Singer
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 備考 |
1 | Shinin'Girl〜遠くて近きはキミとの仲〜 | 田川伸治 | 田川伸治 | 田川伸治 | |
2 | Color of Life feat.前田航志 | 前田航志 | 田川伸治 | 田川伸治 | |
3 | LOVE IS… feat.清水まなぶ | 清水まなぶ | 田川伸治 | 田川伸治 | |
4 | Secret Story feat.豊 | 豊・田川伸治 | 田川伸治 | 田川伸治 | |
5 | この道の終わりに feat.K.MAY | 橋本佳明 | 田川伸治 | 田川伸治 | |
6 | 抱える全ては feat.柚 | 柚 | 田川伸治 | 田川伸治 | |
7 | 灰になって feat.水野マリナ | 水野マリナ | 田川伸治 | 田川伸治 | |
8 | Nothing to Lose<Instrumental> | 田川伸治 | 田川伸治 | ||
9 | 咲き誇れ Right Now! feat.蜥J竜星 | 蜥J竜星・ 田川伸治 |
田川伸治 | 田川伸治 | |
10 | スワロウテイル feat.山ア和也 | 山ア和也 | 田川伸治 | 田川伸治 | |
11 | ごはんのうた for Princess Hime Suite <Version covered by myself> |
田川伸治& プリ姫ママ |
田川伸治 | 田川伸治 | YouTuberプリンセス姫スイートTVへの提供曲 セルフカバー(田川伸治ボーカル) |
12 | Kickin'Back 〜昨日よりもっと輝けるように〜 feat.金岡優人 | 金岡優人 | 田川伸治 | 田川伸治 |
リリースデータ
2018年12月19日 | 初登場144位 | 売上0.06万枚 | Produced by 田川伸治 | BAUER RECORDS |
田川伸治3rdアルバム。THE SONIC TRICK含めて通算4作目のアルバム。2018年3月のDEEN脱退後ソロとしての最初の作品で、DEEN在籍時のTHE SONIC TRICK以来12年5ヵ月ぶり、田川伸治名義では14年8ヵ月ぶり。脱退後も事務所グッデイには残留しているため、発売元はグッデイが関与している品番が"DLCR"でお馴染みのインディーズレーベルとなっている。ギター主体のインスト作品だった前3作と異なり、今作は歌モノのアルバムとなっており、自身が発掘した9人のボーカリストを招いての9曲、自身が歌う2曲、インスト1曲で構成されている。「ごはんのうた」は家族でYouTuberとして活動している「プリンセス姫スイートTV」へ提供した楽曲のセルフカバー。
田川伸治脱退後のDEENはサポートメンバーも全員一新してライブ活動を行っていたが、DEENのサポートとして長年帯同していたベース宮野和也(98年以降)、ドラムHIDE(02年以降)は共に田川伸治に引き続き関与しているようで、脱退直後のソロライブに続き、今作でもベースとドラムを担当している。ただし1人オケ制作による打ち込みの曲も多いため、2人が参加しているのは3曲(2,3,7)+ドラムのみもう1曲(9)に留まっている。また2,3,4,7に参加しているストリングス隊は下川美帆を筆頭としたやはりDEENのストリングス演奏を長年担当しているメンバーとなっている。各ボーカリストは楽器演奏には関与せず全員がボーカルに徹している。田川伸治本人の演奏楽器はDEEN時代と変わらず、ギターに加えてパーカッション、プログラミングを担当している。
率直にDEEN辞めてやりたかった事がこれ…?と驚いた。ロックなギタリストではなく、歌モノという時点でちょっとあれ?とは思ったんだけど、今作は近年(大体2012年以降)のDEENにかなり作風が近い。バンドを入れない打ち込みの曲の感じはDEENが3人だけで制作した際のサウンドとほとんど同じだし、ギターソロ曲も近年のDEENでソロとして発表していたロックバンドではなく打ち込み主体のインストだし、バンド起用の曲はリズム隊をDEENから引き抜いた形になっていて、レコーディングにおいても06年以降は宮野・HIDE固定バンド体制+固定のストリングス陣だったため最早12年続いていたDEENの基本演奏陣から山根さんのキーボードを抜いただけの演奏である。
様々なボーカルを招いているものの、曲が思いのほか近年のDEENでやってそうな曲ばかりになってしまったため、改めて近年のDEENでの田川さんのサウンド面での貢献度の高さが浮き彫りになってしまった。在籍時のソロは自身のルーツであるロックを主体としてDEENとは切り離していたのに辞めたらDEENの延長になってしまうとは…。そして元々謎が残った脱退理由に関してもこういうボーカルアルバムを作られてしまうとそういう事なのか(ストレートなもうお前とはやってられねーよ的な理由)と思ってしまうところはある。
個人的には近年の池森さんのアンチエイジングなラブソングというパッパヤな感じの歌詞にまず1つの方向性の違いが出てきたのではないかと勝手に思っていたんだけど、今作では1曲目「Shinin'Girl〜遠くて近きはキミとの仲〜」からパッパヤな感じの歌詞を自ら書いてノリノリで歌唱。歌い出しが"キミの涙はボクがミストに変えて虹にするさBaby"である。スキャット風でも英語詞でもない曲をフル単独歌唱するだけでも驚きなのになんだこの若々しい歌詞は…。YouTuberのキッズに提供した「ごはんのうた」の方がさらに衝撃的な笑撃っぷりでのけぞる勢いだけど…。
各ボーカリストに関しては1人も知らなかったが、実際ちょっと知りようがないくらいに無名なシンガー、ほぼアマチュアに近い文字通り本当に発掘した新人も入り混じっているようだ。方向性は多彩だが誰もがしっかり歌えていて、歌うま素人的な感じはあまりない(もっと歌に厳しいリスナーだと評価は厳しいのかもしれないけど)。作詞はほぼ本人が手掛けている事もあって、田川伸治プロデュースの枠組みの中でもそれぞれのボーカリストとしての色はしっかり出してきているような印象。制作過程としては各ボーカリストに歌詞ではなく、箇条書きでも断片でも構わないのでそれぞれの"言葉"を求めたようだが、思いのほか歌詞として仕上がったものが上がってきたようで、修正を加えつつも(作詞が連名の曲は修正の度合いが大きいようだ)、そこに曲を書くというスタイルだったらしい。なのでアプローチとしてはいわゆる詩先という形に近く、これはDEEN時代の曲作りは逆となる(DEENでは曲が先にあってフェイクイングリッシュの仮歌詞から池森さんが歌詞を仕上げるスタイル)。
よって一応表面的にDEEN-山根・池森みたいな制作体制ではあるが、各シンガーの持つ色合いもそれなりに強いアルバムにはなっていると思う。ただそれを含めても思った以上にDEENに感じてしまったのはやはり近年のDEENにおける田川さんの比重が思っていた以上に高かったのが出たのかもしれない。ギタリストというよりプロデューサーな側面が出た1作として、歌モノを作ろうとした場合に肩書に関係なく田川伸治が今作るポップスはこういう事なんだなと。
印象度★★★☆☆
2018.12.27更新