Do me a favor
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 |
1 | DISTANCE | Ryosuke Imai | Ryosuke Imai,Tasuku Maeda | |
2 | 未完成ガール | 岩里祐穂 | 井上慎二郎 | 井上慎二郎 |
3 | Good Night | NaNa★MUSiC | Dublekick,Glory Face, The Channels |
Glory Face |
4 | 光の方へ(鈴木愛理×赤い公園) | 津野米咲 | 津野米咲 | 津野米咲 |
5 | Be Your Love | Yoko Hiji | Ryuichiro Yamaki | Ryuichiro Yamaki |
6 | STORY(鈴木愛理×SCANDAL) | RINA | MAMI | MAMI |
7 | Moment | 栗原暁(Jazzin'park) | 久保田真悟&栗原暁(Jazzin'park) | |
8 | 君の好きなひと | 山崎あおい | 山崎あおい | 井上慎二郎 |
9 | たぶんね、 | ケリー | YASUSHI WATANABE | YASUSHI WATANABE |
10 | いいんじゃない | ケリー | 井上慎二郎 | 井上慎二郎 |
11 | perfect timing | AKIRA,鈴木愛理 | AKIRA,D&H | D&H |
12 | Candy Box | 岩里祐穂 | AKIRASTAR | AKIRASTAR |
13 | 私のそばで | 森村メラ, YASUSHI WATANABE |
YASUSHI WATANABE | YASUSHI WATANABE |
14 | #DMAF(鈴木愛理×SPICY CHOCOLATE) | 鈴木愛理 | DJ CONTROLER,WolfJunk | |
15 | start again | AKIRA | UTA,AKIRA | UTA |
リリースデータ
2018年6月6日 | 初登場6位 | 売上2.3万枚 | Zetima |
鈴木愛理1stアルバム。2017年6月の℃-ute解散以降、水面下で準備を進めて半年後の大晦日のハロプロのカウントダウンライブにゲスト出演して「未完成ガール」を披露後、18年1月にソロ活動の始動を発表。1stLIVEを3月26日〜4月1日までCOTTON CLUBで11公演、4月9,10日にZepp Tokyo、4月16日になんばHatchで行って今作収録の楽曲を披露。シングルなしで今作でソロデビューとなった。リリース後7月9日にはいきなり日本武道館で単独公演を行った。初回盤は「DISTANCE」「start again」のMVとCOTTON CLUB、Zepp Tokyoでのライブ映像やメイキングを収録したDVD付。℃-ute、Buono!共にアルバム売上は1万程度にとどまることが多かったが、今作はいきなり両者の売上を上回った。
赤い公園、SCANDALは曲提供だけでなくメンバーがそのまま演奏している。SCANDALの場合はメインボーカルのHARUNAがコーラスを入れている形だが、赤い公園はボーカル脱退後で新ボーカル加入前(厳密には発売1ヶ月前に新ボーカル加入を発表)のため3人での参加。
℃-uteのデビューは06年(結成05年)だが、ハロプロキッズに合格したのが02年、03年には田中れいな、夏焼雅と共に「あぁ!」としてデビュー(シングル1枚しか出なかったけど…)しているため、今作リリースに当たっては"15年目の新人"という唯一無二のキャッチコピーがつけられた。いずれにせよアイドルとしての15年に及ぶ経験は伊達ではなく、元々グループでエース格の歌唱メンバーだった事に加え、さらに鈴木愛理の場合、元ハロプロ勢の中でも特異な経験を得ているのは最大の強みだと思う。というのも同時代のハロプロメンバーの大半はつんくの歌唱指導を受けてつんくの曲を歌うわけだけど、逆に言えばつんくの曲しかほとんど歌えなかった。しかしBuono!では一時期つんく曲もあったが基本外部作家による楽曲だったので10代半ばという早い時期からつんく以外の楽曲を歌う機会が得られていた。加えてBuono!はロック路線だったため、基本オケをバックにダンスしながら歌うダンスグループとは全く異なる生バンドをバックに歌うバンド経験も積めた。この経験を経てバックバンドDolce!のメンバーの指導でギター演奏も習得してある程度は弾けるようになっているようだ。
要するにBuono!の活動があった事で、他の多くの同時代のハロプロメンバーがほとんど経験できなかったつんくの指導下におけるつんくの曲以外をたくさん歌う事、生バンド演奏で歌う経験を経ての15年目の新人。これは強い。スタッフの信頼も異常に厚かったようで、℃-uteで培ったダンス、Buono!で培ったバンドの両方を取るという本人の選択も余裕で後押しして、今作のようなハイブリッドなアルバムを作り上げてしまった。ハロプロ20年の歴史でグループからソロになってここまで気合が入っているかつ本人も制作に深く関与して本人の意向をちゃんと汲んだ活動の場を与えたというのは例が無いんじゃないだろうか。田中れいななんかはいきなり経験のないバンドを組ませようとした挙句にギターしかいないツインボーカルという謎編成になっちゃったし
そんなわけで今作はエレクトロリックなダンスサイド、Buono!の制作陣やガールズバンドがそのまま完パケ曲提供・演奏したコラボ含んだバンドサイドの2軸をほぼ交互に聞かせていく構成(奇数がダンス、偶数がバンドだが、バンドサイドの後半一部の曲はドラムも打ち込みでダンスでもバンドでもない感じの曲もある)。1曲ごとに電子音多用のダンスナンバー、生音のバンド演奏と切り替わっていくというなかなか例を見ない構成に加えて、ダンス、バンドといってもアプローチも様々。ダンスの方はどうにもこうにも安室奈美恵っぽいと感じてしまうところが多く、特に最初と最後は安室フォロワー全開なので、こんな曲まで歌いこなせるようになっていたのかという驚きよりもこういった曲ですぐ浮かんでしまう安室が残した功績が改めてすげぇな…という印象の方が勝る。バンドの方はロックから歌謡曲っぽいものまで幅広く、かなり多種多様。まとまりはないが、これでやらされている感じは全く無く、そこは15年の経験が活きて全部モノにしている。それでいて℃-ute、Buono!それぞれの延長以上の新たな可能性も見せていて15年目の新人という言葉は確かにふさわしいと思う。
これだけの気合が次回作以降も続くのか、アップフロントにはその前例がないため全く不透明だがもし続くならこれは次も楽しみだ。例えば松浦亜弥の歌唱力の高さは一部リスナーの間では広く評価されているが、世間一般ではモノマネされまくったあのイメージが強すぎて覆すに至らない。鈴木愛理の場合、そもそも実力どころか名前自体が枠外では一切知られていないと思われ、15年目でもまだ世間にはイメージが無いはず。ハロプロの枠外まで名前が知れ渡るような事になればけっこう広く好かれる存在になれるんじゃないだろうか。
印象度★★★★☆
2018.8.31更新