サイレンのおひさま
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 備考 |
1 | ミ・ソ・ラ・SKA(Instrumental) | MIYA | THE BOOM | ||
2 | FISH DANCE | MIYA | MIYA | THE BOOM | |
3 | ダーリン | MIYA | MIYA | THE BOOM | |
4 | 釣りに行こう | MIYA | MIYA | THE BOOM | 4thシングル(リメイク) 最高32位 売上2.6万枚 今作ではバンド単独バージョン、シングルでは矢野顕子とのコラボ |
5 | 僕のヒーロー | MIYA | MIYA | THE BOOM | |
6 | オレンヂジュース | MIYA | TAKASHI | THE BOOM | |
7 | 晩年-サヨナラの歌- | MIYA | MIYA | THE BOOM | |
8 | 僕はぬけがらだけおいてきたよ | MIYA | TAKASHI | THE BOOM | |
9 | なし | MIYA | MIYA | THE BOOM | 2ndシングル『星のラブレター』C/W |
10 | みにくいあの娘 | MIYA | MIYA | THE BOOM | |
11 | 街の郵便屋 | MIYA | MIYA | THE BOOM | 3rdシングルC/W(同時発売) |
12 | 気球に乗って | MIYA | MIYA | THE BOOM | 3rdシングル(同時発売) 最高66位 売上0.7万枚 |
Bonus Track(05年リマスター盤追加収録) | |||||
13 | 僕がきらいな歌 | 宮沢和史 | 宮沢和史 | THE BOOM | 4thシングルC/W(最初からライブ音源) |
リリースデータ
1989年12月1日 2005年8月3日(リマスター盤) |
初登場10位 | 売上6.6万枚 | Produced by THE BOOM | ソニー |
メンバー
Vocal,Harp,Keyboards,Recorder | 宮沢和史 |
Guitars,Mandolin,Banjo,Pianica,Chorus | 小林孝至 |
Bass,Pianica,Chorus | 山川浩正 |
Drums,Percussion | 栃木孝夫 |
THE BOOM2ndアルバム。前作から6ヶ月。3rdシングル「気球に乗って」と同時発売でC/W「街の郵便屋」もそのまま収録された。「釣りに行こう」は90年3月に矢野顕子プロデュースで矢野とのデュエットでリメイクされてシングル発売された。今作時点ではTHE BOOM単独となっているが楽曲自体は最初から憧れの矢野顕子とのデュエットを想定して書いたものとされている。大きなヒットは出ていなかったものの、今作では初のトップ10入りを果たした。
05年にはEMI移籍以降も含む20世紀までの作品となる1st〜9th、ミニアルバム、リミックスアルバム2枚を1枚にセットにした全11作がデジタル・リマスタリング、ライナー付で一斉再発された(加えてMIYA&YAMI『LOVE IS DANGEROUS』もラインナップに入った)。これは「THE BOOM ニュー・プライス・シリーズ THE STORY〜呼吸する音楽〜」と題され、各2100円(当時)と廉価設定されていた。この際にアルバム未収録曲だった「僕がきらいな歌」がボーナストラックとして追加収録され、アルバム初収録となった。この曲はスタジオ録音ではなく最初からライブ音源となっている。現在は旧盤もリマスター盤も両方廃盤になっている。今回入手したのはリマスター盤。
スカ調でノリのいい曲もあるにはあるけどひたすらハイテンションだった前作とは対照的な1作。半年で2ndアルバムがリリースされ、作風が異なっている事については1stと2ndでTHE BOOMの持っているふたつの局面を見せたかったという事で、デビュー当時に計画されていたと05年再発盤のライナーに記されている。ライナー読まずに最初に聞いた時は1stからすると偉く地味というかおとなしくなったな…と思ったんだけど、歌詞を見ると暗いどころかかなり強烈なものが多い。社会問題を取り扱ったシリアスな曲が多いのが特徴で、極めつけは自殺者の心情ををそのまま淡々と綴った「晩年-サヨナラの歌-」。「FISH DANCE」は90年代半ば以降深刻にマスメディアで報じられるようになっていった少年犯罪を予見するような内容だし、終末感溢れる「ダーリン」も解説によれば核戦争で生き残ったゴキブリの視点だそうでかなりダーク(歌詞中では主人公がゴキブリである事を示唆する直接的なワードは無い)。「気球に乗って」も穏やかな曲だが天安門事件を題材にしている。「みにくいあの娘」でのブス表現もなかなか強烈だ。もちろんシリアスばかりではなく、「なし」は友人に嫉妬、2番に至っては殺害計画を練り始めるなど物騒な心情が歌われているものの、その友人が不意打ちでこのなし食べて元気出せよ!と気遣いを見せてくれたことで氷解する(結末は描かれていないがたぶん)という何でも無さが魅力的。世間はバブルに浮かれていながらも一方で凶悪犯罪や事件も起きていたという89年12月当時4歳だったので当時の社会背景に対しての体感は無いんだけど、ここで歌われている警鐘は現代でも通じるどころかむしろ酷くなっている気もする。ほとんどノリの良さだけで楽しく聞けた前作とは正反対で考えさせられるアルバムだった。
印象度★★★☆☆