THE SUN
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 備考 |
1 | 月夜を往け | 佐野元春 | 佐野元春 | 41stシングル 最高58位 売上0.4万枚 |
2 | 最後の1ピース | 佐野元春 | 佐野元春 | |
3 | 恵みの雨 | 佐野元春 | 佐野元春 | |
4 | 希望 | 佐野元春 | 佐野元春 | |
5 | 地図のない旅 | 佐野元春 | 佐野元春 | |
6 | 観覧車の夜 | 佐野元春 | 佐野元春 | |
7 | 恋しいわが家 | 佐野元春 | 佐野元春 | |
8 | 君の魂 大事な魂 | 佐野元春 | 佐野元春 | 40thシングル 最高37位 売上0.6万枚 |
9 | 明日を生きよう | 佐野元春 | 佐野元春 | |
10 | レイナ | 佐野元春 | 佐野元春 | |
11 | 遠い声 | 佐野元春 | 佐野元春 | |
12 | DIG | 佐野元春 | 佐野元春 | |
13 | 国のための準備 | 佐野元春 | 佐野元春 | |
14 | 太陽 | 佐野元春 | 佐野元春 |
Strings &Chorus Arrangement:井上鑑&Moto'lion'Sano(1)
Band arrangement:高橋ゲタ男(6)
Horn arrangement:北原雅彦&Moto'lion'Sano(8)
Strings Arrangement:井上鑑&Moto'lion'Sano(10)、山本拓夫&Moto'lion'Sano(14)
リリースデータ
2004年7月21日 2022年12月21日(Blu-spec CD2) |
初登場13位 | 売上3.4万枚 | Produced by Moto'Lion'Sano for Daizy Music | Daisy Music(ユニバーサル) Daisy Music(ソニー) |
The Hobo King Bandメンバー
Vocal,Guitar,Wurlitzer&Percussion | 佐野元春 |
Drums,Percussion&Background Vocal | 古田たかし |
Bass,Percussion&Background Vocal | 井上富雄 |
Guitars,Mandolin,Banjo,Percussion&Background Vocal | 佐橋佳幸 |
Piano,Hammond,Wurlitzer,Guitars,Mandolin,Percussion&Background Vocal | Dr.Kyon |
Saxphone,Flute&Background Vocal | 山本拓夫 |
佐野元春13thアルバム。佐野元春 and THE HOBO KING BAND名義。ベスト盤やライブ盤を経て5年ぶりのオリジナルアルバム。前作以降03、04年にEPICで発売されていたシングル2作を収録。この2作はソニーのコピーコントロールCDだったレーベルゲートCD、レーベルゲートCD2で発売されていたが、CCCD採用を巡ってEPICと対立し(※)結果的に独立。今作は発売延期をしながら最終的に自主レーベルDaisy Musicを立ち上げて流通はユニバーサルに委託する形で発売された。初回盤は初のDVD付で「ザ・サン・レコーディング・セッション」を収録。
前作にも参加はしていたがソロ名義だったのでTHE HOBO KING BANDでは『THE BARN』に続く作品となったが、ドラムの小田原豊が00年のREBECCA再結成と同時期に離脱、代わってTHE HEARTLAND時代のドラマー古田たかしがドラマーとなった。またキーボードの西本明が離脱、代わりは入れずに新たにサックスの山本拓夫がメンバー入りした。また「観覧車の夜」のみ佐橋佳幸以外は別のバンドメンバーが演奏していて厳密にはThe Hobo King Bandではない。次回作『COYOTE』では別のバンドメンバーで制作し、やがてTHE COYOTE BANDと命名されたが、The Hobo King Bandは解散したわけではなく、ライブツアーはThe Hobo King BandだがアルバムはTHE COYOTE BANDだったり、ライブもTHE COYOTE BANDだったりと状況によって両バンドを使い分けるような形へと変わった。このためオリジナルアルバムとしてはThe Hobo King Bandで制作されたのは『THE BARN』と今作の2作のみとなっている。2018年のセルフカバーアルバム『自由の岸辺』では久々にアルバム1作をThe Hobo King Bandで演奏している。
今作以降もEPICからは旧作のデラックス盤やBOX、リマスター盤、ベスト盤の発売などが本人公認で続く事となり、2021年にはDaisy Musicの委託先がユニバーサルからソニーへ移動する事が発表された。これに伴い今作以降の全作品が一時廃盤となったが、2022年12月に今作以降のアルバムの通常盤がBlu-spec CD2仕様でソニーから再発された。今作のみTed Jensenリマスターでの再発。
※ソニーは03年にシングルのみにレーベルゲートCDを採用、04年にレーベルゲートCD2に進化させてアルバムへの採用も開始していた。03年12月の「君の魂 大事な魂」がレーベルゲートCDとなった際には佐野元春や公式の説明や意思表明は特になく沈黙していたがファンの間ではCCCD悪評が広がっていたため賛否を招いていたようだ。04年2月に発売された『Visitors 20th Anniversary Edition』はレーベルゲートCD2採用対象だったが1週間発売延期して通常CDで発売すると発表。一方で春発売予定のニューアルバム(今作)の先行シングル「月夜を往け」は3月から5月に発売を延期、これに伴い春発売予定のアルバムも延期が確定。結局シングル「月夜を往け」はレーベルゲートCD2で発売。この頃の本人のコメントでは"僕のCDにはわけのわからない暗号が埋め込まれてしまった"と間接的に初めてCCCDへの言及をしていた。一方で4月に発売される予定だったライブ盤『in motion 2003- 増幅』へのCCCD採用を巡っては激しい攻防となり、結局このアルバムはCCCD回避のために公式通販やライブ会場限定での販売となった。同時にEPIC離脱、独立を発表した。
佐野元春の独立はCCCD問題が理由なのはほぼ明白で当時のCCCD反対界隈でも大きく取り上げられたが、本人や公式は正式にはCCCDへの態度を表明しておらず、当時の雑誌でのインタビューでも1度は否定している。しかし今作発売から2ヶ月で事態は一変してエイベックス内紛による社長交代劇でCCCDを先導していたエイベックスが弾力化(事実上CCCD撤退)を発表、梯子を外された各社もあっさり追従し、ソニーもレーベルゲートCD2終了を発表。2007年のブロガーミーティングにて佐野元春本人がEPICからの独立はCCCDが原因だったと初めて認める発言をした。現在は先のソニーとの再契約発表説明にもあるようにCCCD問題が離脱の原因だったと明言されている。
というわけで今作はシングル2作はEPICで発売されている事や今作までがThe Hobo King Bandによる制作となる(解散はしていないが次作からは別メンバーを招いてやがてTHE COYOTE BANDでの新作制作がメインとなる)ためか、EPIC発売の2021年のBOX『MOTOHARU SANO THE COMPLETE ALBUM COLLECTION 1980-2004』には今作までが収録された。Ted Jensenによるリマスターが施され、これが初リマスターとなる。今回聞いたのは2021年BOX盤。
発売直後の8月17日には「最後の1ピース」「恵みの雨」「観覧車の夜」のcomplete version) 、「光」(final version)、「タンポポを摘んで」(unreleased track)、「光」(instrumental version)を収録したミニアルバム『THE SUN STUDIO EDITION』がiTunes限定配信され、12月7日にCDでも発売された。また05年には今作を引っ提げてのツアーを収録したライブ盤『THE SUN LIVE AT NHK HALL』も発売され、今作関連作の発売が続いた。これらはBOXには未収録。
ガッツリThe Hobo King Bandで制作されたのは『THE BARN』以来ではあるが結果的にオリジナルアルバムをThe Hobo King Bandでガッチリ制作したのもこれが最後、実質的にソニー所属で制作していたという意味でも1つの区切りになったアルバム。今作よりアルバムのリリースペースも数年以上開いていく大御所スタイルとなったが、今作も全体にベテランらしい貫禄の良作といった印象。1曲単位で強い曲はそんなにないものの、トータルでは程よくまとまった生音中心のロックバンド的なアルバムでここまで聞いてきて待っていたリスナーなら概ね満足といったような佇まい。CCCD問題という作品と関係ないところで注目されるアルバムにもなったが、独立してやっていくというスタイルやいち早く配信に着手するなど新しい地平を切り開いていくところも含めて区切りであり始まりでもあったのかなと。
現行盤(通常盤Blu-spec CD2) 初回盤DVD付 通常盤
印象度★★★★☆
2022.2.14更新