TANPOPO 1
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 備考 |
1 | ラストキッス(single version) | つんく | つんく | 小西貴雄 | 1stシングル 最高2位 売上30.2万枚 |
2 | わかってないじゃない | つんく | つんく | 鈴木俊介 | 石黒彩メインボーカル |
3 | センチメンタル南向き | つんく | つんく | 河野伸 | 矢口真里メインボーカル |
4 | Motto(album mix) | つんく | つんく | 河野伸 | 2ndシングル 最高7位 売上8.6万枚 |
5 | 誕生日の朝 | つんく | つんく | 小西貴雄 | |
6 | 片想い | つんく | つんく | 鈴木俊介 | 飯田香織メインボーカル |
7 | ONE STEP | つんく | つんく | 小西貴雄 | |
8 | たんぽぽ | つんく | つんく | 小西貴雄 | 3rdシングル(カット) 最高7位 売上11.2万枚 |
9 | スキ | つんく | つんく | 小西貴雄 | |
10 | ラストキッス(album version) | つんく | つんく | 小西貴雄 | 1stシングル 別アレンジ |
リリースデータ
1999年3月31日 2019年4月1日(アナログ盤) |
初登場10位 | 売上8.9万枚 | Produced by つんく | Zetima |
メンバー
飯田香織 |
石黒彩 |
矢口真里 |
タンポポ1stアルバム。98年11月にモーニング娘。からの初のグループ内ユニットとして1期生の飯田香織、石黒彩と2期生の矢口真里で結成。シングル2作を収録。「ラストキッス」は1曲目にsingle version、ラストにストリングスアレンジによるalbum versionの2バージョン収録、「Motto」は間奏に歌詞を追加したalbum mixでの収録。「たんぽぽ」は6月にSingle Versionとしてシングルカットされた。「ラストキッス」は30万枚を越えるヒットを記録していたが、3月10日に発売された「Motto」では一気に10万割れ、今作もギリギリでのトップ10入り、「Motto」をかろうじて上回る程度となった。タワーレコードとのコラボによるハロプロアナログ化プロジェクト第1弾としてモーニング娘。『セカンド モーニング』『4th「いきまっしょい!」』と3作同時に2019年にアナログ盤として発売された。
6月の「たんぽぽ(Single Version)」の後は9月にモーニング娘。が「LOVEマシーン」で大ブレイクする中で10月に4thシングル「聖なる鐘がひびく夜」をリリースしたが石黒彩が12月にモーニング娘。脱退を発表(当時「卒業」という表現一般的ではなくこの前の福田明日香も翌年の市井紗耶香も普通に「脱退」と発表していたためメディアでも「卒業」と表現する事は無かったように記憶している。中澤裕子が脱退時記者会見で脱退と言わずに「卒業します」と表現してからは不祥事以外は「卒業」となった)。これに伴いタンポポも自動脱退となったため、オリジナル3人での活動は終了した。ラジオやライブ出演時は2人でこなしていたがやがて再編成され、石川梨華、加護亜依が加入して4人で活動を再開した。以降オリジナルアルバムの発売は無く、結果的に今作が唯一のオリジナルアルバムとなった。
プッチモニは1枚もオリジナルアルバムを出せず、ミニモニは2作出せたもののどちらも既出シングルで半数を埋めており、グループ内ユニットとしては今作が唯一のまともなオリジナルアルバムらしいオリジナルアルバムといえる。「ラストキッス」を別バージョンにして2回収録することで何とか10曲に乗せているものの、C/W2曲はアルバム未収録にしている事からあえてこの編成なのだろう。ハロプロが拡大してもほぼ全部つんくが作詞作曲し続けるという無謀な量産体制になって手を広げていく前の時期だったため1曲1曲余裕をもってじっくり制作できたものと思われ(とはいえシャ乱Qやりながらモーニング娘。も手掛けていたのでオーバーペースではある)、実際今作はかなり丁寧に制作されている印象。「Motto」はモーニング娘。の「Memory青春の光」同様に演奏でNY録音を敢行しており、Will Lee(ベース)、Chris Parker(ドラム)、Hiram Bullock(ギター)、Bashiri Johnson(パーカッション)が演奏。これ以外は国内制作だがいわゆるアレンジャー1人で打ち込みとギターで済ませるようなオケ制作は皆無で適宜各楽器の奏者を招いてストリングスも生で入れるなどオケ制作にも気合が入っている。ボーカルレコーディングも当時の(2ndアルバムまで)モーニング娘。同様にコーラスワークにかなり力を入れていて、メンバーもミックス作業まで立ち会ったとコメントしていた。それぞれのメインボーカル曲も入っているが、こういうのも通常はソロ曲にしてしまうところ、表記上はメインボーカルであって残りの2人もコーラス参加するなど地味に手間をかけている。
楽曲的にはソウル、ファンク、ジャズ辺りの要素が強めでいわゆるつんく特有な歌謡曲よりもブラックミュージックへのリスペクトが前面に出ているほか、おふざけギミックも皆無で当時のメンバーには背伸びさせまくりではあったにしても終始大真面目にコーラスワークを重視していて徹底して作り込まれている。当時の方がそんな発言が多かったように記憶しているがアイドルという意識ではなく、いちミュージシャンとして真剣にプロデュースしている感じ。これがうまく当たらなかった事と「LOVEマシーン」の大当たりで路線が変わるので、今作は最後のタイミングでこの路線に次は無かったのも確かではあるがそれゆえに歴代ハロプロの中でも繰り返し聞ける屈指の名盤として今作の人気がタンポポの如く根強いのもうなずける。何よりつんくの書くメロディーがこの頃は圧倒的に良く、メロディーだけでも勝負できるヒットメイカーだった。その上でオケもボーカルもコーラスも聞き応えがあるのだから最早聞き応えしかない。
発売当時は大人っぽい路線が好きではないというか理解できる年ではなく(中学2年で今作をスゲースゲー言ってる方が特異であり、今作はそもそも当時のどの辺をターゲット層にしていたのか不明だ。メンバーより年上の音楽好き?)、メンバー3人の事もあまり好きではなかったので(歌唱力はともかく鼻ピアスの石黒さんとか普通に怖か)、長年聞く事がなかったが、発売から20年以上経過して初めて聞いてみたら色褪せずに名盤だった。個人的にハロプロで聞いた中で名盤だと当時思ったのは松浦亜弥1stかモー娘。の1st2ndくらいしかない印象だったが、今作は越えてきていたかもしれない。当時は無理でももう少し早く聞いておけばよかったな。
印象度★★★★☆
2022.6.23更新