LOOZ
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 備考 |
1 | わがままに抱き合えたなら | 森友嵐士 | 森友嵐士 | T-BOLAN,明石昌夫 | 10thシングル 最高3位 売上40.4万枚 |
2 | 悪魔の魅力 | 森友嵐士 | 森友嵐士 | T-BOLAN,明石昌夫 | |
3 | Dear | 森友嵐士 | 五味孝氏 | T-BOLAN,明石昌夫 | |
4 | 傷だらけを抱きしめて | 森友嵐士 | 森友嵐士 | T-BOLAN,明石昌夫 | 9thシングル両A面曲 |
5 | 想い出の落書き | 森友嵐士 | 森友嵐士 | T-BOLAN,明石昌夫 | |
6 | Hot Hip Love | 森友嵐士 | 五味孝氏 | T-BOLAN,明石昌夫 | |
7 | 刹那さを消せやしない | 森友嵐士 | 森友嵐士, 五味孝氏 |
T-BOLAN,明石昌夫 | 9thシングル 最高1位 売上73.2万枚 |
8 | Pretty Woman | 森友嵐士 | 森友嵐士 | T-BOLAN,明石昌夫 | |
9 | Rockin' In The Life | 森友嵐士 | 森友嵐士 | T-BOLAN,明石昌夫 | |
10 | 不安なくちびる | 森友嵐士 | 五味孝氏 | T-BOLAN,明石昌夫 | |
11 | 真夜中のLove Song | 森友嵐士 | 森友嵐士 | T-BOLAN |
リリースデータ
1993年12月8日 | 初登場2位 | 売上61.8万枚 | Sound Produced by 森友嵐士 | ZAIN RECORDS |
メンバー
Vocal | 森友嵐士 |
Drums | 青木和義 |
Guitar | 五味孝氏 |
Bass | 上野博文 |
T-BOLAN5thアルバム。前作から6ヶ月でのリリース。前作以降の2シングル3曲を収録。「わがままに抱き合えたなら」で一気に売上を落とし、今作も初動は前作から10万程度ダウンの28万、6週連続1位だったドリカムの2週目が50万枚をたたき出していて大差で及ばずの初登場2位となった。累計売上は前2作から大きく落とす結果となり、明確にピークアウト傾向となった。初回盤は前2作同様にスリーブケース仕様、フォトブック付。前作に続いてレコーディングノーツも付属している。今作ではExcutive ProduceがBMF名義になり、長戸大幸のプロデュース表記は消失した。今作以降もシングルリリースは続いたが、新作オリジナルアルバムは結果的に今作が最後となった。森友は解散時に発売された著書『泥だらけのエピローグ』にて『HEART OF STONE』を作った後から迷いが生じて曲が書けなくなってきたとも告白している。
連続リリースが続いていたシングル3曲は変わらずといった感じでさすがに「傷だらけを抱きしめて」と「わがままに抱き合えたなら」なんかほとんど同じようなノリに思えてくるほどのド王道っぷりだが、アルバム全体ではアーリー90'sから脱却して新たなサウンドを求めての試行錯誤が垣間見える。新しい試みとして1つの曲に対してテンポやキー、アレンジを変えて何テイクも作ったらしく、特に「真夜中のLove Song」は8テイクも制作されたとレコーディングノーツにも書かれているように、多忙でスケジュールもそんなに余裕がなかったであろう中で1曲1曲に対するアプローチを様々に試みた事で作風にも大きな変化の兆しが感じられるものになった。
前作に続いてさらに時代性の強いフィンフィンシンセの使用を極力減らして、生のホーンセクションやパーカッション、ストリングスを導入しているのも特徴。ホーンセクションの導入やモータウンビートの導入、レゲエ調にまで挑むなどこれまでの硬派なイメージからすると随分と陽気になったようにも感じられる部分もあるものの、後追いで聞いてさすがに90年代感は全開ではあるがアーリー90'sな時代錯誤感はほぼしなくなった。変化の兆しを感じさせつつもまだ進化の途中であり、ここから90年代後半に向けてビーイング全体でもかなり音作りに変化が見られ、どのバンドもシンセ打ち込みの多用からバンド感を強く押し出したものへと変化していっただけにT-BOLANもまた同様の変化を見せてくれる事は間違いなかったと思われる。しかしこれが最後のオリジナルアルバム制作になってしまったのは残念だ。またT-BOLANが先行する事になったが、実験的/試行錯誤的な音楽性の変化を見せるとそれが最後になってしまうのはその後90年代末〜00年代序盤にかけての(MANISH、FIELD OF VIEW、ZYYG、BAAD、PAMELAH…)ビーイングの伝統芸のようにもなってしまった。初期に酷使しすぎることでの宿命なのか、メンバー4人そうだったんだろうけど、特に森友は曲が書けなくなってきたとも解散時に語っているように喉にもメンタルにも相当な疲労が溜まっていたようだ。ただ森友の作曲ペースが落ちてきたからなのかは分からないが、今作ではこれまでアルバムに1曲程度しか書いていなかった五味が単独で3曲、共作で1曲を担当。前2作で上野・青木も1曲ずつ作曲していたが、作曲面に限れば3人のメンバーの作曲を増やして4人がソングライターになる新たなT-BOLANなんていう可能性もあったのかもしれない。
そんなわけで王道としては前作なんだけど、今後の可能性を感じさせるところと後追いでも古さを感じなくなってきた聞きやすさ、多彩さもあって5作のオリジナルでは今作が1番好き。
印象度★★★★☆
2021.12.8更新