COLOR
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 備考 |
1 | 冒険者 | 今井千尋 | 今井千尋 | |
2 | 面影ポーズ | 今井千尋 | 今井千尋 | 会場&FC限定『バンドワゴン』収録曲 |
3 | 渡り鳥 | 今井千尋 | 今井千尋 | |
4 | RGB〜InstrumentalT〜 | 伊藤大介 | ギターインスト | |
5 | 一番星 | 今井千尋 | 今井千尋 | |
6 | まだまだ僕には | 今井千尋 | 今井千尋 | 今井千尋リードボーカル |
7 | セルリアン ブルー〜InstrumentalU〜 | 伊藤大介 | ギターインスト | |
8 | ヒラメケヒラメキ | 今井千尋 | 今井千尋 | |
9 | バンドワゴン | 今井千尋 | 今井千尋 | 会場&FC限定『バンドワゴン』収録曲 |
10 | くちぶえ | 大久保伸隆 | 広沢タダシ |
リリースデータ
2005年11月30日 | 初登場84位 | 売上0.2万枚 | Produced by Something ELse Co-Produced by 深沼元昭 Co-Sound Produced by Something ELse(2,4,9) |
OMAGATOKI RECORDS |
メンバー
Lead Vocal&A.Guitar | 大久保伸隆 |
Vocal&A.Guitar | 伊藤大介 |
Vocal&E.Bass | 今井千尋 |
Something ELse7thアルバム。"2年振りとなる待望の7thアルバム"と帯に記載されているが、前オリジナルである『風見鶏』からは2年半ぶり6作目、今作を7thとする場合は前年のカバーアルバム『夏唄』を6thにカウントする必要がある。カバーアルバム『夏唄』を最後に東芝EMIとの契約を終了(ドキュメントDVD『夏華』は勝手に出されたため当時の公式のディスコグラフィーには非掲載)、事務所アップフロントからも独立して自社パラレルワールドを設立して独立、新星堂によるインディーズのOMAGATOKI RECORDSへ移籍しての作品。05年6月にはライブ会場&ファンクラブ限定での4曲入りCD『バンドワゴン』をリリースしていた。今作には4曲のうち「面影ポーズ」はそのまま収録、Studio Liveバージョンだった「バンドワゴン」は表記が外れての(リミックス?)収録となっている。
独立後は『バンドワゴン』を引っ提げての東名坂ツアーに続いて今作リリース後にもカウントダウンライブを行うなど精力的な活動をしていたが06年に突入後は雲行きが怪しくなり活動は停滞していく。そして06年8月に解散を発表、10月にラストツアーを行ってデビュー10周年を目前にして解散した。解散コメントはメンバー3人それぞれ発表されたものの明確な理由は明示されていなかった。しかし大久保は1人強く続けたかった旨を綴っていて、伊藤・今井の両名とやや温度差があった。
解散後は大久保はソロ、伊藤・今井は2人でプロデュースユニットranaiを組んで活動してわざわざライブの日を被せるなど分裂を思わせる状態での活動となっていた。ranaiの活動はいつの間にか頓挫しており、伊藤は程なくして消息不明の引退状態となった。今井は古巣アップフロントへの曲提供を細々続けていたがやがてレコード会社のディレクターに就職した模様。大久保との交流は2016年の20周年を前にして大久保から連絡を取ったことで復活し、大久保のソロ曲に今井が曲提供して参加する事も実現したが大久保のソロ活動の状況も厳しく、これらの曲が音源化されたのは2021年にようやく久々のソロアルバムをリリースできた時だった。
『バンドワゴン』の時は「面影ポーズ」のみドラム、「バンドワゴン」含む残り3曲でパーカッションのサポートを入れていたが、今作の新曲では3人+エレキギターの深沼元昭の4人編成でそれ以外のクレジットは無い。伊藤が手掛けたインスト2曲では、伊藤のギターを主旋律に伊藤がギターを重ねて今井のベースが支える演奏になっていて大久保の参加は無い。クレジットにないドラムやキーボードなどプログラミング(打ち込み)は深沼元昭が手掛けているものと思われ、演奏体制は正直かなり省エネ気味。
ただ『Y』も『風見鶏』もリード曲やシングルだけ勢いがあって残りは地味なミディアム〜バラード中心となっていたのに対して今作はアップテンポ中心で『ギターマン』頃の明るさとキャッチーさが戻ってきている。独立してここから心機一転やっていくぞという気合が明らかにみなぎっていてその事を思わせるような前向きさが前面に出ていて目の覚めるような傑作が誕生した。もちろん『ギターマン』路線に単に戻ったわけではなく、3人のサウンドを確立させたサブアーバン路線の『Y』『風見鶏』で得てきたものも生かされていてちゃんと『ギターマン』の進化系になっている。せめて固定のサポートドラマーくらいまでは呼べていればな…とは思うが、打ち込みドラムも極端に軽かったり悪目立ちして安っぽくは聞こえない。
作曲面でも今井がキレッキレでアルバム全体を最後まで息切れすることなくまとめ上げていて絶好調。近年安定の伊藤バラードという印象になりつつあった伊藤は今作では歌モノではなく自身のアコースティックギターのソロ演奏を生かしたインスト2曲を提供して新たな路線を開拓。DEPAPEPEみたいだというのはあるにしても、デビュー以来こだわってきた伊藤のアコースティックギターサウンドをインストとして楽しめるというのはなかなか面白く、この方向性をもっと磨き上げてアコースティックギターの名手として活躍する伊藤の姿も見たかったなと思う。
「バンドワゴン」は東芝EMIで頓挫したサブアーバンミュージックの全国に届けに行くという姿勢を改めてテーマソングにしたような楽曲で、まさにここからより身軽になって、より自分たちで責任を持って新たな活動を展開していく、今作はその始まりの前向きな1作、再デビュー作のような立ち位置になるはずだったのは確かだ。しかし直後には仲違いするかのような分裂解散となってしまったのは本当に残念だった。経営面での結束が3人になかったのか、今作も結果が出なかった事で大久保以外の2人の心が一気に折れて裏方志向になってしまったのか…。わざわざ独立してまで今作を制作した事や「まだまだ僕には」では今井自らボーカルまで取ってまだまだやりたい事ばかりだと意欲全開で歌っていたことからも今作の前向きさには嘘はなかったはず。終わるならEMIから切られた『夏唄』の時点で終わっていたはずだし、まだ終われない思いがあっての独立継続だったはず。またこの後さらにCD自体が売れなくなっていく中、契約切られて即解散ではなく、独立して細々でも活動を継続できるバンドも増えていっただけにもう少し踏ん張っていればある程度独立してどう採算立てていくかのやり方も見えてきていたかもしれない。タイミングも悪かった。
印象度★★★★★
2021.11.8修正