Present
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 備考 |
1 | TENCAを取ろう! -内田の野望- | 広瀬香美, 川咲そら |
筒美京平 | 松本晃彦 | 1stシングル 最高1位 売上43.7万枚 |
2 | 明日は明日の風が吹く | 岩切修子 | 筒美京平 | 大村雅朗 | 2ndシングル 最高3位 売上18.4万枚 |
3 | Only You | 小室哲哉 | 小室哲哉 | 小室哲哉 | 3rdシングル 最高2位 売上44.5万枚 |
4 | BABY'S GROWING UP | 小室哲哉 | 小室哲哉 | 小室哲哉 | 4thシングル 最高5位 売上25.2万枚 |
5 | 幸せになりたい | 広瀬香美 | 広瀬香美 | 本間昭光 | 5thシングル 最高6位 売上47.2万枚 |
6 | EVER&EVER /内田有紀&m.c.A・T |
m.c.A・T& 小室哲哉 |
富樫明生& 小室哲哉 |
富樫明生& 小室哲哉 |
6thシングル 最高8位 売上23.2万枚 |
7 | プレゼント | グ・スーヨン | Mocklie | 戸田誠司 | 4thアルバム『nakitakunalu』収録曲 |
8 | 「アイシテル」 | 中山加奈子 | 奥居香 | 奥居香 | 7thシングル 最高23位 売上9.5万枚 |
9 | Da.i.su.ki. | 大西スミ江 | 奥居香 | 奥居香 | 8thシングル 最高29位 売上2.5万枚 |
10 | Uchida no Rock'n'Roll | 内田有紀 | 奥居香 | 奥居香 | 8thシングル両A面曲 |
11 | 美人もブスも | こなかりゆ・ 尾上文 |
佐々木真理 | 土方隆行 | 新曲 |
12 | ホントノコト | 内田有紀 | 中崎英也 | 中崎英也 | 新曲 |
strings arrange:Randy Waldman(6)
リリースデータ
1997年12月3日 | 初登場33位 | 売上1.3万枚 | KING RECORDS |
内田有紀1stベストアルバム。1994年10月に歌手デビュー。ここまでにシングル8作、アルバム4作、ミニアルバム1作をリリース。その中からシングル8作A面9曲全てとアルバムから1曲、新曲2曲を収録。「明日は明日の風が吹く」、「「アイシテル」」、「Da.i.su.ki.」、「Uchida no Rock'n'Roll」がアルバム初収録。12oケースでブックレットが2冊付属し、片方は歌詞、もう片方はライナーノーツになっていて全体解説、新曲以外の既出10曲の1曲ごとの解説やジャケ写、アルバムやビデオのディスコグラフィーが掲載されている。
シングルでの1位は1stのみだったが、3rdで最高売上を更新し、5thでさらに最高売上を更新するなど1996年までは順調だった。1997年に入ると突如売上が激減し、トップ10落ちを通り越していきなりトップ20落ちとなった。フルアルバム4作は1位17.3万→3位13.6万→20位5.3万→18位4.1万とこちらはストレートに下がり続けていたが今作ではトップ30落ちまで低迷してシングル含めた最低売上を更新、歌手現役時の作品としては以後2シングルも今作を上回ったため今作が最低売上のままとなった。アルバムリリースは今作が最後となり、翌1998年に「ハートブレイク スナイパー」、1999年に「楽園」をリリースしたのを最後に2000年になると演技の勉強を基礎からやり直すとしてつかこうへい劇団に入って俳優業に専念。2002年には『北の国から 2002遺言』出演後に作中でも結婚した吉岡秀隆と結婚し、引退。しかし2005年末に離婚すると2006年に復帰して俳優活動を再開した。引退復帰も挟んで歌手活動は完全に撤退したままとなっている。2010年にはキングレコードの企画ベストシリーズの一環で『内田有紀 パーフェクト・ベスト』をリリース。今作収録の8thまでのシングルA面9曲に加えて「ハートブレイク スナイパー」、「楽園」、そしてC/Wやアルバム曲からも選曲されている。これが300位圏外となったため最低売上は『内田有紀 パーフェクト・ベスト』となった。
歌手としての内田有紀はリアルタイムでは全く知らない。チャートを本格的に見始めた頃には急失速してしまっていたため、この後の「楽園」リリース時は『進ぬ!電波少年』のスワンの旅企画の応援歌だったので唯一リアルタイムで新曲リリースになったのを記憶しているのだが…。ドラマではよく見かけていて1994年の初主演作『時をかける少女』は何故かたまたま見ていたのでよく覚えている(安室奈美恵が妹役で出ていた)。個人的に『時をかける少女』といえば内田有紀、『西遊記』というと唐沢寿明なんだけど元祖と00年代以降のリメイクがヒットしすぎてなかなか分かり合えない…のは置いておいて、その後も1999年〜2002年にかけて『氷の世界』『天使が消えた街』『北の国から2002遺言』で見ていたものの、アイドルとしての最盛期はすっぽり抜け落ちている。歌手活動の失速に反してドラマ出演は歌手デビュー時よりも順調になっていた上に、『氷の世界』の頃にはもう20代半ばになってきて天真爛漫というよりはもう少し落ち着いた綺麗なお姉さん的なイメージになってきていたので、いやまさか「TENCAを取ろう! -内田の野望-」なんてヤベェタイトルでブリブリ言わせていたとは思いもよらない…っていう感じだった。
その後「Only You」と広瀬香美のセルフカバーきっかけで「幸せになりたい」は耳にしていたもののちゃんと聞いていなかったのと、「楽園」まで入っている『内田有紀 パーフェクト・ベスト』の方が良かったのかもしれないがたまたまこっちを見かけたので聞いてみた。
シングル8枚しかないが変化は著しい。90年代に入ってめっきり大御所作家化していた筒美京平大先生を作曲に招いた最初の2曲はやはり90年代に適応しきれずに作風が大御所化していてまだどこか80年代を引きずっている上に、特に「TENCAを取ろう! -内田の野望-」の自意識過剰っぷりは広瀬香美を作詞に招いただけあってイケイケすぎてなんか凄い。しかもそこに乗っかるボーカルがなんとも調子はずれなのがまた絶妙になんともいえない。そしてちょっと90年代に乗っかり切れていない大御所から一気に時代の最先端にいたヒットメイカーTKプロデュースという切り替えの判断も凄い。ここで一気に90年代になる。そして5枚目で広瀬香美を今度は作詞作曲さらに編曲も当時組むようになっていた本間昭光という完パケ提供で起用するがイケイケ路線ではなく、落ち着いたポップス路線にしたところは最大の成功だと思う。小室2曲からの振り幅が凄いがもし歌手活動を継続していても長く歌い続けていただろう名曲。デビューからの無敵の勢いが落ち着き、特に歌唱に難があるどころかライナーに書かれているように喉をやっちまって声質が変化してしまいどん底状態という状況の中でそんなボーカルにも上手い事ハマった。小室で最高売上を更新したのが、再度ここで最高売上を更新したのでそれだけ曲の良さで引っ張れたという事だろう。
ただその後は迷走。次にm.c.A・Tとデュエットというかm.c.A・Tがうるさすぎて内田有紀の声があまり聞こえない。アイドルシンガーとのコラボ曲なのにそんな律儀にデュエットしなくても…と思ったがライナーによれば喉をやっちまって声も出ない最悪の時期だったらしいのでそれをカバーするためにこうなっているのかもしれない。その後は解散したばかりだったPRINCESS PRINCESSそのもののようなメロディーラインの楽曲が続くがこれは本人が大ファンだった事に起因しているようだ。PRINCESS PRINCESSも一気に人気を落としていって解散していったタイミングだけに今更プリプリっぽい曲をやっても時代遅れで難しいところはあったのかも。自身作詞の「Uchida no Rock'n'Roll」はハチャメチャな歌詞のロックンロールで新曲2曲もなんだかヘンテコな歌詞でちょっと壊れた印象のままアルバムは終わっていく…。
ということで飽きない仕上がりではあるけど最終的にはボーカルがヨレヨレでイマイチというところに尽きるか。最初ヘロヘロでも徐々にうまくなっていくところ、1stツアーでいきなり喉壊してしまったというのはかなり大きかったと思う。歌い続けていれば自分の歌い方、自分の声の良さを生かせるところを見つけられたのかもしれないけど…。
印象度★★★☆☆
2023.2.24更新