にしばらくの間は売り切れにはならず、期間生産限定盤も特に期間が終了した様子もなく1年以上売られ続けていて4〜5年経過してようやく新品の入手が不可能になる程度だったのでBOX以外はかなり余裕のある生産体制だった模様。

2013年にNHK紅白に出た際もPCの前に5人横並びという異様なスタイルでインパクトを残したが、バンドの枠組みを越えた自由なサウンドを鳴らしている個性派のヘンテコな人たちという印象があった。シングルのいくつかは知らないうちに耳に残っていて、「浅瀬」でそのすべてを聞く事ができるが、シングルに関してはバンド側も独自性だけでなくキャッチーなシングルヒット曲然とした佇まいをかなり意識しているような1発で耳に残ってくる曲が多い。バッハの旋律とかアインデテティーがなぁぁぁぁとか何を言っているのか良く分からないんだけどとてつもなく印象に残るし、「新宝島」や「アイデンティティ」なんかは紛れも無く代表曲だと思うし、時代もあってヒットといえるほどの数字はそんなに出ていないとはいえ外れの無いシングルヒットチューンが一気に聞けるだけでも今作は素晴らしいと思う。しかしそれ以外の曲はどうにも掴みどころが無い感じでもう1つ良さが見いだせなかった。アルバム曲が増える「浅瀬」後半で既にそんなとっつきにくさを感じてしまったので、C/Wとアルバム曲しかない「中層」になるともう全部掴みどころが無い…という印象しか残らず、ちょっときつかった。「中層」レベルで既にかなりコアだと思うんだけど、まだこの先に「深海」があるとなると、ちょっともうこれ以上は手が出せないかなと…。

趣向が凝らされた丁寧なベスト盤…ではあるんだけど凝りすぎてとっつきにくくなってしまったという若干本末転倒気味なベストアルバムに感じられた。元々敷居が高いというか凄く意識高そうなイメージがあったんだけど、そういう意味ではイメージ通りだったかもしれない。せめて「浅瀬」だけの通常盤があればシンプルで分かりやすく、続けてオリジナルも聞いてみようと思えたんだけど、ベスト盤がこのような仕様しかないとちょっと構えてしまうし、一撃完結になってしまった。

完全生産限定プレミアムBOX　　　初回盤Blu-ray付　　初回盤DVD付　　期間生産限定盤

印象度★★★☆☆

2019.8.30更新

戻る