VISITORS
No | タイトル | 作詩 | 作曲 | 編曲 | 備考 |
1 | COMPLICATION SHAKEDOWN | 佐野元春 | 佐野元春 | 佐野元春 | 12thシングル(カット) 最高86位 売上0.5万枚 12インチ盤 最高42位 売上1.7万枚 |
2 | TONIGHT | 佐野元春 | 佐野元春 | 佐野元春 | 11thシングル 最高32位 売上3.9万枚 12インチ盤 最高23位 売上4.9万枚 |
3 | WILD ON THE STREET | 佐野元春 | 佐野元春 | 佐野元春 | 12thシングルC/W(カット) |
4 | SUNDAY MORNING BLUE | 佐野元春 | 佐野元春 | 佐野元春 | 13thシングルC/W(カット) |
5 | VISITORS | 佐野元春 | 佐野元春 | 佐野元春 | 13thシングル(カット) 100位圏外 |
6 | SHAME-君を汚したのは誰 | 佐野元春 | 佐野元春 | 佐野元春 | 11thシングルC/W |
7 | COME SHINING | 佐野元春 | 佐野元春 | 佐野元春 | 14thシングルC/W(カット) |
8 | NEW AGE | 佐野元春 | 佐野元春 | 佐野元春 | 14thシングル(カット) 100位圏外 |
Brass Arranged by Frank Doyle And Moto Lyon(2,3,5,7)
リリースデータ
1984年5月21日(LP) 1982年5月21日(CT) 1984年5月21日(CD) 1989年6月1日(CD) 1992年9月1日(リマスターCD) 2004年2月25日(20th Anniversary Edition) 2005年12月21日(紙ジャケリマスター) 2013年2月20日(Blue-spec CD 2) 2014年10月29日(DELUXE EDITION) 2019年8月21日(限定LP) |
最高1位 最高2位 100位圏外 100位圏外 100位圏外 初登場34位 300位圏外 300位圏外 初登場16位 - |
売上21.0万枚 売上9.4万枚 - - - 売上1.1万枚 - - 売上0.6万枚 - |
Produced by 佐野元春(a.k.a. Moto Lyon) Co-Produced by Frank Doyle,John "Tokes" Potoker |
EPIC EPIC EPIC EPIC EPIC EPIC Sony Music Direct Sony Music Direct Sony Music Direct GREAT TRACKS |
佐野元春4thアルバム。ベスト盤『No Damage』から1年1ヶ月、オリジナルアルバムとしては2年ぶり。『No Damage』発売と前後してNYへ1年ほど滞在してその間は活動休止状態でリリースも無かったが、1ヶ月前にシングル「TONIGHT」を発売して活動を再開。先行シングル「TONIGHT」、C/W「SHAME-君を汚したのは誰」を収録、その後3作連続でシングルカットされ(一部ショートサイズにするなど編集された)、C/W含めて結果的に8曲全てがシングルとなった。「TONIGHT」と「COMPLICATION SHAKEDOWN」はクラブ・ダンス系のリミックスを施した12インチシングルとしても発売された。92年の再発盤にはRE-MASTERED:MISTUKAZU TANAKAの記載があり、帯にもRe-Masterdedとリマスターがアピールされていた。05年に紙ジャケリマスター仕様で発売され、2013年には05年リマスター音源を使用したBlu-spec CD2で再発され、単独発売では2013年Blue-spec CD 2盤が現行盤。2019年にはアナログ盤として復刻された。
ほぼ1年活動が無かったが待望の新作だったためか『No Damage』に続いて1位を獲得して自身2番ヒット、オリジナルアルバムとして最大のヒット作となった。
記念盤としては2作目となる2004年に発売された『VISITORS 20th. Anniversary Edition』はDISC-1はリマスター+12インチシングル収録のリミックスバージョン3曲の初CD化、DISC-2はライブ映像やビデオクリップを収録したDVDの2枚組。04年からソニーレーベルがアルバムにもレーベルゲートCD2を採用する方針を取っていたため当初レーベルゲートCD2での発売が告知されていたが、既にCD化されている音源がほとんどであるため通常CDでの発売に変更すると告知、これにより発売が1週間延期となった。
2014年にはさらに記念盤としては6作目となる『VISITORS DELUXE EDITION』としても発売。DISC-1はアルバム本編8曲、DISC-2は12インチシングルやシングルカットされた際に変更されたシングルバージョン音源、アウトテイクの未発表曲を収録した『7 & 12INCHS AND OTHERS』、DISC-3は1985年5月28日,29日に東京品川プリンスホテル・アイスアリーナで行われた「VISITORS TOUR」の模様を収録したライブCD『LIVE 'VISITORS'』、当時の制作ドキュメントやライブドキュメントを収録したDVD『VISITORS REVISITED - Documentary Now and Then』の3CD+DVD仕様。記念盤が2回発売されたのは今作のみとなる。
2021年のBOX『MOTOHARU SANO THE COMPLETE ALBUM COLLECTION 1980-2004』ではTed Jensenによるリマスターが施され、これが最新リマスターとなる。『VISITORS DELUXE EDITION』のDISC-3『LIVE 'VISITORS'』もDISC-15に収録されている。
1年間のニューヨークでの生活を経て現地のミュージシャンと制作(一部楽曲のドラムにオマー・ハキムが参加するなど有名人もいるが人選はネームバリュー重視ではない模様)した今作はニューヨークで感じたもの、得たものがそのままストレートに反映された異色の1作となった。これまでとは方向性が異なるが今後の方向性を示唆しているわけでもなく、今作は佐野元春のアルバムの中でも似た方向性の作品が全くないという独立した方向性になっていると思う。それは良くも悪くもNY生活が反映されすぎているためと思われるが、ファンクやヒップホップ路線でいきなり耳慣れないラップが飛び出す衝撃は当時は計り知れないものとがあったと思われる。今作は日本で初めて本格的にラップを導入したアルバムとも言われる。この初の日本語ラップという冠は概ね吉幾三の「俺ら東京さ行ぐだ」と「COMPLICATION SHAKEDOWN」が例に出されることが多いが、現在の知名度では「俺ら東京さ行ぐだ」の方が曲単体ではネタ的にも有名かもしれない。ただ発売は同じ84年だが、今作は5月、「COMPLICATION SHAKEDOWN」シングルカットは6月、「俺ら東京さ行ぐだ」は11月なので佐野元春の方が若干早い。またヒップホップ、ラップを導入したとはいえ方向性はだいぶ違うので一緒に扱われるのも何か雑な気もしなくもない。
いずれによラップの衝撃が強い今作だが全編に渡ってラップをしたり、HIP HOPやファンクで貫いているわけではない。先行シングルとなった「TONIGHT」は普通にNY生活を経て洗練された新たな佐野元春といった感じで割とすんなり聞ける。歌詞はNYを舞台にしたものが目立ちだいぶ変わった感じではあるけど、曲自体は全てが衝撃的というほどではない。それでもラップイメージが強いのは「COMPLICATION SHAKEDOWN」「COME SHINING」「NEW AGE」とラップ曲のインパクトが強い上に最初と最後を締めているためだろう。
賛否というよりも戸惑いが大きかったであろう今作だが不思議な魅力は確かにあり、今聞いても刺激的な1作ではあると思う。前作『SOMEDAY]』の20周年で出したコレクターズエディションを機に名称は異なるがリマスターとレア音源、映像などをつけてのデラックスエディション周年発売は恒例となったが、20周年と30周年で2度も出し直したのは今作が唯一である事からも佐野元春の歴史の中でも最高傑作とは別の角度で最重要作であるのは間違いない。
92年盤 04年20th Anniversary Edition 05年紙ジャケリマスター盤
2013年Blu-spec CD2盤 2014年DELUXE EDITION
印象度★★★★☆
2021.9.16更新